ティーンエージャーとSNS
子供たちが成長するにつれてSNSなどを通して、人との関わりが増えていきます。すると遅かれ早かれ、SNS上でフレンドとの関係で問題が出てきます。
SNS上での情報は大きく分けると「投稿」と「コメント」があります(「プロフィール」と「メッセージ」は今回は含めないことにします)。「投稿」に関しては不快な内容の投稿は当然あるものですが、それに対する対応は一つです。
「スルーする」。
そこにコメントを書きにいったら大抵は泥沼化する方向に一歩進んだことになります。これは娘たちに教えるのは割と簡単だと思います。
問題はコメントです。コメントは自分の管理下にありません(削除できる、といった技術的な管理ではない。) それを書くのはSNSでつながっている人で、その人のその思考や行動を支配するのはその当人唯一一人です。
コメントにもいろいろな性格のものがありますが、そのほとんどが肯定的・建設的であったり共感を示すものであったりします。
ですが、ここで取り扱いたい問題なのが・・・ネガティブなコメントです。
SNS上のトラブルの発端のほとんどはこれではないでしょうか?
このトピックに関しては、どうやって娘たちにそういう事態に適切に対応できるようになれるか、どうやってその心構えというか気持ちの準備ができるか、私がどう準備の手伝いが出来るか、考えてきました。
今回この疑問に対する一定の私の方針が固まり、実践してみたのでちょっと紹介したいと思います。
きっかけは、私自身がSNS上で、私が不快に感じるコメントを繰り返す人がいて、その人が最近また気分を害するようなコメントを記入してきたことが発端です。
これはSNSではごく普通の現象で、誰にでも日常的に起こっていることです。つい余計なことを言ってしまう人、つい便乗してトピックとは関係のないことを言ってしまう人、そういうことをする人が存在するのは当たり前です。SNSでなくても現実社会でも普通です。そして、大人のみなさんはそれぞれの判断で様々な対応をとっています。
だけど、ティーンエージャーという年齢は微妙ですし、正直予測不能です。何しろ私たちが同じ年代の時にSNSは無かったわけですから。全く新しい課題です。
娘たちに理解を深めてもらいたいなと感じたことですが、まずは、対応の仕方そのものに正しい答えはない、ということを理解してもらいたいと思いました。
不快なコメントに対する対応にはいくつかの選択肢があって、自分でしっかりと考えて方針を固め、それから行動に移す。
正しい答えはないけど、誤った答えを出すことは簡単だと思う。感情任せで対応してしまうこと。特に良くないのはUnfriendなどの劇的な反応。実際にトラブルの原因のトップじゃないかと思う(データはないです。私見です)
方針1 自分のSNS上でのトラブルを家族と共有する
まずはSNS上で、トラブルの原因になりそうな投稿やコメント機能を利用した意見交換が発生したとき、ひとりだけで判断するよりも自分に近い人たちと一緒に考えてもらうことが重要です。
自分に近い人と言えば、まずは家族。
私も今回の件では、自分自身の勘違いや過剰反応である可能性がありますから、まず自分以外の人から意見を聞くことにしました。帰宅後、まず妻に「見た?」っと来てみたところ、かなり怒っていて、どうやら私だけが過剰に反応したのではない、と分かりました。
娘たちにも同様に、「見て、こんなことになってるんだけど、どうすればいいと思う?」と聞きました。そういう家族の問題をみんなに聞いてもらえる、そういう家庭内のカルチャーを作るのは重要だと思います。
いじめの問題も根っこの部分では、こういう家族との意思疎通や家族にサポートしてもらえる環境かどうか、それが問題の解決の大きくかかわっていると思います。
ここで、子供に向けて「なにかあったらすぐに言うのよ」だとまだ足りないと思います。カルチャーが必要です。なので、親が見本となって、自分に起こっている問題を家族と共有して話し合う姿勢、というのを実践するべきです。子供は教わらなくても親の真似をしますから。
方針2 問題の分析をする
分析というと言葉が固いですが、つまりは「これはいったい何なのか」というのをだいたいのところ掴むことです。
私は娘たちに、問題のSNSでのコメントの投稿とコメントを読ませて、「どう思う?」と聞いてみました。出来るだけ私の解釈は言わずに、子供たちの意見を真摯に聞く態度で。そうすると子供たちも自分たちなりの分析を披露してくれます。彼らの視線から見てどう思うかを教えてもらうのは、私にとってセコンドオピニオンを得られるだけでなく、副産物として娘たちの価値観や彼女たちに身近に起こっている事例などを知るきっかけにもなります。
そして「まず親が実践」に従い、問題の核心をしっかりと理解するようにします。
今回の件では、「この人には共感力(英語でSymphathy と Emphathyという言葉を使いました)が足りていない。だからこれはコメント発信したこの人が問題」という意見で家族は統一しました。
方針3 どう対応をするかを決定する
私はこの話をするときに以下の方針をまず娘たちに伝えました。
A. 丁寧に回答し、相手のコメントに同調(場合によっては迎合)する
B. スルーする(いいね!を返さない、レスを返さない)
C. 個別のメッセージ等で反論する
D. みんなに見える形で反論する
E. Unfriendする
この中のどの対応がパパ(私)が取るとしたら一番適切だと思う?と聞きました。さらに、もし自分に同じようなことが起こったらどうする?とも聞きました。
これは意見が分かれました。双子の娘ですが、2卵生ですからね。そして、対応の仕方の判断は十人十色で違っていて当たり前です。大切なのは「どれを選んだか」ではなく「考えて選んだか」だと思うのです。
人生の中で人間関係で失敗しないわけがありません。SNS上でのトラブル解決も、うまく行くときもあれば大失敗することもあります。大切なのは、体験を教訓に活かしていけるかどうかです。考えずに神経反射だけで対応すると、反復学習の成果はあまり期待できません。考えた結果であれば、自分自身で未来の自分の判断にフィードバックができるでしょう。
方針4 SNS上でのネットワーク構築のポリシー
これは自然に出来てくる性質のものなので、娘たちがどうすべきかとか、そういう意見はないんですが、SNSはあくまでもツールであり、それをどのように利用して自分の生活や人生に役立てていくのか、その目的にそって人とのネットワークが形成されていきます。
ポリシーというかパターンはいくつかあると思いますし、それぞれに対して個々人の価値観によっては良いポリシーと悪いポリシーがあると思います。
大切なのは、それらが何であるかを理解し、それによるSNS上での効果(肯定的な効果もあれば、非建設的な効果もあるでしょう)をだいたいでもいいから理解しておくことは、まったく考え無しでSNSを利用していくより良えでしょう。
例えばこういうポリシーというか利用目的があると思います。
SNSを情報収集のツールとして使う
SNSを親しい人(家族・友達)との近況の共有に使う
SNSを会ったことが無い人との交友を広げるために使う
SNSを自分のビジネス目的や宣伝で使う
SNSを自己顕示欲を満たすために使う
などなど・・・
私も上のいくつかをミックスして使いってます(いくつか私は絶対にやらない、と決めているものもありますが)。こういうメタ情報的な捉え方も、SNS上でのトラブルを解決するのに便利な時があるとおもいます。レッテル張りはよくはないですが、大抵の場合、不快なコメントなどは「あ~、これは本人が承認欲求を見たしたいだけだよ」といった分析をするだけで冷静になれたりするものです。
そうして、自分自身もSNS上では「この人はこういう人」という風に判断をされている可能性に気づくはずです。
娘たちもSNSの利用を重ねるにつれて、自分なりのポリシーが出てくるでしょう。
まとめ
仕事がらたまにSNS上でのセキュリティーの設定の話や相談に乗ることもあります。また、素性の分からない人とのかかわりあい方に関して、親同士で意見交換をしたりして、子供たちにとって出来るだけ安全で、そして楽しいSNSとの付き合い方を模索してます。
ぶっちゃけると、あと10年もしないうちに子供たちは自分たちで独自のSNS人間関係を築くし、そこに親の影響がどれぐらいあるかというと疑問です。ですが、少なくともティーンエージャーとカテゴリ分けされる年齢の間は、親が家族として関わっていきながらトラブルのリスクを最小限にすることも親の義務だと思います。
子供たちにとってSNSが人生を豊にするツールになってくれればと願うのはどの親も同じでしょう。