『言葉とは何か』という丸山圭三郎さんの本にこう書いてありました。
明治時代の人は、苺のことを「七郎兵衛」(←strawberry)、鉛筆のことを「ペンセロ」(←pencil)、競走スタートラインで、On your mark! Get set! といってピストルでドンと合図するのを聞いて「大山元帥どん」と覚えたそうです。
七郎兵衛がストロベリー?これ通じるのかな、という話を息子にしたら、グーグルで検索できるよとのこと。グーグル検索の言語を英語に変更してから検索画面のマイクを押して、「七郎兵衛」と話し、画面に「strawberry」と表示されたら通じると言えるのではないかと。なるほど。たしかになまじ外国人に聞くより、よっぽど客観的なデータが得られそうです。ということで、さっそく試して見ました。
英語に聞こえる日本語
ネットや本からたくさん集めました。その中で、日常生活でわりあいよく使われそうなものを15個集めました。これがその15個の「英語に聞こえると言われている日本語」です。
日本語:こう聞こえるであろう英語とその意味
1「掘った芋いじるな」:「What time is it now」(今何時ですか?)
2「幅、ないっすね」:「Have a nice day」(よい一日を)
3「知らんぷり」:「Sit down please」(すわってください)
4「斎藤寝具」:「Sightseeing」(観光)
5「湯飲み」:「You know me?」(私のことを知ってる?)
6「藁(わら)」:「Water」(水)
7「ハマチ」:「How much?」(いくらですか?)
8「わしゃ、変」:「Wash your hand」(手を洗ってください)
9「めっちゃ強いねえ」:「What your name?」(名前を教えて?)
10「上は10号」:「Where are you go?」(どこへ行くの?)
11「社長はマウス」:「Shut your mouth」(黙れ!)
12「辛いです」:「Try this」(試してみて)
13「揚げ豆腐」:「I get off」(バスなどで)降ります)
14「親友はゲン」:「See you again」(また会いましょう)
15「兄移住」:「I need you」(あなたが必要です)
調査方法
言語を英語(US)に設定し、グーグルのマイク部分をクリックし日本語を発声します。そして、狙っている英語が検索されたらその日本語は通じると判断します。一回だとまぐれということも考えられるので、全ての単語を10回試しました。
話すときには、滑舌よくゆっくりとかなりの音量で話しました。また、「ホッタイムイジルナウ」など小賢しいまね(英語に寄せないということです)をせず、「掘った芋いじるな」と生粋の日本語(標準語)で話しました。また、失敗が何度も続いても試行錯誤をせず全く同じように話しました。検索結果に関係なく「掘った芋いじるな」と機械的に話すように心がけました。わたしは人生の半分を神奈川県で過ごしているので、だいたい標準語です。
結果発表
たぶん通じない(0~20%)
0%
「斎藤寝具」「Sightseeing」(観光)。
「知らんぷり」「Sit down please」(すわってください)。
「めっちゃ強いねえ」:「What your name?」(名前を教えて?)
10%
「辛いです」:「Try this」(試してみて)
ひょっとしたら通じるかも(30%~60%)
30%
「社長はマウス」:「Shut your mouth」(黙れ!)
60%
「わしゃ、変」:「Wash your hand」(手を洗ってください)
「揚げ豆腐」:「I get off」(バスなどで)降ります)
「上は10号」:「Where are you go?」(どこへ行くの?)
たぶん通じる(70%~90%)
70%
「ハマチ」:「How much?」(いくらですか?)
80%
「藁(わら)」:「Water」(水)これはいけます。
90%
「幅、ないっすね」:「Have a nice day」(よい一日を)
「湯飲み」:「You know me?」(私のことを知ってる?)
「親友はゲン」:「See you again」(また会いましょう)
間違いない(100%)
100%
「掘った芋いじるな」:「What time is it now」(今何時ですか?)
「兄移住」:「I need you」(あなたが必要です)
こんなにばらつきがあることに驚きました。 「掘った芋いじるな」は15回目に、「兄移住」に至っては21回目に違う変換になったくらいです。会話の中で使うなら、流れで聞き取ってくれるはずなので、ほぼ間違いないでしょう。
それに引き替え、「知らんぷり」の弱さったら。何回言っても、一度も「sit down please」にはなりませんでした。
おまけ
ちなみに、「七郎兵衛」は50%と意外に善戦しました。ただ、「大山元帥」は一度も「On your mark! Get set!」となりませんでした。「On your mark! 」にもならずです。
この実験、はたから見ていたらかなり恥ずかしい光景でした。タブレットに「掘った芋いじるな」と丁寧で滑舌よく十回話し、それをノートにメモる姿は誰にも見られたくありません。けっこう大変でした。みなさんのお役に立てたかしら。