【巨人】ドラ1鍬原、目標は菅野「新人王」「200勝」に挑む
◆2017年プロ野球ドラフト会議(26日)
巨人は3度目の入札で最速152キロを誇る中大・鍬原(くわはら)拓也投手(21)を1位指名した。大学の先輩でもある阿部慎之助内野手(38)に憧れて野球を始めたという即戦力右腕は、目標とする投手に絶対エース・菅野智之投手(28)を掲げ「新人王」「200勝」に挑む決意を示した。幼少期から女手一つで育ててくれた母・佐代子さん(48)への恩返しを誓った剛腕が、開幕ローテ争いに殴り込む。
名前を呼ばれた瞬間、頭が真っ白になった。鍬原は巨人からの1位指名に驚きを隠せなかった。都内にある中大キャンパス内のホールで野球部員とテレビ中継を見ながら待機。仲間の大歓声で、緊張気味の表情が一気に満面の笑顔に変わった。
「率直にホッとしています。ずっとク、クと鍬原のクと呼ばれるのを待っていて、本当に呼ばれた時はびっくりしました。小さい頃に憧れていたチームに入れると思うとうれしいです」
外れ外れの1位だが、待望の即戦力投手だ。最速152キロのスリークオーター右腕。ソフトバンク・摂津、ロッテ・石川らの動画で研究した130キロ前後のシンカーが大きな武器だ。今春の東洋大戦で14奪三振完封を記録し、巨人スカウトの評価が急上昇。今秋リーグ戦は先発&リリーフとフル回転するが、大きな野望を胸にプロの世界に入る。
「最初の目標は開幕1軍です。1軍に定着できれば新人王というものも見えてくると思いますし、200勝を目標にやっていきたいです。菅野選手のような球界を代表する投手になりたい。全てのボールで勝負できるというのはすごいと思うので、そういうところを目標にしていきたいです」
野球を始めたきっかけが巨人だった。小1の頃、テレビで本塁打を見た阿部の姿に憧れ、白球を追うようになった。「本当は対戦してみたかった」という大学の大先輩とチームメートになるとは夢にも思わなかった。座右の銘は「感謝」。プロでは、女手一つで育ててくれた母・佐代子さんへの恩返しを目指す。
「母は金銭面で貯金を崩したり、欲しいものを我慢して全部野球に充ててくれた。迷惑をかけたな、と。(奈良の)実家も大きくなく裕福ではなかった。小遣いももらった記憶がない。これから自分が活躍してこそ親孝行だと思います」
巨人は今季、菅野、マイコラス、田口の「3本柱」に次ぐ先発投手が課題として残った。後半から台頭したルーキー畠とともに、1年目から期待は大きい。
「周りの人に支えられたからこそここまで来ることができたので、感謝を忘れずにやっていきたいです」
愛称は「クワ」。V奪回に向け若手底上げを目指す巨人に、大きな戦力が加わった。(片岡 優帆)
巨人・阿部慎之助内野手(中大から2000年ドラフト1位=逆指名=で入団)「上位で指名されている以上は即戦力なんだから、春からアピールできる態勢をつくることが大事。外れ、外れ1位でも1位なんだからね。明日からの過ごし方が来年のルーキーイヤーに必ずつながる。今は自分のできることを必死に練習してほしい」
◆鍬原拓也(くわはら・たくや)アラカルト
☆生まれとサイズ 1996年3月26日、岡山県生まれ、21歳。177センチ、76キロ。右投右打。
☆50メートル走 6秒2。
☆球歴 3歳で奈良に転居、小3から本格的に野球を始める。大正中では橿原磯城シニアに所属、ジャイアンツカップに出場し、東京Dでプレー。1学年下に巨人・岡本。北陸高(福井)では甲子園出場なし。高校通算22本塁打。中大では1年春から東都大学リーグ戦に登板。通算43登板11勝12敗、防御率3・20。
☆球種 最速152キロの直球に、DeNA・吉田編成部長が「クワボール」と評した2種類のシンカーが最大の武器。スライダー、カーブ、フォークも操る。
☆グラブの色 紫。理由は母が好きな色だから。
☆趣味 大学入学後に始めたゴルフ。初ラウンドでスコア「109」。テレビのゴルフ番組が好き。
☆好きなタレント 米倉涼子。
☆家族 母・佐代子さん(48)と妹・愛奈さん(17)。