「オイ、こっちが先に並んでたんだぞ(怒)」
食品スーパーに勤めています。とても繁盛している店で、ピーク時は大変混みあい、レジに長蛇の列が出来ます。
そのような時でも、レジの交代の引継ぎ時や、担当者の休憩時間はレジを一旦ストップさせなければいけないこともあり、店内の混雑ぶりにざわついているであろうお客様の白い視線を感じながら頑張っています。
そんなレジ混雑時に注意しなければいけない瞬間が、空いているレジを新たに開ける時です。
「お次の方からこちらにお回りください」
とは店で買い物をする時、よく耳にするフレーズでしょう。しかし、この「お次の方」を見間違えるとクレームにつながります。
「おい、こっちの方が先に並んでたんだぞ」
とお叱りを受けることがあります。なぜこのようなことが起こるのか?それは、従業員はそばのレジに並んでいる2番目の方を誘導したいと思い誘導します。
ところが、別のお客様が、「あっ、もうすぐこのレジ開けてくれそうだな。よし、このレジに並ぼう」という気持ちでレジのそばで待っていることがあります。
なので、周囲をしっかり見て「お次の方」を判断しなければいけません。
混雑時で気が立っているお客様も多く、順番の間違いなどにとてもご気分を害されることがあります。
しかし、「そんなに怒らなくても・・・」と思うほど怒られることがあります。混雑時に少しでも早く自分のレジを済ませたいと誰もが急いでいます。
お客様だけでなく従業員もみんな必死です。ほとんどの方は、その事情に理解を示されて、「こっちが先に並んでいたのに・・・」という言葉以上に責められることはありません。
しかし、中には・・・
「こっちは急いでいるんだよ」
「客を選んでいるんか?」
「本社に言うぞ」
と言われる方もいます。従業員は決して意地悪をしているわけではありません。出来るだけ次に並ばれている方を優先したいと思っています。
その次の方が、そばのレジに並ばれている方なのか?それとも今から開くレジを狙って近づくお客様か判断が難しいケースもあります。
そんな時は、「こっちの事情も多少は分かってほしい」という気持ちになります。今から紹介する話もそんな気持ちになった出来事です。
買い間違いで返金を要求するお客様
「やっぱりこれ返品してくれや」
返品はサービスカウンターにてさせていただいています。
「申し訳ございません。サービスカウンターにお回りください」
店内アナウンスでサービスカウンターに従業員が呼ばれました。
ピンポンパンポーーン、サービスカウンターでお客様お待ちです。従業員はサービスカウンターまでお願いします」
しかし、サービスカウンターは本来無人です。
「おい、サービスカウンターは誰もおらんのか?」
従業員が駆け付けるまで待てないお客様。
「おい、誰かおらんのか?早くこいや、聞こえてんのか?」
どないなっとるんや?」
さきほどレジで対応した女性従業員を責めるお客様。
「おい、サービスカウンター誰もおらんがな、舐めとったら承知せんぞ」
再度店内アナウンスが流れました。
ピンポンパンポーーン、サービスカウンターでお客様がお待ちです
数分後に到着した社員である私。
「大変お待たせいたしました」
「ほぅ「
「お前、レジのおばはんにどんな教育しとるんじゃ」
「サービスカウンターに回れといわれたから来たのに誰もおらんって
「どないなっとるんじゃ、なめてんのか?」
「わしはいつもここで買い物をしてるんだぞ」
「なんでもここで買ってるんだぞ」
「なぁ、逆の立場で考えて見ろ、気分わるいぞ」
「大変申し訳ございませんでした」
「常連のお客を大事にせな、店つぶれるぞ」
「わしおはお前らのためを思っていってるんやぞ本当に気をつけなあかんぞ」
「ご指摘いただき申し訳ございません」
いかがでしたでしょうか?多くの方は、何もそこまで怒らなくてもと思われたのではないでしょうか?実際にそばで様子をちらちら見ていた他のお客様から「何あの人?」という視線を感じました。
薄利多売のギリギリの人件費でのオペレーションを求められる町のスーパーでは・・・
サービスカウンターに常に従業員を立たせておく余裕はありません。
食品スーパーでサービスカウンターに常時、従業員がいているのはイオンなどの大手か、グランドオープンの時ぐらいではないでしょうか?
私も別の店で買い物に行った時、サービスカウンターで多少待たされることはあります。多くの方はその辺の事情を理解されてぐっと我慢をしているでしょう。
なので「多少はこっちの事情も理解してほしい」という気持ちが生まれました。しかし・・・
対応した従業員に突っ込まれる隙はありました。
それはお客様に、「申し訳ございません。サービスカウンターにお回りください」と言ったことです。
そして、すぐに店内アナウンスで「サービスカウンターでお客様がお待ちです」と従業員を呼びましたが、そばにいてる時とそうでない時があります。
それに対してお客様は「サービスカウンターに回ってください」という意味をサービスカウンターには従業員がいてると思ったのです。
お客様も従業員も思い込みで動いていました。そしてお客様の怒りが爆発しました。この場合は・・・
「大変申し訳ございません。ご返品はサービスカウンターでお受けしますが、従業員を呼びますのでお待ちいただいてもよろしいでしょうか?」
と、お待ち頂く必要があることを伝えるべきでした。つまり、このお客様から私が学んだことは・・・
従業員の事情を分かったものだと決めつけることは危険だということです。
人と接する仕事をしていると、自分の想像以上のことでお叱りを受けることがあります。そんな時は「こっちの事情も理解してほしい」と思うことが多々あります。
しかし、事情を理解されていないことを想定するのもプロとして必要なスキルだと気づかされました。。