スペイン カタルーニャ州 一方的な独立宣言可決 重大局面に

スペイン カタルーニャ州 一方的な独立宣言可決 重大局面に
スペイン北東部のカタルーニャ州の州議会は今月行われた住民投票の結果を受けて日本時間の27日夜、スペインからの一方的な独立を宣言する議案を賛成多数で可決しました。これに対してスペインの議会上院は、憲法に基づいてカタルーニャ州の自治権を一部停止する措置を賛成多数で承認し、双方の対立は決定的になり、事態は重大な局面を迎えました。
スペイン北東部、カタルーニャ州の独立問題で、州議会は27日、本会議を再開し対応を協議しました。

協議では独立宣言に反対する政党の議員が議場を退席するなか、スペインからの独立を宣言する議案について採決を行った結果、賛成多数で可決されました。
日本時間の昨夜10時半前に議案が可決されると独立に賛成する議員たちは大きな拍手をしていました。

これに対してスペインの議会上院は憲法に基づいてカタルーニャ州の自治権を一部停止し中央政府が直接統治に乗り出すことを賛成多数で承認しました。
スペインのラホイ首相は承認に先立って自治権の停止にあたっては、まずカタルーニャ州のプチデモン州首相を更迭するとしており、強硬措置をとる構えを見せています。

カタルーニャ州側が一方的な独立宣言に踏み切ったことで、現在の憲法が制定された1978年以降、初めて自治権が停止される事態が現実味を帯びており、双方の対立は決定的になり、事態は重大な局面を迎えました。

プチデモン州首相「待ち望んだ一歩踏み出した」

カタルーニャ州議会がスペインからの一方的な独立を宣言する議案を賛成多数で可決したことを受けて、プチデモン州首相は州議会の議場から出て演説し、「長年にわたって待ち望んできた一歩を踏み出した」と述べました。

そのうえで「独自の言語や文化を持つ、ヨーロッパの歴史的な国家であるカタルーニャは、これまでも挑戦に対して平和的に対応し、乗り越えてきた。皆で結束しよう」と述べて、改めて独立国家の樹立に強い決意を示しました。

ラホイ首相「対策をとる」

スペインのラホイ首相はマドリードで緊急の閣議を開いた後、記者会見を行い、「カタルーニャの人々を誘拐しスペインの領土を盗むような許しがたい行為を防ぐための対策をとる」と述べ、憲法に基づいて自治権を停止させるカタルーニャ州政府への対抗措置を発表しました。

この中でプチデモン州首相など州政府の幹部を更迭し、代わりに中央政府の閣僚がその役割を担うとしたほか州警察のトップも解任するとしています。

そして「できるだけ早く法に基づく正式な投票を行いカタルーニャの人々の声を聞く必要がある」と述べ州議会を解散してことし12月21日に州議会選挙を行うと発表しました。
そのうえで「この危機の責任者がこれ以上、違法な行為を続けないようにするための措置だ」と述べて一連の対策が必要な措置だと強調しました。

支持派は歓喜

カタルーニャ州の州都、バルセロナにある州議会の前では、議会で独立宣言が可決されたことが伝えられると、独立を支持する大勢の市民が「独立だ」と歓声を上げたり、互いに抱き合ったりして、喜びを分かち合いました。

市民の男性の1人は「ずっと戦ってきたのでとても満足です。市民が求めてきたことが実現しました。プチデモン州首相は独立しない提案もしましたが、中央政府はそれを断ったのです」と話し、カタルーニャ州の独立宣言を招いたのは中央政府の対応が原因だと批判しました。

また別の市民の男性は「ずっと長い間これを待っていました。独立に反対してきた人たちも尊重しますが、さらによい国にしていきたいです。カタルーニャの人々は勤勉なので、この先も頑張っていけると思う」と話し、独立による政治や経済への影響を乗り越える意欲を示しました。

日本総領事館は注意呼びかけ

スペインの中央政府とカタルーニャ州政府の対立が決定的となる中、バルセロナの日本総領事館は「今後、バルセロナをはじめとするカタルーニャ州各地で大規模なデモが予想される」などとして、現地に住む日本人や日本人観光客に対し、現地での行動に十分注意するように呼びかけています。

現地の日本人にも不安広がる

カタルーニャ州の中心部、バルセロナの日本総領事館によりますと、カタルーニャ州にはスペイン全体の3分の1にあたる2600人余りの日本人が暮らしています。

このうち20年前に愛知県豊田市からバルセロナに移り住んだ松久秀樹さん(45)が市内で経営する4店舗の寿司店などでは今月1日の住民投票以降、全体で30%程度、売り上げが落ち込んでいるということです。
松久さんは「一度来なくなった観光客は年末まで戻ってこないだろう」と話し、混乱が深まることで影響が長引くことに不安を覚えていました。
日本人ビジネスマンの間では進めていたプロジェクトを凍結せざるをえないといった話も耳にするということで、「このまま混乱が続くと、私自身も死活問題になる。従業員をここまで抱えられなくなるのではないか」と話し、収益の落ち込みが長引けば80人いる従業員の一部を解雇せざるを得なくなるという懸念を表していました。
そしてカタルーニャ州政府と中央政府が話し合いで事態を打開し、今後もバルセロナで安心して店の経営を続けられればと期待を示していました。
スペイン カタルーニャ州 一方的な独立宣言可決 重大局面に

スペイン カタルーニャ州 一方的な独立宣言可決 重大局面に

スペイン北東部のカタルーニャ州の州議会は今月行われた住民投票の結果を受けて日本時間の27日夜、スペインからの一方的な独立を宣言する議案を賛成多数で可決しました。これに対してスペインの議会上院は、憲法に基づいてカタルーニャ州の自治権を一部停止する措置を賛成多数で承認し、双方の対立は決定的になり、事態は重大な局面を迎えました。

スペイン北東部、カタルーニャ州の独立問題で、州議会は27日、本会議を再開し対応を協議しました。

協議では独立宣言に反対する政党の議員が議場を退席するなか、スペインからの独立を宣言する議案について採決を行った結果、賛成多数で可決されました。
日本時間の昨夜10時半前に議案が可決されると独立に賛成する議員たちは大きな拍手をしていました。

これに対してスペインの議会上院は憲法に基づいてカタルーニャ州の自治権を一部停止し中央政府が直接統治に乗り出すことを賛成多数で承認しました。
スペインのラホイ首相は承認に先立って自治権の停止にあたっては、まずカタルーニャ州のプチデモン州首相を更迭するとしており、強硬措置をとる構えを見せています。

カタルーニャ州側が一方的な独立宣言に踏み切ったことで、現在の憲法が制定された1978年以降、初めて自治権が停止される事態が現実味を帯びており、双方の対立は決定的になり、事態は重大な局面を迎えました。

プチデモン州首相「待ち望んだ一歩踏み出した」

カタルーニャ州議会がスペインからの一方的な独立を宣言する議案を賛成多数で可決したことを受けて、プチデモン州首相は州議会の議場から出て演説し、「長年にわたって待ち望んできた一歩を踏み出した」と述べました。

そのうえで「独自の言語や文化を持つ、ヨーロッパの歴史的な国家であるカタルーニャは、これまでも挑戦に対して平和的に対応し、乗り越えてきた。皆で結束しよう」と述べて、改めて独立国家の樹立に強い決意を示しました。

ラホイ首相「対策をとる」

スペインのラホイ首相はマドリードで緊急の閣議を開いた後、記者会見を行い、「カタルーニャの人々を誘拐しスペインの領土を盗むような許しがたい行為を防ぐための対策をとる」と述べ、憲法に基づいて自治権を停止させるカタルーニャ州政府への対抗措置を発表しました。

この中でプチデモン州首相など州政府の幹部を更迭し、代わりに中央政府の閣僚がその役割を担うとしたほか州警察のトップも解任するとしています。

そして「できるだけ早く法に基づく正式な投票を行いカタルーニャの人々の声を聞く必要がある」と述べ州議会を解散してことし12月21日に州議会選挙を行うと発表しました。
そのうえで「この危機の責任者がこれ以上、違法な行為を続けないようにするための措置だ」と述べて一連の対策が必要な措置だと強調しました。

支持派は歓喜

カタルーニャ州の州都、バルセロナにある州議会の前では、議会で独立宣言が可決されたことが伝えられると、独立を支持する大勢の市民が「独立だ」と歓声を上げたり、互いに抱き合ったりして、喜びを分かち合いました。

市民の男性の1人は「ずっと戦ってきたのでとても満足です。市民が求めてきたことが実現しました。プチデモン州首相は独立しない提案もしましたが、中央政府はそれを断ったのです」と話し、カタルーニャ州の独立宣言を招いたのは中央政府の対応が原因だと批判しました。

また別の市民の男性は「ずっと長い間これを待っていました。独立に反対してきた人たちも尊重しますが、さらによい国にしていきたいです。カタルーニャの人々は勤勉なので、この先も頑張っていけると思う」と話し、独立による政治や経済への影響を乗り越える意欲を示しました。

日本総領事館は注意呼びかけ

スペインの中央政府とカタルーニャ州政府の対立が決定的となる中、バルセロナの日本総領事館は「今後、バルセロナをはじめとするカタルーニャ州各地で大規模なデモが予想される」などとして、現地に住む日本人や日本人観光客に対し、現地での行動に十分注意するように呼びかけています。

現地の日本人にも不安広がる

カタルーニャ州の中心部、バルセロナの日本総領事館によりますと、カタルーニャ州にはスペイン全体の3分の1にあたる2600人余りの日本人が暮らしています。

このうち20年前に愛知県豊田市からバルセロナに移り住んだ松久秀樹さん(45)が市内で経営する4店舗の寿司店などでは今月1日の住民投票以降、全体で30%程度、売り上げが落ち込んでいるということです。
松久さんは「一度来なくなった観光客は年末まで戻ってこないだろう」と話し、混乱が深まることで影響が長引くことに不安を覚えていました。
日本人ビジネスマンの間では進めていたプロジェクトを凍結せざるをえないといった話も耳にするということで、「このまま混乱が続くと、私自身も死活問題になる。従業員をここまで抱えられなくなるのではないか」と話し、収益の落ち込みが長引けば80人いる従業員の一部を解雇せざるを得なくなるという懸念を表していました。
そしてカタルーニャ州政府と中央政府が話し合いで事態を打開し、今後もバルセロナで安心して店の経営を続けられればと期待を示していました。