スペインからの一方的な独立宣言を主導したとして、スペイン政府からカタルーニャ州首相の職務を解任されたプチデモン氏は、ふるさとの都市を訪れて独立を支持する市民との結束を確認し、スペイン政府との対決姿勢を鮮明にしました。
スペイン北東部のカタルーニャ州の議会で27日、一方的な独立宣言が可決されたことを受けて、スペイン政府は1978年の憲法制定以来初めて、カタルーニャ州の自治権を停止し、プチデモン州首相などを解任して直接統治に乗り出しています。
こうした中、プチデモン氏は28日、州都バルセロナから80キロ余り離れた、ふるさとのジローナ市を訪れました。ジローナ市は市役所の屋上に掲げていたスペイン国旗を取り外す対応をとるなど、市を挙げて独立を支持していて、集まった大勢の市民はプチデモン氏に「あなたは1人ではない」などと声援や拍手をおくっていました。
プチデモン氏はこれに先立つテレビ演説で、「勝ち取った独立を守るため民主的に抵抗していこう」と呼びかけていて、今回の訪問は市民との結束を確認し、スペイン政府との対決姿勢を鮮明にする機会となりました。
国際社会からの支持を得られず
EU=ヨーロッパ連合の議会にあたるヨーロッパ議会のタヤーニ議長は28日、訪問先のバチカンで「誰もカタルーニャ州を独立国家と認めておらず、今後認める国も現れないだろう。スペイン政府が州議会を解散して選挙を行うのは賢い選択だ」と述べ、スペイン政府を支持する考えを示しました。
また、タヤーニ議長は「このような困難な状況下では対話が重要だ」と強調しつつも、「これはスペインの内政問題であり、EUが調停できるものではない」と述べ、EUとしては対立するスペイン政府とカタルーニャ州との仲介は行わない考えを示しました。
一方的な独立宣言が行われてから29日で丸2日となりますが、フランスやドイツ、それにイギリスやアメリカはカタルーニャ州の独立を認めない立場を明らかにしていて、カタルーニャ州は国際社会からの支持を得られずに孤立しています。
カタルーニャ州でスペイン1部リーグの試合
カタルーニャ州がスペインからの一方的な独立宣言を行い、スペイン政府との間で対立が深まるなか、カタルーニャ州のジローナ市では29日にサッカー、スペイン1部リーグで、地元のチーム、ジローナとレアル・マドリードの試合が行われる予定です。
世界的な強豪として知られるレアル・マドリードは、チーム名にスペイン語で王室を意味する「レアル」を掲げるなど、スペインを象徴するクラブとして知られています。一方、ジローナ市は市役所の屋上に掲げていたスペイン国旗を取り外す対応をとるなど、市を挙げて独立を支持しています。
試合を翌日に控えた28日夜、レアル・マドリードの選手たちがバスでジローナ市に到着し、大勢のファンたちに出迎えられました。ファンの人たちは「カタルーニャはレアル・マドリードを応援している」などとシュプレヒコールをあげて選手たちを歓迎しましたが、スペイン政府と州の対立が深まるなか、現場には大勢の警察官が動員されて警戒に当たり、不測の事態が起きないよう、神経をとがらせている様子がうかがえました。