(小松・淀川長治のまねで)はい皆さんこんばんは。
またまたまたお会いしましたねえ。
さあ「植木等とのぼせもん」今日でいよいよ最終回。
まあ悲しいですねえ切ないですねえ。
さて付き人を卒業して10年。
小松青年はね今やバラエティーにドラマに引っ張りだこ。
まあ忙しい毎日を送っています。
そして師匠の植木等は新境地を開拓して新しい道を歩み始めていました。
さあ2人にはどんなフィナーレが待ち受けているのか。
これから皆さんと一緒に見ていきましょうね。
(植木)父さんどうだった?今日の芝居。
(徹誠)うん…?うん。
いや「うん」じゃ分からないよ。
お前もこういう役をやるようになったのか…。
・
(小松)失礼します。
はい。
親父さん!おう小松じゃねえか!ご無沙汰しております。
あっお父さんもいらしてたんですか。
元気でやっとるかね。
おかげさまで。
いや〜芝居よかったです。
いや坂田三吉なんてなあ年取ってからやるもんだ。
「冗談じゃないよ。
そんなの50過ぎてからだ」ってマネージャーに言ったら変な顔してさ「植木さんもうあなた50ですよ」だって。
(笑い声)俺ってもう50なんだなあってそれで驚いちゃってさ。
そっちはどうだい?順調にやってるの?もう親父さんから教わった事を愚直にやってるだけで…。
最近の芸能界は人間もすっかり変わっちまってテレビも見なくなっちゃったからさ。
何言ってんだお前。
小松君の出る番組欠かさず見てるじゃないか。
おい父さんこういう時はそういう事にしといてくれよ。
あのそれで親父さんちょっと紹介したい人がいるんですが。
ん?おお!俺の母です。
お母さん!?これはこれは…。
親父さんの芝居見せてやりたくて…。
ようやくご挨拶に伺えました。
その節はいろいろどうも。
(ハツエ)あっそんなこ…こちらこそ雅臣が…。
これあのあの…めんたいこ。
あ〜もうオドオドせんと。
ぴしゃ〜っと挨拶せんね。
口ば博多に忘れてきたっちゃないと?こら小松!母親にそんな口の利き方するんじゃない!あっ…すいません。
息子はいつまでたっても息子ですなお母さん。
(笑い声)マサ坊今度はあんたが運転手つけるようになったとね。
マネージャーばいマネージャー。
ああ…偉かなったとねえ。
父さんごはん。
うん。
ん?何やってたの?あ〜知り合いに揮ごうを頼まれてさ。
筆握ったのは久しぶりだ。
「和利きれぬままわりきるる浮世哉」…。
まあ世の中の事でどうにもならないなんて事はない。
まあそんなような意味か。
ふ〜ん。
お前はさ無責任やっていた時の方が本当のお前だったのかもしれんなあ。
え?「スーダラ」をやり続けているうちにそれがお前の心の中にしみこんでいったんだな。
うん?どういう事?人生が外側から出来上がる事もあるって話。
登美子さん今日何作ってくれたのかな。
楽しみ。
それはもしかしたら遺言のようなものだったのかもしれません
お父さんが病に倒れたのは間もなくの事でございました
父さん何?父さん。
・「スイ…スイスイスーダララッタ」・「スラスラスイスイスイ」
(笑い声)
(笑い声)
昭和53年2月19日植木徹誠はこの世を去りました
(ツル子ママ)あ〜まっちゃん!遅いぞまっちゃん!
(巌)おっいいねいいね!よいしょ。
それでは久野夫妻の新しい出発を祝して乾杯!
(一同)乾杯!はあ〜。
あ〜うめえ!
(拍手)ありがとうございます。
よろしくお願いします。
だけど驚いたわよ。
久野ちゃんが急にお店やりだすなんて言うんだから。
最初はね冗談かと思ったけど。
知らないの?ママ。
昔っからこいつの作る料理うまかったんだから。
(ツル子ママ)え〜!なあ征四郎。
まあな。
あん時は外で食う金もなくてよく作ってもらってたなあ。
オムライスだけはツル子ママにかなわなかったけど。
そうよ。
ウフフフ…。
ねえママどんな隠し味があるの?教えてよ。
ケチャップライスの中に少しだけコンソメ入れるのよ。
フフフ…。
ん?「隠し味は愛情よ」とか言うのかと思ったら…。
意外と普通に返しちゃったね。
(笑い声)あらやだ!もう一回やらせて!いいからいいからママ。
オムライスお願い。
聞いてたら食べたくなっちゃったよ。
は〜い。
巌ちゃん手伝って!俺?…ったくよ。
うれしそうじゃないすか。
(笑い声)まっちゃんも大活躍じゃない。
いつも2人でテレビ見てんのよ。
(久野)映画も見たよ「居酒屋兆治」。
お前は俺がなれなかったものになったんだなあ。
お前は…俺がつかめなかったものを手に入れた。
お互いいけるところまでいこうな。
ああ。
お〜い!えっ?これ見ろよ。
(久野)すげえなあ植木さん。
ああ。
親父さんの背中はどんどん大きくなるよ。
そして昭和61年も暮れようとしていました
(ノック)社長。
社長。
(渡辺)よう。
うん?何聴いてるの?
(ウォークマン)・「チョイト一杯のつもりで飲んで」・「いつの間にやらハシゴ酒」・「気がつきゃホームのベンチでゴロ寝」・「これじゃ身体にいいわきゃないよ」・「分っちゃいるけどやめられねえ」・「アホレスイスイスーダララッタスラスラスイスイスイ」どうだい?え?古くならないだろう?・「スイスイスーダララッタスーダララッタスイ」俺たちがやってきた仕事は一体どれぐらいのもんだったんだろうと思ってさ。
聴き直してたんだ。
植木屋俺たちなかなかのもんだったよな。
何だいまだくたばるのは早いよ社長。
バカ野郎。
何たって植木等は社長あんたが作ったんだ。
俺たちずっと走ってるなあ。
え?いろんなものを追い抜いて追い抜いて追いつかれてまた追い抜いて追い抜かれて…。
ああもう一回みんなを楽しませたいなあ。
(ノック)お〜植木屋も来てたのかよ。
社長どうだい?調子は。
ああ。
ちょっと風邪ひいたってぐらいのもんだよ。
アハハ…!やせ我慢言ってらあ。
表で偶然2人に会ってさ。
(2人)社長。
よく来てくれたなあ。
ほら「お父っつぁんおかゆが出来たわよ」。
(ノック)
(犬塚)よう!お〜みんな!社長〜!谷啓持ってきてくれたかい?
(ハミング)
年が明けて渡辺晋もこの世を去りました
多くの人が参列したお別れの会も終わろうとしています
(ハナ)社長がそんな事を…。
ああ。
「追い抜かれて追い抜いて」か…。
だけど結局それが社長の走り方だったんだ。
それぞれにみんなペースってもんがある。
俺にだってお前にだって。
社長は全力で全うしたんだ。
そうだな。
また歌うのかい?え?聞いたよあのころの歌をまたやるって話。
やるって決まった訳じゃないよ。
ただちょっと誘いがあるだけでさ。
歌えよ植木屋。
だけどあれはやっぱりハナ肇とクレージーキャッツがあってこそ…。
んな事は考えなくていいんだよ。
あれは俺たちの歌でありお前の歌なんだ。
やれよ。
やった方がいい。
親父さん。
おう小松。
じゃあ俺先行くわ。
お疲れさまです。
おう小松。
お前随分出世したじゃねえかよ。
いつも見てるぞ。
ありがとうございます。
だけどなクレージーキャッツのリーダーはこの俺ハナ肇だ。
それだけは覚えておけよ。
はい。
(ハナ)あっありがとう。
こちらでございます。
社長も逝っちまった。
はい。
親父も社長もいなくなってこの俺もさすがにどうしたらいいのか分からないよ。
俺ももう一度見たいです。
ん?親父さんの歌ってる姿。
聞いてたのか。
すいません。
でもやっぱり…あの歌を歌えるのは親父さんだけだから。
俺はやらないよ。
植木等はもうお呼びじゃないんだ。
何でそんな悲しい事言うんですか。
それじゃあ…親父さんに憧れてこの世界に入った俺は何なんですか。
生意気言うんじゃないよ。
やらなきゃいけない事をやるのが植木等だって言ったのはあれはウソだったんですか?うるさい!お前に何が分かる!
(「スーダラ節」)
(登美子)懐かしい写真ね。
病人を取材するなんてって怒ったお前が記者を追い出したんだ。
あらあなたのためを思ってやった事よ。
あのころはバカみたいに忙しかったしバカみたいに楽しかったなあ。
この時社長さんが言った言葉まだ覚えてるわ。
何て言った?「20年後も30年後もきっとみんなはあなたの話をする」って。
「たとえあなたがこの世からいなくなってもあなたはいつまでもみんなの心の中で生き続けるんだ」って。
まっちゃんも同じ事が言いたかったのよ。
きっと。
社長…そんな事言ってくれたの…。
会いたいね社長。
会いたいよ…。
あっもしもし植木だけど。
マネージャーいる?あ〜堀越か。
あのなこの間のレコードの件なんだけど…。
クレージーキャッツの往年の名曲をメドレーにした「スーダラ伝説」が大変な反響を呼んでおりますけれども手応えとしては?うん映画も舞台もやったけどやっぱり僕は歌い手なんだなって…。
(古澤)植木君!あっあれ…古澤監督。
ちょっと失礼します。
ご無沙汰してます。
ああ。
君も元気らしいね。
黒澤監督の映画なんかもやったそうじゃないか。
「古澤の次は黒澤だ」ってなもんか。
(笑い声)いや〜「無責任シリーズ」も近頃リバイバルなんて言って見てくれる若い人が結構いるそうですよ。
やっぱり映画は残るねえ。
今も新しい映画を?ああ。
今日もこれからその打ち合わせでね。
通りかかったら君がいたもんだから。
それじゃあまあともかく元気でね。
監督も。
ああ。
すいませんね。
(古澤)シュートする〜!青島さん!おう!誰かと思えば小松じゃねえか。
すごいじゃないですか「スーダラ伝説」。
大人気ですね。
・「ソレスイスイスーダララッタスラスラスイスイスイ」か。
俺もすごい歌作っちゃったよな。
小松よ…小松よ!つくづく自分の才能が怖い!どうやら「紅白」も決まったそうだぜ。
本当ですか?無責任男が帰ってくるぞ〜!・「ソレ」・「スイスイスーダララッタスーダララッタスイスイ」
(登美子)どうしたの?別に。
何が?そわそわして。
そうか?いやほら「紅白」なんて久しぶりだからさ。
(笑い声)・おはようございます。
小松。
親父さんお迎えにあがりました。
お前…。
それじゃあ。
行ってらっしゃい。
小松。
はい。
ありがとよ。
俺はただ…いつまでも親父さんにのぼせてるだけで…。
のぼせもんか。
のぼせもんです。
変わらねえなあお前は。
すいません。
運転気を付けてくれよ。
目にワイパーはないんだからな。
はい。
おはようございます。
おはようございます。
あっ…。
小松頼むよ。
はい。
植木さんお時間になりましたのでスタンバイお願いします。
はい。
親父さん。
うん?親父さんは太陽です。
みんなを照らす太陽なんです。
(笑い声)植木等はそうでなくっちゃな。
(司会)それでは白組植木等さんの登場です!それじゃあちょいと行ってくるよ。
(拍手と歓声)
(手拍子)・「チョイト一杯のつもりで飲んで」・「いつの間にやらハシゴ酒」・「気がつきゃホームのベンチでゴロ寝」・「これじゃ身体にいいわきゃないよ」・「分かっちゃいるけどやめられねえ」・「アホレスイスイスーダララッタスラスラスイスイスイ」・「スイーラスーダララッタスラスラスイスイスイ」・「スイスイスーダララッタスラスラスイスイスイ」・「スイスイスーダララッタスーダララッタスイスイ」
(バイブレーション)2017/10/28(土) 00:55〜01:25
NHK総合1・神戸
土曜ドラマ 植木等とのぼせもん(8)[終]「スーダラ伝説」[解][字][再]
時が経ち、小松(志尊淳)はバラエティなどに引っぱりだこの売れっ子コメディアンとなった。植木(山本耕史)は主に俳優として活動しながら、彼の活躍を見守っていたが…
詳細情報
番組内容
時が経ち、小松(志尊淳)はバラエティやドラマに引っぱりだこの売れっ子コメディアンとなっていた。植木(山本耕史)は主に俳優として活動を続けながら、愛弟子の活躍を感慨深く見守っていた。そんな植木に父・徹誠(伊東四朗)は「スーダラやっていた時が、本当のお前だったかも知れんなあ」と意味深な言葉を残す。ある日、病に伏せる社長・渡辺(高橋和也)の元に、植木はじめクレージーキャッツの面々が久々に終結する…
出演者
【出演】山本耕史,志尊淳,山内圭哉,浜野謙太,武田玲奈,でんでん,高橋和也,優香,伊東四朗,中島歩,坂井真紀,富田靖子,勝村政信
原作・脚本
【作】向井康介,【原案】小松政夫
音楽
【音楽】林ゆうき
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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日本語(解説)
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