町山智浩さんと高橋ヨシキさんがTBSラジオ『タマフル』に出演。特集で映画『ブレードランナー』について話す中で、『ブレードランナー』の世界観に影響を受けた楽曲をまとめて紹介していました。
(宇多丸)ブレードランナー特集なんですけども、先週ね、スピルバーグ総選挙をやった時に町山さんと……町山さんはいま東京に来ているんですけども。先週はご自宅にいらっしゃって、電話とSkypeをつなぎながらやっていたんですけども。結構終わってからもずっと、スタジオのコンバットREC、春日太一さんとみんなで話していて。「来週の特集はこんなことをやろうよ」っていうので。じゃあちょっと軽くネタバレになるかもしれないけど、町山さん的にはやっぱり要するに、当時。1982年にオリジナルの『ブレードランナー』が公開されて。その後、他のいろんなものにすごく影響を与えたわけですよ。
特にやっぱりいろんな日本の文化に影響を与えた。まさに、町山さんが在籍していた、働いていた頃の『宝島』というサブカル雑誌があって。「いろんな『ブレードランナー』にちなんだ記事なんか、やっていましたよね。○○とか……」「あ、それは俺がやった記事だよ」みたいな。「ああ、じゃあ俺、自分で持っている『宝島』を持っていきますわ」なんていま、持ってきていたりするんですけども。で、その中で、要は日本のいろんなミュージシャンというかね、バンドとかが明らかに『ブレードランナー』にインスパイアされたいろんな曲を出しているということがある。なので、『ブレードランナー』歌謡祭を急遽、開催したいと(笑)。みたいなリクエストを受けまして、いろんな曲をかけましょうなんて。
で、「○○も出していたんで」「あ、そうなんすか?」「宇多丸くん、知らないの~?」なんつってね。またうれしそうにね。人が知らないのをうれしそうに(笑)。「えっ、知らないの?」なんつってやるんだけど、僕が「じゃあ、あの人の△△もそうですね」っつったら、「あっ! それもそうだった」みたいな感じでね(笑)。そことかは全然うれしそうじゃないかった(笑)。みたいなのがあって。で、『ブレードランナー』歌謡祭でたぶんちょこちょこちょこちょこ聞いていくことになると思うんですけど、せっかくですから、裏送りのみなさんだけが聞ける1曲ということで。まあ『ブレードランナー』歌謡祭でもかける時間があれば、そっちでもかけようかと思いますが。
私が大好きな曲がございまして。1986年リリース、早瀬優香子さんという方。当時活躍されていた歌手であり、女優さんですよね。まあちょっとアンニュイな、すごく80年代に流行った感じの不機嫌そうな……不機嫌そうなんですよね。で、髪をこうかき上げてね、不機嫌そうな感じ。で、小声でしゃべるみたいな、すごい80年代的いい女の私、代表格だと思っています。早瀬優香子さんが86年にリリースした曲で、当時ポカリスエットのコマーシャルソングにもなっておりまして非常に耳にした曲でございます。『ブレードランナー』に影響をずばり受けている。タイトルからして明らかな曲。ちょっといったん聞いてください。早瀬優香子さんで『硝子のレプリカント』。
早瀬優香子『硝子のレプリカント』
(宇多丸)早瀬優香子さん、1986年の曲で『硝子のレプリカント』をお聞きいただいております。早瀬優香子さん特集をやろうというのは実は『タマフル』を始まってすぐぐらいから持ち上がっていた企画なんですけどね。いつかちゃんとやりたいものですよね。
(中略)
(宇多丸)といったあたりで、先ほどいろんなアーティストが影響を受けて……っていうので一瞬「BOOWY」とか言って……。
(町山智浩)名前出してましたね。
(宇多丸)それこそ、教授。坂本龍一さんが『未来派野郎』って作って、ここで、やっぱりこれも『ブレードランナー』の影響を受けて……っていうような話を町山さん、実は先週放送が終わった後にちょろっとお話をされてましたけど。
(町山智浩)はいはい。これはでも、『未来派野郎』の1曲目を聞いてもらった方が早いんだけど。かけてもいいんですかね?
(高橋ヨシキ)すぐわかると思いますよ。
(宇多丸)実はね、音源スタンバイしているんだそうですよ。ということで、第二部。急遽『ブレードランナー』が日本のカルチャーに与えた影響とは? 改め……『ブレードランナー』歌謡祭! ということでね、町山さん主催の……。
(高橋ヨシキ)これ、町山さん企画?
(町山智浩)俺企画(笑)。だってこれ、俺リアルタイムだから。『宝島』編集部にいる時にちょうど坂本龍一さんの『未来派野郎』が出まして。そしたら、坂本龍一さんって結構その頃、アンビエント・ミュージックとかやっていたんだけども、完全に音楽で『ブレードランナー』世界をやってきたんですよ。
(高橋ヨシキ)でもその時は『未来派野郎』は実は坂本龍一さんとかはインテリだから、イタリアのマリネッティとかがやっていた未来派運動を上手く持ってきて、それとノイズミュージックとの兼ね合いみたいなところを背景にしたっていう言い訳をつけて『ブレードランナー』をやるという。複雑なことをやっているというね。
(宇多丸)音楽的にはサンプリング・ミュージックの走りというかね。
(町山智浩)はいはい。DXだっけ、この頃ね。
(宇多丸)とりあえず、教授から行きますか?
(町山智浩)教授から行ってもらいましょう。
(宇多丸)坂本龍一さん、『未来派野郎』の1曲目ですね。『Broadway Boogie Woogie』。
坂本龍一『Broadway Boogie Woogie』
(宇多丸)いま、この部分が実は……。
(町山智浩)『ブレードランナー』のサンプリング。
(高橋ヨシキ)デッカードがレイチェルに「好きよ」って言わせるところですね。
(町山智浩)「俺を愛していると言え! 俺を愛していると言え!」っていうのを。
(高橋ヨシキ)「抱いてと言え!」っていう。
(町山智浩)そう。繰り返しているところ。
(宇多丸)これ、クリアランスどうしているんだろう?
(町山智浩)わからない。
(高橋ヨシキ)わからないですねー。グレイゾーンじゃないですか?
(町山智浩)でも、このリズム。「ダッダッダッダダッダダッダッダッ♪」ってやつ。
(宇多丸)これね、残念ながらものすごい80’sの、すごい80’sなところで。
(町山智浩)『フットルース』がそうでしょう? あと、『ストリート・オブ・ファイヤー』。
(宇多丸)なるほどね。なるほどね。ああーっ!
(町山智浩)あの頃のリズムは「ダッダッダッダダッダダッダッダッ♪」って。
(宇多丸)なんだけど、これサックスを吹いているのはメイシオ・パーカーだから。J.B.’sの。
(町山智浩)本物ではあるんだけど(笑)。
(宇多丸)だから要は教授的にはヒップホップ時代の予感をここに込めているんですよ。間違いなく。なんだけど、このビート感が全然ヒップホップ時代じゃない!っていう感じで。
(町山智浩)80年代なんですよ。
(宇多丸)なんか80年代ポップの……。
(町山智浩)そうそう。だからこれ、デビッド・ボウイの『Modern Love』もそうじゃない。「ダッダッダッダダッダダッダッダッ♪」ってこの当時のリズムなんですよ。完全に。
(宇多丸)うんうんうん。ねえ、これがもうちょっと重たいビートなら、その後の時代にもたぶん対応できた感じなんだけどね。でも、すごい時代の産物っていう感じで。で、クリアランスはたぶんやっぱりサンプリングなんかはこの頃、まだ出たてだから。そんなはずはないっていう。
(町山智浩)その後に、いろんな裁判があってはっきりしていったりっていうね。
(宇多丸)ビズ・マーキーとかね、ありましからね。
(町山智浩)ただ、これをやっているのはやっぱりヴァンゲリスの音楽っていうのがすごかったんですよ。『ブレードランナー』のサントラでの。とにかくものすごくかっこいいから。特にエンドタイトルがもう本当にかっこよくて。もうみんなパクッてるんだけど(笑)。
(宇多丸)あれ、でも当時正規のサントラが出なかったんですよね。
(町山智浩)出なかったの! あれね、だから本当にすごかったのは、ニューアメリカンオーケストラバージョンっていうのしかなかったんですよ。
(高橋ヨシキ)それしかなかったんですよ。
(宇多丸)再演奏(笑)。
(町山智浩)そうそう(笑)。なんだか全然わかんないけど、それしかないから買うわけじゃないですか。
(高橋ヨシキ)聞いた瞬間、「違う!」ってなるっていう(笑)。
(宇多丸)アハハハッ!
(町山智浩)聞いた瞬間のオープニングで、さっき言った「ジャララン♪」が全然違う音で。「ジャララン♪」が全然違うっていう。
(宇多丸)でもその、やっぱり断片を求めてね。当時はそういう正規のグッズもないし。断片を求めて。それこそ、ブラスターも含めて。
(町山智浩)だって、あれだよ。要するにみんなヴァンゲリスの本当のやつがほしいから、海賊盤とかいっぱい裏バージョンが出ていたんだもん。
(宇多丸)正規が出たの、だいぶ後ですよね?
(町山智浩)すっごい後なの。
(高橋ヨシキ)しかも、そんなみんなが渇望している時に『スターログ』っていう雑誌が「『ブレードランナー』のサントラが出ました」っていうエイプリルフール記事を載っけたせいで、日本中でみんなレコード店に殺到して。
(宇多丸・町山)アハハハッ!
(高橋ヨシキ)「出てるのか?」っつったら「嘘でした」とか言われて。
(町山智浩)ヴァンゲリスっていう人もいろいろと問題がある人で。いろいろと問題があるせいで出なかったんですよ。
(宇多丸)ああ、そうなんですね。
(町山智浩)そうそうそう。でも、これだけサントラが求められていて出なかったっていうのもないよね。
(高橋ヨシキ)いや、本当ですよね。サントラぐらいしか映画のグッズがなくて。だからビデオはあったんですけど、それぐらいしか映画の手がかりがない時代で。
(町山智浩)ワーナー・ホームビデオの大ヒット商品だったの。『ブレードランナー』は。
(宇多丸)はい。ということで歌謡祭、どんどん行きましょう。
(町山智浩)はい。でね、これでいちばん『ブレードランナー』ですごかったのは1986年……だったと思うんだけど。僕が行ったコンサートがあって、BOOWY。有名なBOOWYですよ。BOOWYがはじめてホールでやるっていう『JUST A HERO TOUR』っていうのがあって、渋谷公会堂(渋公)から始まったんですよ。
(宇多丸)もうないもんね。
(町山智浩)ないんだけど、渋公っていうのは日本だとそっから大スターになっていくということで。そこでBOOWYがやったんだけど、その時のステージセットは完全に『ブレードランナー』だったの。
(宇多丸)そういうデッドテックな?
(町山智浩)そう。廃墟のビルが立っていて。
(高橋ヨシキ)火とか噴いて?
(町山智浩)そうそう。火を噴いていて、光を発していて。歌詞は全然違うんだよ。BOOWYの世界っていうのは。だって、「英語、数学まるでダメだけど♪」って全然未来感はないんだけど。
(宇多丸)フハハハッ!
(町山智浩)ただ、セットは完全に『ブレードランナー』なんですよ。で、「うわっ、すげえ!」って思っていたら、その後にギタリストの布袋寅泰さんがもう『ブレードランナー』にどんどんハマッていって。で、ソロになると本当にジェフ・ベックみたいに『ブレードランナー 愛のテーマ』とかレイチェルとのラブシーンところで流れるやつをこうやってもう、いい湯加減で弾くわけですよ。
(宇多丸・高橋)フハハハッ!
(町山智浩)しかも彼がその後に出したアルバムで『レプリカント』っていう曲までやっていて。『レプリカント』を……。
(宇多丸)あ、じゃあ聞きましょうか。布袋寅泰さんで『レプリカント』。
布袋寅泰『レプリカント』
(宇多丸)布袋寅泰さんの『レプリカント』。これ、歌詞がね、すごいですよね。
(町山智浩)「お前はレプリカント 笑顔で泣いている」とかね。
(宇多丸)ずっとほぼほぼ『ブレードランナー』のストーリーを説明してるっていう。
(町山智浩)そうなんですよ。
(高橋ヨシキ)「限られた命は 永遠を夢見るのか」とかね。まさにテーマですね。
(町山智浩)これはレプリカントのレイチェルが、4年だっけ? それしか命がないとかね。これはレイチェルとデッカードの恋愛を説明している歌詞なんですよ。
(宇多丸)すごいですよね。
(町山智浩)こういうの、すごくて。まあBOOWYって、いまの曲って聞いてわかったと思うんですけど、デビッド・ボウイのある特定の曲とすごくよく似ていて。
(宇多丸)なるほど。元ネタがね。
(町山智浩)後ろの男性コーラスもそっくりなんですが。BOOWYっていうバンド自体がデビッド・ボウイの影響を受けているんですけど。デビッド・ボウイってやっぱり、こういうのを予言していた人ですよ。
(宇多丸)まあSF的なね。
(町山智浩)SF的で、あとアジアと西洋の合体みたいなものとか。あと未来世界についても歌っていて、やっぱりデビッド・ボウイってすごかったなと思うんですけど。それに影響をされたのがBOOWYで、さらにそれに影響されたのがBUCK-TICKですよ。
(宇多丸)すごい! BOOWYからBUCK-TICK!
(町山智浩)BOOWYからBUCK-TICK。群馬バンド。群馬パンクとかね、サイバー群馬ですよ。「お前はまだ群馬を知らねえ!」っていう感じなんですけども。
(宇多丸)アハハハッ!
(町山智浩)で、BUCK-TICKが……この人たち、髪の毛を立てているわけですけども……『ブレードランナー』って頭を立てているんだよ。あれ、スパーズ・アタックかな? 出ている人。
(高橋ヨシキ)そうですね。パンクスもいましたね。
(町山智浩)スパーズ・アタックっていう、その頃にJBが日本でコンサートをやった時に……。
(宇多丸)ああ、細野さんのね、FOEのボーカル。
(町山智浩)細野さんがやった時の。あれもだから、テクノ的な読み替えでJBを聞くっていう時代があったじゃないですか。アフリカ・バンバータとかいろんなのが出てきて。
(宇多丸)まあ要は、細野さん的なヒップホップ解釈なんですけどね。
(町山智浩)そうそうそう。その時に、スパーズ・アタックが細野さんのバンドのボーカルをやってJBを歌ったんだけど、スパーズ・アタックはたしか『ブレードランナー』に出ているんだよ。
(宇多丸)ああ、マジっすか!?
(町山智浩)あのパンクのキャラクターがスパーズ・アタックさんっていう人だったと思います。
(宇多丸)へー! 武道館のJB公演でものすごいブーイングを浴びていて。
(町山智浩)ブーイング浴びたんですけど、彼はたしか『ブレードランナー』にパンクの役で出ているんですよ。だからそういう変なつながりが裏であるんです。で、群馬の話に戻りますと……。
(宇多丸)群馬の話。BUCK-TICKね。
(町山智浩)BUCK-TICKも年齢的には僕と同じぐらいなんですけど、BOOWYも僕と同じなんです。布袋さんは1962年生まれなんですけど。で、BUCK-TICKも1人が62年生まれで、62年は『ブレードランナー』世代なんですよ。
(宇多丸)うんうんうん。
(町山智浩)で、BUCK-TICKの『疾風のブレードランナー』を聞いてもらいましょう。
(宇多丸)はい。BUCK-TICKで『疾風のブレードランナー』。
BUCK-TICK『疾風のブレードランナー』
(宇多丸)ちょっと思いの外イントロが長かったですけども。
(町山智浩)イントロ、これ普通テレビとかでやる時はやらないでいきなり歌から入るんでね(笑)。
(宇多丸)すいません。切っておけばよかった。ただ、もういきなり「降りしきる酸性雨 黒い雲」っていうね。
(高橋ヨシキ)その後で「頬を伝う酸性雨」ってね、「Tears in rain」ですよ。
(町山智浩)そう!
(宇多丸)まさにクライマックスシーンの。
(高橋ヨシキ)ロイ・バッティのセリフがそのまま……。
(宇多丸)なおかつそれを、最終的には「青空の下で」ってね。劇場版のエンディングまで説明しているという。
(高橋ヨシキ)そう。「その向こうで風が吹いているはずだ」ってこれ、映画を紹介してるんですね(笑)。
(町山智浩)そう。映画のストーリーをそのまま順番に説明してる歌詞なんですけど。
(宇多丸)さっきの布袋さんもそうだし。やっぱり日本人って生真面目っていうか。
(町山智浩)日本人って真面目だから、映画からイマジネーションを広げないで、映画の説明をするっていう癖がありますっていう(笑)。「主題歌を作ってください」って言われて作りました、みたいな感じになっちゃっているんですけど。最近のアニメの主題歌みたいな感じになってますけども。
(宇多丸)でも、『ブレードランナー』愛は伝わりますね。
(町山智浩)すごく、これもう本当に好きでしょうがないんだなっていうことがよくわかるんですよ。
(宇多丸)これ、歌謡祭おもしろいからガンガン行きましょうよ。どんどん。
(町山智浩)でね、とんでもないものをやりましょう。とんでもないものはね、相楽晴子『ブレードランナー』(笑)。
(宇多丸)おおっ、全然SF感がない。相楽晴子。
(町山智浩)全然SF感ないんですよ。相楽晴子。相楽晴子といえば、『スケバン刑事』ですからね。ビー玉のお京ですけど。あと、まあ『どついたるねん』の名演技がありますけども。彼女がそのものずばり、『ブレードランナー』という曲を……。
(高橋ヨシキ)みんな題名に『ブレードランナー』って使いすぎじゃないですか?
(宇多丸)タイトルに『ブレードランナー』って……他にもう「○○の」も付かないですからね。
(町山智浩)もう曲をかけてくださいよ。
(宇多丸)相楽晴子で『ブレードランナー』。
相楽晴子『ブレードランナー』
(町山智浩)いいでしょう、これ?
(高橋ヨシキ)ヤバい。
(宇多丸)だ、ダセえ……(笑)。
(町山智浩)これ、いまおっしゃったんですけど、「サンライズのアニメみたい」っていう。『メガゾーン』とかね、あの頃のOVAの主題歌だよね、これ。
(宇多丸)「ブレードランナー♪」って。
(町山智浩)「ブレードランナー♪」っつってね(笑)。みんなでハモってますが。
(宇多丸)これ、ユーロかなんかのカバーですか?
(町山智浩)そう。もともとあるんですよ。ヨーロッパの方の歌で。
(宇多丸)でも、それは別に『ブレードランナー』じゃないんでしょう?
(町山智浩)元も『ブレードランナー』なんです。
(宇多丸)あ、そうなんですか。
(町山智浩)ほとんど同じ。
(宇多丸)へー!
(町山智浩)だからこれ、『ブレードランナー』っていうのは女を騙す男らしいんですよ、この世界では(笑)。
(高橋ヨシキ)だいたい合っているじゃないですか。
(宇多丸)まあまあ、間違ってはいない(笑)。
(町山智浩)そうそう。「俺を愛してるって言え!」っていうやつなんでね。これ、本当にさ、MADビデオがあるじゃない? この曲に合わせて『ブレードランナー』のMADビデオを作りたくなるでしょう、これ?
(宇多丸)ああ、いいですね!(笑)。
(町山智浩)「ブレードランナー♪」っていうね。
(宇多丸)いやー、衝撃だったわー。
(町山智浩)この80年代のOVA的な音楽、素晴らしいですけども(笑)。
(宇多丸)なんと、もう……ヨシキさんが死んだ目になっていますけども。
(高橋ヨシキ)いやいや、死んでないですけど。そのMADビデオで思い出したんですけど、たぶんね、昔……あれはどこの大学だったのか、東大の人だったかわからないですけど。『ブレードランナー』の頃かもうちょっと後に『ブレードランナー』の予告編だと思うんですけど。その音に合わせて新宿歌舞伎町で8ミリを回して適当に撮ったのを繋いで、それに音をかぶせると超『ブレードランナー』に見えるっていう8ミリの自主映画があって。それのことをいま、ボーッと思い出したりしていましたね。
(町山・宇多丸)へー!
(高橋ヨシキ)どなたが作ったのか、誰が情報がある人いたら教えてほしいんですけど。
(町山智浩)だからそれがすごく魅力的だったのは、とにかく未来世界にいつでも、新宿に行けば行けるっていうのはすごいことだと思うよ。
(高橋ヨシキ)すぐそこですからね(笑)。
(町山智浩)それで、道端に立っているし。そういう人も。ねえ。
(宇多丸)いや、でもこれは知らなかったです。
(町山智浩)知らないでしょう? でも、こういうのって結構マイナーな話をしているような気がするじゃないですか? そうじゃなくて、超大物の松任谷由実さん。ユーミンも作っているんですよ。『ブレードランナー』歌謡を。
(宇多丸)ユーミンさん、この間ユーミンさんのラジオに出た時に、なぜか『ブレードランナー』の話になって。「すごい楽しみにしている!」って。
(町山智浩)なぜか『ブレードランナー』に(笑)。
(宇多丸)なぜか『ブレードランナー』の話になって、すげえ楽しみにしている新作みたいな話をしていましたけども。はい。ユーミンはどんな曲なんですか?
(町山智浩)これは結構最近の曲なんですけど、『今すぐレイチェル』。
(宇多丸)2011年じゃないですか!
(町山智浩)だってこれ、シングルヒットしてるんだもん。コマーシャルソングだったですよ。
(宇多丸)はい。じゃあちょっと行ってみましょう。松任谷由実さんで『今すぐレイチェル』。
松任谷由実『今すぐレイチェル』
(宇多丸)はい。ユーミンの『今すぐレイチェル』。レイチェルは明らかに劇中で出て来るレイチェル。「今すぐレイチェル 君を救いたい 洗脳の檻を破ってエンジェル」っていうね。
(町山智浩)ねえ。そのまんまですね!
(宇多丸)「お前はレプリカントだ!」(笑)。
(町山智浩)そう。もうストレートに「お前はレプリカントだ!」って。もうちょっとデッカードはソフトに言えないのか?って思いますけども。
(高橋ヨシキ)「お医者さんごっこの途中で逃げたことを人に話したことがあるか?」って言うんですよね。
(宇多丸)その話をしているっていう。それをでもさ、2011年に改めてやるんだから、ユーミンは本当に『ブレードランナー』をすごいね……いまだに『ブレードランナー』曲を作っているっていうことですね。
(町山智浩)昨日ね、ハリソン・フォードに松任谷由実さん、会ったらしいんですよ。
(宇多丸)あ、マジっすか?
(町山智浩)いま、来ているから。それで、『今すぐレイチェル』を聞かせたらしいんですよ。「あなたのために作りました」っつって。
(宇多丸)あ、そうなんだ! じゃあもうストレートに。あらあらあら。
(町山智浩)すごいですよ、これ。
(高橋ヨシキ)じゃあデッカードがこれを聞いていたってことですよね。ヤバい!
(宇多丸)歌謡祭、もうあちこちで広がってるじゃん!
(町山智浩)すごいですよ。
(宇多丸)世界に広がる『ブレードランナー』歌謡祭ね。
(町山智浩)すごいよ、これ。
(高橋ヨシキ)この『ブレードランナー』の網の目から抜けられないっていう。ヤバいっすね。
(宇多丸)アハハハッ!
(町山智浩)でもこれ、テレビでコマーシャルソングとして流していたらしいんですよ。でもみんな、この『今すぐレイチェル』っていうのの歌詞が『ブレードランナー』のデッカードの気持ちで歌っているとは誰も思っていないよね。たぶんね、みんな。
(宇多丸)いやー、面白いわ。
(町山智浩)これ、すごいね。みんな知らない『ブレードランナー』歌謡の世界ですよ。
(高橋ヨシキ)最後、「ゆっくり記憶のドアがひらくひらく」って書いてありますよ。すごいですよ、これね。
(町山智浩)そうそう。だから彼女を洗脳から解くというか、レプリカントであることを確認するシーンのことを歌っているんですよね。
(高橋ヨシキ)素晴らしいですよね。
(宇多丸)そして、早瀬優香子さんの『硝子のレプリカント』は頭のところでかけてしまったので、これ。ヨシキさんのリクエスト。
(高橋ヨシキ)はい。ヤプーズの『バーバラ・セクサロイド』という歌がありまして。これは絶対にプリスの歌だと思うんですけど。
(町山智浩)戸川純さんですね。
(宇多丸)それではヤプーズで『バーバラ・セクサロイド』。
ヤプーズ『バーバラ・セクサロイド』
(宇多丸)はい。ということでヤプーズで『バーバラ・セクサロイド』。劇中のプリスが……プリスはセクサロイドで、要するに性の慰み用に作られたレプリカントで……という話をしているということですよね?
(町山智浩)はい。ダリル・ハンナが演じていた。で、画面の中にプリスのデータが出る時に「セクサロイド」って出てくるんですよね。セックス用のアンドロイドって出てくるんですけど、その気持ちで歌っているという(笑)。戸川純さんが。
(宇多丸)すごいねー。
(町山智浩)セクサロイドの気持ちで(笑)。
(宇多丸)いやー、しかし結構あるもんですね。これね。
(町山智浩)あるんですよ。
(宇多丸)『ブレードランナー』歌謡。そして今日ね、町山さんとヨシキさんと『ブレードランナー』の特集をやるから……って聞いていた人はね、まさかこんな放送に転ぶとはね、想像してなかったと思うんですよ。
(町山智浩)でもリアルタイムだから。本当にみんなが『ブレードランナー』のことを歌いだして漫画に描いて、『ブレードランナー』のことばっかり語っていた時代っていうのがあって。もうひとつ、現代思想の世界でも『ブレードランナー』のことばかり論じていたのね。みんな。その当時は。まあ、ポストモダンとか言って。『ブレードランナー』のことしかなかった時代があったんですよ。86年ぐらい。
(宇多丸)これ、本当にいま挙げてもらったのは結構直接的に『ブレードランナー』を引用してたり、説明していたりするんだけど。もっと『ブレードランナー』のデッドテックな未来像とか。そういうところまで含めたら……。
(町山智浩)もうすごいですよ。
(宇多丸)裾野の把握は不可能っていう世界。
(町山智浩)それこそ、ヨーロッパの方にもいっぱいあるから。そういう音楽は。
(宇多丸)まあ、その一端を日本は……。
(町山智浩)だからSigue Sigue Sputnikがそうですよ。あれが完全に『ブレードランナー』の世界をやろうとしたもんね。『Love Missile』ですね。
(宇多丸)まあ全然ブレイクしなかったけど……っていうね。
(町山智浩)でも布袋さんがそれを真似してブレイクしてますから。それ、いいのか?っていう問題もありますけども(笑)。
(宇多丸)まあSigue Sigue Sputnikが日本に来た時、ロマンポルシェ。が前座だった時に行きましたよ。
(町山智浩)ああ、本当に? 元気でした?
(宇多丸)元気でした。
(町山智浩)まあ、友達じゃねえけどな。別に(笑)。
(宇多丸)元気でやっておりました!
(町山智浩)元気でやってました? はい(笑)。
(宇多丸)といったあたりで、いったんCMに行ってから、昨日公開されたばかいの続編『ブレードランナー2049』のお話をうかがいます。ネタバレチキンレース、開幕です!
<書き起こしおわり>