育児休暇をとったシングルファザーの管理職が、ハラスメントを受けたというニュースがありました。
育児休業取得を理由とする不利益取扱いという内容なのだけれども、こういうニュースを見ていると、家事・育児・仕事の両立をしたい男性にとって、会社勤めはもはやリスクではないかとさえ思えてくるね。
- 三菱モルガンでの「パタハラ」について
- 新卒採用サイトで「家事・育児・仕事の両立できます」とアピールしているにもかかわらずこの仕打ち
- 子育てのための制度を利用した男性社員をフォローする仕組みが"十分に機能している"と思うのは5.7%
- 小さな会社で、私が経験したこと
三菱モルガンでの「パタハラ」について
仮処分を申し立てたのは、三菱モルガンの部長職で、カナダ人のウッドさん。ウッドさんは育児休業取得後に復職したら、業務上必要なミーティング予定も教えてもらえなくなるなどハラスメントを受けるようになり、心身に変調をきたすようになったそうな。
そしてうつ病で診断され、休職をしていたウッドさん。しばらくして復職は可能との診断書を得た。本人も復職の希望したにもかかわらず、会社はこれを認めず、年俸を半減させる別業務での復職を提案。
ウッドさんは、休職前の業務での復帰を求め続けたが、会社はやはりそれを認めず、ついには賃金支払いのない休職命令を出したとのこと。
もー💢ひどい仕打ちよね!
こういう仕打ちは会社の意向だったのかなあ。それとも、ウッドさんの上司の意向だったのかなあ。それとも、その両方だろうか。
新卒採用サイトで「家事・育児・仕事の両立できます」とアピールしているにもかかわらずこの仕打ち
そんな三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、新卒採用のサイトで「家事・育児・仕事の両立している社員がいます!」とアピールしているところに薄ら寒さを感じる😅
面の皮が厚いというか……。まあ、新卒採用の情報なんて、いいことしか書かないもんね。
子育てのための制度を利用した男性社員をフォローする仕組みが"十分に機能している"と思うのは5.7%
こういう対応をしてしまうのは、なにも三菱モルガンが特別おかしいからではない。
少し古い調査ではあるが、2013年に連合が、1,000名を対象にインターネット調査を行った。そこ結果によると、子育てのための制度を利用した男性社員をフォローする仕組みが"十分に機能している"と思うのは、わずか5.7%であったという。
三菱モルガンのケースは氷山の一角であって、いつ誰に起きてもおかしくはないよね。
「パタニティ・ハラスメント(パタハラ)に関する調査」(日本労働組合総連合会, 2014年)
https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20140123.pdf
小さな会社で、私が経験したこと
私も三菱モルガンのような大企業ではないけれども、同じような経験をしたことは何度もある。
細かいことは書かないけれども「男は仕事」という価値観の中を何十年も生きてきた人たちには、何度説明をしてもわかってもらえない。社長に直訴できる小さな会社の私でさえも「この人は絶対にわからないだろう」と諦めざるを得なかったのだから、大きな会社に勤めている人であればなおさらだと思う。
こういうことが続くと、本当にやる気が削がれてくるんだよね。
三菱モルガンのような大手企業で、ホームページに大々的に「育児の両立できます!」と、公に対して掲げている企業でさえもそうなのだ。私だって「ウチの会社は柔軟に認めてくれるはずだ」って、根拠はないけど、子どもが産まれるまでは信じて疑わなかったもんね。
うちの社長だって、こう言ってたのよ。
「うちは小さな会社だから、(家事・育児との両立は)柔軟にやればいいよ」
って。
でも、実際は柔軟な働き方など、認めてはもらえなかった。
いくら制度があったり、建前で会社がきれいごとを並べたりしても、実際に社員が家事育児のために仕事の現場を離れた時に、経営者や上司がどう感じるかは、その状況になるまで誰にもわからないという怖さがある。
経営者や上司は、果たして私の家事育児への没入を、好意的に解釈するか、そうでないかは、私の努力ではどうにもできない問題。
家事・育児・仕事の両立をしたい男性にとって、自分の勤める会社が、自分の希望通りの働き方を認めてくれるかどうかは、もはや賭け事(リスク)と言ってもいいんじゃないかな。
それがリスクであるならば、私たちは回避すべきなのか、それとも受容すべきなのか。