国連 日本の核廃絶決議への支持減る

国連 日本の核廃絶決議への支持減る
k10011201441_201710280622_201710280623.mp4
国連総会の委員会に日本が毎年提出している核兵器の廃絶を呼びかける決議案が採決にかけられましたが、核軍縮に取り組む表現がこれまでより後退したとして支持する国が減り、唯一の戦争被爆国として核軍縮を主導するとしてきた日本の姿勢が改めて問われることになります。
ニューヨークの国連本部で開かれている軍縮問題を扱う第1委員会では、27日、核軍縮に関して各国が提案した決議案の採決が行われました。

日本は24年連続で核兵器の廃絶を呼びかける決議案を提出していますが、ことしの決議案は北朝鮮による核・ミサイル開発の脅威を繰り返し指摘し、「国際的な緊張関係の緩和を通じ核廃絶を目指す」として、安全保障の重要性を強調しています。

一方で、NPT=核拡散防止条約への言及が減り、日本がアメリカなどとともに反対している核兵器禁止条約にも直接触れられていません。

採決の結果、144か国の賛成多数で決議は採択されましたが、167か国が賛成した去年の決議と比べ、核軍縮に取り組む表現が後退したとして、20か国以上が反対や棄権に回ったものと見られます。

日本はこれまで唯一の戦争被爆国として、核兵器の保有国と非保有国の橋渡し役を務め核軍縮を主導するとしてきましたが、決議への支持が減ったことでその姿勢が改めて問われることになります。
日本はことし提出した核兵器の廃絶を呼びかける決議案について、去年の決議から内容をどう変更したかを示す草案を、事前に各国に配布していました。

それによりますと、ことしの決議案では北朝鮮による核・ミサイル開発の脅威を繰り返し強調し、「核兵器の役割について安全保障上の状況に配慮する」という表現が新たに加えられ、核軍縮にあたっては安全保障の現実を踏まえる必要があるという立場をにじませています。
また去年の決議で「あらゆる核兵器の使用は人道上の被害をもたらす」としていた箇所では、「あらゆる」という部分が削除されていて、核兵器を非難する表現が弱められているとも指摘されています。

一方で、日本がアメリカなどとともに反対している「核兵器禁止条約」への直接の言及はなく、「効果的な核軍縮が必要だ」と強調していて、核兵器を一律に禁止するのではなく、あくまで保有国の同意に基づいた現実的な核軍縮を進めるべきだという立場を示しています。

さらに各国の指導者による広島や長崎の被爆地への訪問を歓迎しながらも、去年の決議では高く評価していたアメリカのオバマ前大統領の広島訪問には触れておらず、オバマ前政権に反発する現在のトランプ政権に配慮したものではないか、という見方も出ています。

軍縮大使 ”決議への意見 謙虚に受け止める”

決議の採択を受け、日本の高見澤軍縮大使は記者団に対し、「ことしは核保有国と非保有国の間で核廃絶という共通の目標にどう向かっていくかについてギャップが広がっていた。今回の決議はそれを反映してこれまでと違う形で調整していたが、核保有国のアメリカ、イギリス、フランスに加え、核兵器禁止条約を推進してきた国も含め144か国の幅広い賛成が得られたのは非常に心強いことではないか」と述べ、採決の結果を歓迎しました。

そのうえで、「ことしの決議は去年とどうして違うのかという声など決議に対していろんな意見が出されたことも事実なので、謙虚に受け止めながら、具体的な措置を進めていきたい」と述べ、核廃絶に向けて核兵器の保有国と非保有国の共通の基盤作りを目指したいという考えを示しました。

国連 日本の核廃絶決議への支持減る

国連総会の委員会に日本が毎年提出している核兵器の廃絶を呼びかける決議案が採決にかけられましたが、核軍縮に取り組む表現がこれまでより後退したとして支持する国が減り、唯一の戦争被爆国として核軍縮を主導するとしてきた日本の姿勢が改めて問われることになります。

ニューヨークの国連本部で開かれている軍縮問題を扱う第1委員会では、27日、核軍縮に関して各国が提案した決議案の採決が行われました。

日本は24年連続で核兵器の廃絶を呼びかける決議案を提出していますが、ことしの決議案は北朝鮮による核・ミサイル開発の脅威を繰り返し指摘し、「国際的な緊張関係の緩和を通じ核廃絶を目指す」として、安全保障の重要性を強調しています。

一方で、NPT=核拡散防止条約への言及が減り、日本がアメリカなどとともに反対している核兵器禁止条約にも直接触れられていません。

採決の結果、144か国の賛成多数で決議は採択されましたが、167か国が賛成した去年の決議と比べ、核軍縮に取り組む表現が後退したとして、20か国以上が反対や棄権に回ったものと見られます。

日本はこれまで唯一の戦争被爆国として、核兵器の保有国と非保有国の橋渡し役を務め核軍縮を主導するとしてきましたが、決議への支持が減ったことでその姿勢が改めて問われることになります。

日本はことし提出した核兵器の廃絶を呼びかける決議案について、去年の決議から内容をどう変更したかを示す草案を、事前に各国に配布していました。

それによりますと、ことしの決議案では北朝鮮による核・ミサイル開発の脅威を繰り返し強調し、「核兵器の役割について安全保障上の状況に配慮する」という表現が新たに加えられ、核軍縮にあたっては安全保障の現実を踏まえる必要があるという立場をにじませています。
また去年の決議で「あらゆる核兵器の使用は人道上の被害をもたらす」としていた箇所では、「あらゆる」という部分が削除されていて、核兵器を非難する表現が弱められているとも指摘されています。

一方で、日本がアメリカなどとともに反対している「核兵器禁止条約」への直接の言及はなく、「効果的な核軍縮が必要だ」と強調していて、核兵器を一律に禁止するのではなく、あくまで保有国の同意に基づいた現実的な核軍縮を進めるべきだという立場を示しています。

さらに各国の指導者による広島や長崎の被爆地への訪問を歓迎しながらも、去年の決議では高く評価していたアメリカのオバマ前大統領の広島訪問には触れておらず、オバマ前政権に反発する現在のトランプ政権に配慮したものではないか、という見方も出ています。

軍縮大使 ”決議への意見 謙虚に受け止める”

決議の採択を受け、日本の高見澤軍縮大使は記者団に対し、「ことしは核保有国と非保有国の間で核廃絶という共通の目標にどう向かっていくかについてギャップが広がっていた。今回の決議はそれを反映してこれまでと違う形で調整していたが、核保有国のアメリカ、イギリス、フランスに加え、核兵器禁止条約を推進してきた国も含め144か国の幅広い賛成が得られたのは非常に心強いことではないか」と述べ、採決の結果を歓迎しました。

そのうえで、「ことしの決議は去年とどうして違うのかという声など決議に対していろんな意見が出されたことも事実なので、謙虚に受け止めながら、具体的な措置を進めていきたい」と述べ、核廃絶に向けて核兵器の保有国と非保有国の共通の基盤作りを目指したいという考えを示しました。