・「出かける時の忘れ物」・「ひょいとつかむハンカチのように」・「心の中にすべり込む」・「いちばんちいさな魔法」・「泣いたり笑ったり」・「今日も歩き出す」
てんは藤吉の実家大阪の北村屋にやって来ました
あきまへん!駆け落ちやなんて汚らわしい。
あの女子はんには帰ってもらい。
(藤吉)おてんちゃんを帰す訳にはいきません。
この船場は太閤秀吉さんが作らはった商いの町や。
京のお嬢さんがこの北村屋ののれん守れる思てはりますんか?うちは構いまへんけど。
え?お妾さんの一人ぐらいいてはっても目ぇつむってあげはったらよろしおす。
これや!これこそ船場の嫁や。
嫁さんはおてんちゃん以外考えられません。
ここです。
(てん)ありがとうございます。
うち嫌いなんです。
誰彼構わず愛きょう振りまく女子。
愛きょう振りまいてる訳や…。
うちなこの縁談にかけてますねん。
え?船場のごりょんさんの名ぁは憧れや。
藤吉さんの事はどない思て…。
好きも嫌いもない。
ただ負けられへん言うとるだけです。
そのころ京都では…
(しず)てんは大丈夫ですやろか?わろてますやろか。
(儀兵衛)てんはもううちの子ぉやない。
たとえ野たれ死にしようがお前が気ぃにかける必要はない。
おトキ。
(トキ)へえ。
ええか?あんたにお願いがありますのや。
はあ…。
改めてお年は?数えで17どす。
(啄子)お好きな食べもんは?甘鯛の酒塩焼きかしわ巻きずしも!
(啄子)お好きな事は?笑う事です。
この家に入る覚悟を聞かせてもらいまひょ。
このお家の嫁として認められるよう精進致しますのでどうかここに置いとくれやす。
しかたあらしまへんなぁ。
女中としてやったら置いたげまひょ。
行こうおてんちゃん。
帰ってきた俺がアホやった。
構しまへん。
置いて頂けるだけでもありがたい思います。
ごりょんさんどうぞよろしゅうお願い致します。
(スミ)もっと腰入れて!へえ!
(スミ)ちゃっちゃとせんかい!お米屋さんやのに麦飯なんや。
何ですやろかこのにおい!?あそこに漬物樽が置いてあるやろ。
きっついにおいさせてわてらがぎょうさん食べんようにしてあるんや。
あと頼んだで。
へえ。
ひゃ〜!これが摂津米肥後米。
これが外米だす。
外米なんか売ってるんや。
(又八)今は米不足なんで扱うてまっけど味がな。
そやけどいろんな米を混ぜておいしゅうするんが米屋の腕の見せどころやろ?
(又八)そらそうでっけど。
俺にもやり方教えてもらえんやろか。
頼んます!
(又八)ああ…とりあえず頭上げておくんなはれ。
(藤吉)頼んます!うちも気張らんと。
ごめんやす。
おトキ!ああ…もう心配してましたんどすえ。
うちもここでおてん様とご一緒します。
お母はんか。
(頼子)なあなあこれ似合う?ええ。
どうや?それおばあ様の…。
へえ〜あんたが駆け落ちしてきたお嬢さんか。
よろしゅうお願い…。
これ女中にはいらんよな?うちが借りといてあげるわ。
な!何しに里帰りや。
ふん!この簪よかったらどうぞ。
ほかにもありますよってこちらへ。
あらうれしいわぁ。
楓さんええお人やな。
すまんな。
嫁いでからもああやって小遣いやらせびりに戻ってくるもんで。
お姉様にご挨拶できてよかったです。
何や今日は嫌なにおいがせえへんなぁ。
漬物樽に刻んだショウガ入れて周りにショウガを干したんどす。
においは減るし干したショウガは料理にも使えて無駄になる事ありまへん。
そらぁええな!あんた!よう気ぃ利くなあ。
(笑い声)怒るんか思たら。
(笑い声)
(マツ)何かここ来てから初めてわろた気ぃするわ。
(笑い声)またよろしゅう頼んます。
えらいこってすわ。
どないしました?若旦さんが法外な値段で古米や外米をようけ買わされてしまわはったんだす。
すんません!こんな米に大金払うて。
ちょうどええ機会やわ。
は?うちの嫁候補2人に売りさばいてもらいまひょ。
え?内助の功で店と藤吉郎を助けられるかええ試験や。
始め!お米〜お米〜!安いお米どないです?おいしいお米ありまっせ〜。
どないですか…。
おおきに。
またよろしゅうお頼申します。
おおきに。
これが客の気持ちいうもんですわな。
売る気満々のあんたに対して楓はんは品物の後ろに立って控えめや。
次に身なり。
疲れてやつれた顔して。
大体その手ぇ荒れてんの見て誰が買いますのん?何やもう降参か。
泣いてはるんちゃいますやろか。
お待たせしました。
何や急に顔色ようなったような。
頬に紅さして手ぇもこないして。
これやったら元気に見えますやろ?お気張りやす。
へえ!古米ってどないして食べるんやろ?古米はにおいがありますさかいお酒で炊いたり油入れたり手ぇ加えますねん。
それや!古米はおいしないとお思いやありまへんか?そやけど潰して丸めてしょうゆをかければ…。
(歓声)安くておいしいおだんごができます。
是非お味見しとくれやす。
おおきに。
お母ちゃん作ってえや!ほんだら2升頂きましょ。
へえおおきに!驚きですな。
こんな売り方が。
わしも3升や!へえ!あんたお客さんに振る舞うた分の材料代ちゃんと勘定してはりますのんか?それは…。
まあよろしおすけどな。
ああいう生きたお金を使うのは。
へ?船場の商人は始末才覚算用を重んじます。
始末は節約の事やない。
無駄な出費をせず使うべき時に生き銭を思い切り使うという事です。
始末とケチは違う。
これがホンマの始末の極意。
この勝負あんたの勝ちや。
あぁ〜何で極意を教えてしもたんやろか。
ああ…。
何でおてん様がこないな事…。
いくえ。
へえ。
(2人)せ〜の。
(風太)あのすんません。
風太!?女中の格好して何してんねや。
えっ…こないなとこにお前が。
それより何で?りんに頼まれたんや。
りんに?おお。
祝言の日取りが決まったそうや。
そうか。
そうか!なあてん。
一緒に京都に帰ろう。
心配してくれておおきに。
そやけど帰る気ぃはあらへんえ。
うちがいいひんと藤吉さん独りぼっちえ。
このお家の事笑顔がない家や言うてはった。
うちみんなにもわろてほしいんや。
おい。
お前それでも男か!ほれた女も守れんとはお前ただのボンクラや!藤吉さん!何してますのん!?この子にはなええとこもぎょうさんあります。
お母ちゃんもうええよ。
約束した。
覚えてるか?てんを一生笑わせるいうやつか。
俺は男の約束いうもんは命をかけてするもんやと思うてる。
おてんちゃんは命に代えても幸せにする。
ごりょんさん!どうか帰っておくれやす。
久しぶりに話せてうれしかったえ。
すまん偉そうな事言うて。
こんなに苦労ばかりかけてるのに。
藤吉さんが一人前になるまで支えるのがうちの務めや思うてますから。
強うなったなおてんちゃん。
ごりょんさんの厳しいお仕込みのおかげです。
そうか。
(りん)「姉さんお元気にしてはりますか?私の縁談話はとんとんと進み祝言の日取りも決まりました。
姉さんが恋しい。
そやけどこの家の事は安心して下さい。
姉さんも必ず幸せになってください」。
りん見習うてうちも気張るわ。
いろいろ競わせてすまなんだけどようようわての心も決まった。
一日もはよう藤吉郎と楓さんの祝言を挙げる事にしました。
14円70銭。
・ごりょんさ〜ん!え…えらいこっちゃ。
きょきょ…京都から討ち入りや!討ち入り?藤岡しずと申します。
あの子はどんなつらい時もわろうて私ら家族を明るう照らしてくれました。
その子が藤吉さんといるともっと笑顔になれる言います。
笑うだけでおなかいっぱいになるんやったら言う事ごわへんなぁ。
おなかいっぱいになっても笑いのあらへん食卓は寂しおす。
ひもじい思いをなさった事があらへんからおっしゃれるんですやろなぁ。
私はあの子を信じてるだけですさかい。
それは無責任というものやあらしまへんか?私にも後継ぎの息子がおりました。
亡くして初めて気ぃ付いたんどす。
親が思うてるより子ぉは強い。
あの子に支えられていたのは私ら親の方やったと。
どうぞお受け取り下さい。
うちは藤岡屋さんからこんなものを頂く筋合いは…。
てんはああ見えて父親似の頑固者。
一度決めた事はやり抜くはずです。
どうぞこの北村屋さんで一人前に仕込んでやって下さい。
船場ではごりょんさんは女の成功の証し。
この仕事の本当のつらさをあの子が受け止められると思わはりますか?あの子やからできるんやと思うてます。
それでも使い物にならへんかったら煮るなり焼くなり河原に捨ててもろても構しまへん。
ほな遠慮のう仕込まさしてもらいまひょ。
ほなおてんちゃんを認めてくれるんか?認めた訳やない。
望みどおりぼろ雑巾にして河原に捨ててやるっちゅう事や。
お母ちゃん昔っからそうや。
何でそんなほれた腫れたを嫌うんや。
あんたのお父さんのせいや。
ここに嫁ぐ時お父さんには好きな芸妓はんがいてはったんや。
その芸妓を忘れられんで通い詰めては店の金を貢いで死ぬまで商人になれんかったボンクラや!絶対にあんたをお父さんのようにはさせん!これはおばあ様が一針一針縫うて仕立てたお着物どす。
喪服や。
一旦嫁いだら妻は何があっても夫と墓場まで添い遂げる。
その覚悟で死に装束を持って嫁げいう事どす。
この着物に誓うてどんな苦難にも耐え藤吉さんと墓場まで添い遂げてみせます。
(楓)うちに出てけいう事ですか?頼む!このとおりや!分かってくれたか?ほなうちもごりょんさんに倣うてそのいけず遠慮のうやらしてもらいまっさ。
今日も疲れたわ。
あれ?着物がない。
まさか楓さん…?おてん様!こっちに。
よかった…。
そやけど誰がこないな…。
元帳が見当たらんのやけど…。
若旦さん?そっちの棚は開けたらあきまへん。
構へん。
ん?アカン!これはあんたが見る必要はない!蓄えがいくらあるとか貸方借方金の動きを分かってんと。
あんたにはまだ早い!俺の事も信じてくれへんのやな。
ああ…すまん。
いえ。
すまんな気苦労ばかりかけて。
「すまんすまん」謝ってばっかりや。
ホンマや。
ウフフフ。
それではお笑いを一つ。
え?俺とおてんちゃんとかけて夫婦茶碗ととく。
その心は?どちらも欠けてはなりません。
アハハッ!アハハハ。
何でおてん様とうちが楓さんの部屋の掃除までせな…。
「みだれ髪」!?はしたない!「柔肌の熱き血潮に触れもみで」。
ああっ嫌らしい!人のもん勝手に見たらあきまへんて。
夜な夜なこれを貪り読んでおてん様に嫉妬の炎を燃やしてはるんやわ。
やっぱり犯人は…。
うちや。
謝る気ぃはないで。
あっ楓さん。
楓さんどこ行かはったんやろ。
頼子さん?その壺…。
これはお父ちゃんの形見や。
けど偽物やったわ。
うん。
あぁっ堪忍!白い着物の事やろ?何や羨ましゅうて…。
ごめんな。
悪気はなかったんやし。
何やそやったんどすか。
おおきに!着物の事違いましたんやろ?何でやったやなんて…。
どうせ誰にも信じてもらえんから。
そのご本勝手に見てしもてすんまへん。
恋愛に興味ある訳やないで。
うちは歌が好きなだけで…。
かっこええなぁ。
え?うちも与謝野晶子読んでみたかったんやけど恥ずかしゅうて読む勇気がなかったんや。
「枯れ肌の水も弾かぬひとり寝のあはれなりけり女もののふ」。
これ楓さんが書かはりましたんか?もしかして楓さん歌人になりたいんや…。
アカンか?ホンマは親の決めた結婚なんか興味ない。
自分の事は自分で決めたいんや。
夢かなうとよろしいですね!かなう訳ないやろ。
あんたは夢ないんか?お慕いする人とお墓まで連れ添う事です。
そんなに好き合うてるんか?はい。
どちらも欠けてはなりません。
あんたの方がかっこええわ。
え?やきもちやいてたんや。
あんたが親に勘当されても自分を貫いてまっすぐ生きてる事に。
うちもあんた見習うてうちらしゅう生きてみるわ。
へ?短い間でしたがお世話になりました。
藤吉郎にはあんたみたいな気ぃの強い人が合う思たんやけどな。
うちはうちに合うた男はんを自分で見つけてみよう思います。
何やこれ!番頭さんは?聞きたい事があるんやが。
(佐吉)朝はようにお出かけになりましたけど。
ここんとこ誰かと会うてはるようで。
ごめんください。
ごりょんさんいてはりますか?この家の事でね大事なお話があるんです。
生字幕放送でお伝えします2017/10/29(日) 11:00〜11:20
NHK総合1・神戸
「わろてんか」一週間 第4週「始末屋のごりょんさん」[字]
てん(葵わかな)と藤吉(松坂桃李)は大阪にある藤吉の実家へ。藤吉の母・啄子(鈴木京香)はいいなずけとして楓(岡本玲)を紹介したうえてんを嫁と認めず女中として扱う
詳細情報
番組内容
てん(葵わかな)と藤吉(松坂桃李)は駆け落ちし、大阪にある藤吉の実家の米問屋へ。しかし病気のはずの藤吉の母・啄子(鈴木京香)はピンピンしていた。しかも藤吉の許嫁という楓(岡本玲)まで現れ、啄子はてんを嫁として認めず女中として扱う。女中仕事に苦労する中、啄子の発案でてんと楓は商い勝負をすることに。商家出身の楓は商売上手で敵わなかったが、てんは売れ残った古米をおいしく食べるためのアイデアを思いつく。
出演者
【出演】葵わかな,松坂桃李,濱田岳,徳永えり,岡本玲,堀田真由,鈴木保奈美,鈴木京香,遠藤憲一
原作・脚本
【作】吉田智子
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:27029(0x6995)