君たちはどう生きるか / 吉野源三郎【本】





君たちはどう生きるか (岩波文庫) / 吉野源三郎



これは危険な書物。

まあ、お話としてはおもしろいし、

示唆にとんだ内容で楽しめるのだけど、

悪書だなあ。

道徳の教科書みたいな内容なんすけど、

これはいい!ぜひ子供に読ませたい!とか

ああ、これは自分が子供のときに読みたかった!とか

大人が思うような本。

いい年した大人がそんなふうに思う本にろくなものはないんだぜ。

こんなもの読んで子供が真に受けたら大変だぜ。

理想論。

理想の人間。

高潔であるべき人間を説くわけだけど、

そういうのは危険ですよ。

純粋なものってのは、この世では生きにくい。

この世界は、理想どおりには生きられないように出来ている。

だから、こういう理想を説く話っていうのは、

すごくいいように聞こえるし、

正しいし、そうあるべきだと思うし、

こうだったらどんなに良いかと思うのだが、

やっぱりそれはファンタジーでしか

存在できないものなので、

これは世の中に疲れきった大人のための童話みたいなものでしかない。

こんなものを読んで、

自分が少年少女のときに

この本に出会っていれば、

何かが変わったのではないかと

思ってるそこのあなた。

子供はこんな話には見向きもしません。

何かを感じ取るなんてこともありません。

子供だったときの自分がどうだったかを思い出せばわかる。

歳を重ねて嫌なこと嫌なものをさんざん見せられ体験した年寄りだから

楽しめる内容なのです。

かなり古い本だから、

階級の差、貧富の差が当然に描かれている。

多くの財産、肩書きを持ち、

自分のことに時間を使えて、その日食うに困らない富裕階級と、

学校を休んで家業を手伝わなくてはならないほど

その日の暮らしに終われる労働者階級。

富裕層に向けての道徳教育みたいなかんじです。

上に立つ人間はどうあるべきかみたいな。

下々にはいろんな人間がいる。

世界は、そういう無数の下々とつながって出来ている。

そこで君はどういう人間になるのか?

君はどう生きるのか?という問いで締めくくられている。

理想の美しさがある。

純粋な高潔さがある。

すばらしい内容であるが、

子供に理想を求めてはいけない。

君たちはどう生きてきたのか。

子供にそう問われたらなんと応えるのか。

この本を子供に読めといえる資格があるのか。

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