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モンキー的映画のススメ

主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

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映画「ブレードランナー2049」感想ネタバレあり解説 哀・戦士。

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10月27日

ブレードランナー2049

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今月、いや今年トップクラスの話題作といってもいいでしょう。

35年前に作られたSF映画の金字塔が今、ハリウッドからもっと熱い視線を送られている監督によって、物語の30年後を描く続編が公開でございます。

今日のSF映画が存在するのは、この映画のおかげなのです。最近の映画しか見ていない方、もしこの映画を見るのならそういう概念を捨てるために、まず「ブレードランナー」を見てからぜひご鑑賞ください。

「ブレードランナー」に関しては、 正直言って何回見ても難しい部分が多く、デッカードが敵をガンガン倒すような爽快感もない、ひたすら暗く重くそして刹那に感じてしまうSFノワールなので、評価はしてますが楽しんでみられるかの基準でいうと難しい所ではあります。

 ですが、先日丸の内ピカデリーでの「爆音映画祭」でファイナルカット版を鑑賞し、あれ?こんなに面白かったっけ?と。

年を重ね、久々に見るとこういう違った見方ができるから過去の名作は楽しい!今回の続編を早く見たいという意欲がわいてきました。

 

てなわけで、いつも通り初日朝イチかましてきましたよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

SF作家フィリップ・K・ディック原作小説を、1982年にリドリー・スコットによって映画化し、革命的SF映画と称されてきた「ブレードランナー」。人間と、人間が生み出した人造人間❝レプリカント❞が共存する近未来の世界を軸に、人間とは何か?という大きなテーマを彼らによって突き付けられた傑作映画が、35年の時を経て、正当な続編として今回製作された。

前作から30年後の世界で人間とレプリカントはどう進化を遂げ、世界はどう変化したのか。そして、彼らの境界線を崩してしまうとされる驚愕の真実とはいったい何なのか。

今その真実が明らかになる。

 

Blade Runner 2049

Blade Runner 2049

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あらすじ

 

2049年、貧困と病気が蔓延するカリフォルニア。
 人間と見分けのつかない《レプリカント》が労働力として製造され、
  人間社会と危うい共存関係を保っていた。
   危険な《レプリカント》を取り締まる捜査官は《ブレードランナー》と
    呼ばれ、2つの社会の均衡と秩序を守っていた―。

 

LA市警のブレードランナー“K”(ライアン・ゴズリング)は、ある事件の捜査中に、
《レプリカント》開発に力を注ぐウォレス社の【巨大な陰謀】を知ると共に、
その闇を暴く鍵となる男にたどり着く。
彼は、かつて優秀なブレードランナーとして活躍していたが、
ある女性レプリカントと共に忽然と姿を消し、
30年間行方不明になっていた男、デッカード(ハリソン・フォード)だった。
いったい彼は何を知ってしまったのか?デッカードが命をかけて守り続けてきた〈秘密〉―
人間と《レプリカント》、2つの世界の秩序を崩壊させ、
人類存亡に関わる〈真実〉が今、明かされようとしている。(HPより抜粋)

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監督

監督はドゥニ・ヴィルヌーヴ

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はい!今年大傑作「メッセージ」を監督した僕らのドゥニドゥニです。すごいですよね~、「メッセージ」であれだけの作品を作ってブレランやるんですから。てか彼以外適役いなかったでしょう。

 

メッセージ [Blu-ray]

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ここまで言っておきながら実は彼の作品が少々苦手だった私。やっぱね~重いんですよ描写が。そして暗い。特に「プリズナーズ」、「複製された男」、「ボーダーライン」なんかはちょっと自分と合わなかったんです。内容はすごくいいんですけどね。

そんなこと言っておきながら「灼熱の魂」は大好きで。

私の説明よりも、いつも仲良くさせていただいてる物語る亀さんのブログ読んでください。絶対見たくなるから、灼熱の魂。

blog.monogatarukame.net

 

 

監督に関してはこちらをどうぞ。

 

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キャスト

主人公のブレードランナー・Kを演じるのはライアン・ゴズリング。

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今年は「ナイスガイズ」、「ラ・ラ・ランド」と良作が続くライアン兄貴。これ入れたらモンキー的2017年映画ベストテンは彼の作品でいっぱいになるかもしれません。

 

彼に関してはこちらをどうぞ。

 

www.monkey1119.com

 

 

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そして35年前の前作の主人公であり、今回カギを握る男、リック・デッカードを演じるのはハリソン・フォード。

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俺まさかこれに出るとは思わなかったんですよね。彼、ブレランについてはあまりいい思い出がないそうで。だから最初の予告で彼の姿を見たときは、「スターウォーズ/フォースの覚醒」の予告の時と同じ感動でしたよ。

彼ももう75歳ですって。今回も体張って動いてるようなのでその頑張りを目に焼き付けたいですね。

彼の作品についてはまたの機会に。

 

 

他のキャストはこんな感じ。

Kのガールフレンド・ジョイ役に、「ノック・ノック」、「スクランブル」のアナ・デ・アルマス。

Kの上司・ジョシ警部補役に、「ワンダーウーマン」のアンティオペ将軍を演じたロビン・ライト

ウォレス社を統率する科学者ニアンダー・ウォレス役に、「スーサイド・スクワッド」、「ダラス・バイヤーズ・クラブ」のジャレット・レト

ネクサス8型のレプリカント、サッパー・モートン役に、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のドラックスでおなじみ、デヴィッド・バウティスタ

ウォレスの秘書・ラヴ役に、シルヴィア・フークスなどが出演します。

 

 

 

 

前作から前日譚までおさらい。

 

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 2019年ロサンゼルス。環境破壊により地球の大半は宇宙へ移住し、残りの人間は地球に留まり酸性雨と高層ビルの真下で暮らしていた。

人類は遺伝子工学により開発された人間そっくりの人造人間レプリカントを製造し、過酷な強制労働を強いていた。しかし、数年たつと彼らに感情が芽生えたことで反旗を翻すレプリカントが現れ事件が多発。これ以上被害が起きないよう製造元のタイレル社は、安全装置として4年の寿命を与える。

それでも人間社会に溶け込もうとするレプリカントを解任する役目を担うのが、専任捜査官ブレードランナーだった。

既に辞職したデッカードは、命令により宇宙から地球へ脱走し潜伏しているレプリカント4体を追うのだが・・・。

 

ひたすら雨が降り、日本語で書かれた電光掲示板、空飛ぶ車、新旧立ち並ぶ建物など、荒廃寸前の近未来都市というビジュアルは、今もなお今日のSF映画へ影響を与えるほど作られた世界観。

そして、感情が芽生え始めたレプリカントと、心の通わない人間、果たしてどちらが人間なのか?人間とは何なのかという哲学的要素を含んだ作品として、何度も見ないと理解できないカルトムービーとして今もなお語り継がれています。

 

そして、今作の制作にあたって3つの前日譚を描く短編映像が配信されたのでそちらも併せておさらい。

 

  • 2020

レプリカントの創設者、エルドン・タイレルの死去後、タイレル社はネクサス8型の流通を急ぐ。4年の寿命しかなかった6型に対し、8型は制約のない寿命を持ち、簡単に識別できるように眼球移植されている。

 

  • 2022(短編映像『2022:Blackout』より)

西海岸で原因不明の大停電が起きる。街は数週間にわたり閉鎖、国内の電子データは全て破壊されたことで、世界的に財政も市場も停止、食料さえも厳しい状況に。この原因を人々はレプリカントの仕業とし、製造を禁止する法令が出た。

 

  • 2023

レプリカント製造が無期限禁止の法令が制定。6型は退役、生き残った8型は解任される。すなわち彼らは逃亡する可能性が出てくる。

 

  • 2025

理想主義的な科学者ニアンダー・ウォレスは遺伝子組み換え食物を開発し、無償で技術を提供したことで、世界的食糧危機を終焉させた。

これを機にウォレス社は世界進出、異星の植民地にまで力を広げる。

 

  • 2028

ウォレス社は倒産したタイレル社を買収。

 

  • 2030s

ウォレスはタイレル社の遺伝子工学と記憶移植の方法を強化し、レプリカントを従属的に、尚且つ制御可能にするため開発を進める。

 

  • 2036(短編映像『2036:NexusDawn』)

ウォレスは議会へ招集され、新型ネクサス9型を披露する。禁止法を破り開発していたことに、声を荒げる議会参加者達だが、あまりにも完全なレプリカントを前に驚愕するしかなかった。

そして、禁止法が廃止。ウォレスは新型の“完成された”レプリカント、ネクサス9型を発表する。

 

  •  Early2040s

LA市警は既存のブレードランナー組織を強化。違法のレプリカントを探し出し、解任する役目を負う。

 

  • 2048(短編映像『2048Nowhere To Run』)

本編にも登場するネクサス8型のレプリカント、サッパー・モートンがブレードランナーに追われるであろうきっかけを描いた映像。

Bibi'sBarから活気のある市場へ足を向けるサッパーは、そこで働く親しい娘に「権力と栄光」という、追われる司祭が人間である意味を問う物語を貸し出す。

その後枯渇した世界で唯一のタンパク源となる食用の虫を養殖し売って生計を立てていた。

彼はトラブルに遭わない様細心の注意を払い潜伏していたが、それは一瞬の行為により変わってしまう。

 

  • 2049

デッカードがレイチェルと共に行方をくらまして30年後。ロサンゼルスは海抜が上昇し、その海壁によって街は守られている。貧困と病気が以前より増し、異星の植民地に移住できない不健康な人間たちは、自販機にあるウォレス社が提供する遺伝子組み換え食物で生きながらえている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、ほぼほぼHPからの引用ですが、おさらいというか2049までの予備知識としてさらっと読んでもらえたらと思います。特にサッパーは本編絡んでくると思われるので頭に入れておいたほうがいいかもしれません。

というわけでドゥニドゥニは一体35年ぶりの続編に、いったいどんな魔法をかけたのか。そしてどんな衝撃が、その先に見えるものとは。

ここから観賞後の感想です!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

感想

Kが・・・Kがぁ・・・せ、せつない・・・。

圧倒的映像と壮大な音楽の中で描かれたのは、Kという男の哀しくも、なりたい者になれた物語でした!!

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Kに感情移入しすぎた。

前作から30年後の雪が降るロサンゼルスで、一つの事件から始まる小さな疑惑と深まる謎、そして大きな陰謀。果たしてその巨大な陰謀は、主人公の身にも関わってくることなのか。

その陰謀は30年前の出来事から始まっていた・・・。

 

率直に言えばですね、Kの行動にKの気持ちに涙ぐんでしまいまして。最後のシーンはお前良かったなぁ、という思いと、お前切ないなぁ、と。そこに流れる音楽がまたニクいんですよ!そう思いませんか前作からファンの方!!

 

ただのホログラムであるジョイとの恋模様はたまりません。

自宅に帰ると誰かが食事の用意をしているのかと思ったら視点は部屋の天井へ。センサーによって可視化された一人の女性だったのであります。

Kは部屋でしか動けない彼女に、外出できる携帯用のセンサーを購入してくるんですね。彼女も喜んで早速雨の降る屋上で外の世界を感じる姿がまぁ美しい。

ここで抱擁してキスをするんですが、この手つきがですね、ぎゅっと抱きしめないんですね~。そっと手を添えるような感じ。だってホログラムですから力入れたら自分を抱くことになりますし。

 

他にも、彼に抱いてもらいたいジョイは、マリエッテという女性と同期して一夜を共にすんです。この同期がまた完ぺきではなくて、Kが自分の近くへグッと引き寄せたり、顔半分がマリエッテだったりと色々不完全な同期でして。

 

なぜかここでオレ泣いてしまいまして。仮にホログラムに本気でお熱になったとしても、別の人間を通してでしか体を重ねることができない、このモヤモヤした思い!

 

普通なら俺はいったい何をしてるんだってなるんですよ。でも複雑な思いを超えて彼女の気持ちを汲んで受け入れるKの男らしさというか、本気度というか。

 

まぁこの恋の結末は見てからのお楽しみってことで。

 

 

他にも、Kは物語が進むにつれて、ある一つの疑惑を抱くんですが、そこから彼の葛藤が続くんですね。ある場面でチクショーーーーーっ!!!って叫んだかと思えば、一つの確信に対して肩を落としたり、もしかしたら俺って・・・と期待を膨らませたり。

そして一つの決心をした後の物語の結末がまた切なくて。

 

とにかく彼を通じて人間が人間たらしめるものとは何かって物語なので、ぜひKという男が、信じていたものへの揺らぎから決心するまでを是非見届けてほしいと思います。

まぁKって名前の時点で察しが付くよね。

 

前作ではこんな気持ちにならなかったんですよ。ただただ理解できないことが先行しちゃって。

正直今回も完全に理解したわけではないですし、何度か鑑賞して理解を深めようとは思うんですけど、何よりこのKがですね、可哀想で可哀想で。そっちに気持ちを動かされて、これってこういう意味なんだなとか、ぶっちゃけ全く分かってません。

 

決して涙を誘うようなドラマチックな構成とか編集とかしてないんだけど、こんな気持ちになるってのはやはり監督のなせる業なんだろうなと。

 

ライアン・ゴズリングの新たな名演技

今年の彼はひと味もふた味も違った、というのがこの映画で証明されたのではないでしょうか。

「ナイスガイズ」ではコメディ俳優としての線もイケる部分を見せ、「ラ・ラ・ランド」では、二枚目俳優の看板を維持し、そして今作では、喜怒哀楽のパターンが少ない彼の表情を逆手にとって、人物の奥底にある感情を細かに表現し、Kという男の刹那を見事に体現したように思えます。

 

特にラストシーンは最高です。

彼が今まで見せなかったある表情をすることで、素晴らしいラストシーンになっています。

 

ハリソン・フォードにムチャさせ過ぎ。

 もう80歳近いハリソン・フォード。「スターウォーズ/フォースの覚醒」でもまだまだ走れるぜ!と体を張って動いていたのが印象的でしたが、今回も頑張ってましたね。

Kとのファーストタッチでは、ブラスターでKを追いかけまわし、後にケンカファイトでKの顔に何発もお見舞いしてました。その後のTシャツの汗染みがすごかったなぁw

 

そしてこれは可哀想だなぁと感じたのが、クライマックス。

水没しそうな車の中で、手錠をかけられたまま、脱出しようと試みるデッカード。水面はすでに顔まで到達しており、何度もアップアップしながら抵抗していたのですが、これは、おじいちゃんにしては過酷過ぎるシーンだったなぁと。

特に目の前で格闘してる後ろで、デッカードが苦しそうにしている姿がチラチラ映ってファイトシーンどころじゃありませんw

相当ギャラもらったんだろうな、こんなシーンばっかり撮ってたのなら。

 

映像も美術も素晴らしい。

瞳が映った後、ロサンゼルスを一望しながらスピナーが走るって画から始まるんですが、前作とこれ全く一緒で。もちろん前作とは全く違う街並なんですね。真っ暗で火柱が上がるような街並みではなく、真っ白な曇り空から雪が舞い、ソーラーパネルがひたすら並ぶ建築物の上を、Kが乗るスピナーが映るというもので。

 

ちなみにスピナーってのはブレードランナーが乗る空飛ぶ警察車両なんですが、前作では丸みを帯びた外観だったんですが、今作は少々角ばった感じで、一番違うのは後輪が1つしかないこと。

そして、天井を切り離すことができ、ドローン機として空撮してスキャニングや偵察飛行もできてしまうという優れものになっていました。

 

街並みもですね、前作のあのアジアンテイストなごちゃごちゃした感じもありつつ、どこか規則正しい、洗練された建造物の数々で、ネオンサインも健在。

夜の街は巨大なバレリーナのプロジェクションマッピングや、相変わらずの「おさけ」や「うどん」のような日本語が羅列していたり、Kの住むマンションの名前が「メビウス21」という名称だったり、前作に続いてのいろんな言葉があちこちに書いてあるものでした。

あとは、SONYとコカ・コーラ、あとプジョーの看板しか発見できてないんですが、あらゆるネオンが街をきらびやかにしているのが印象的でした。あ、強力わかもとはなかったです、はい。

 

ロスの住民は遺伝子組み換え食品で食いつないでいるという記述の通り、自販機で購入し食事をとっていましたね。Kも外のバーみたいなところでまずそうなメシ食ってましたね。

 

常に雨が降るのは前作も一緒ですが、今回は雪です。とにかく雪が降っている。

環境汚染が前作よりも増したことで雨どころじゃないんですね。ただでさえ気候の温かいはずのロサンゼルスが雪なんですからよっぽどです。

その雪景色の中からゆっくり姿を現し、口を隠し手をポッケに突っ込んで歩くKの姿がまたカッコイイ。

吹雪の中を走るスピナーもカッコイイ。

 

また雪とは対照的に放射能で汚染され、干ばつしたラスベガスの街もまた美しい。雪の中を歩くのと同様に砂嵐の中を歩くKもまた画になります。

この白と茶色の対比がまたステキなのであります。

 

この映像を撮影したのがロジャー・ディーキンスだそうで、ドゥニドゥニとはプリズナーズ、ボーダーラインに続いて3作目のタッグ。今まで以上にその映像美が際立った作品だったのではないでしょうか。

 

 

思ったのはですね、前作は画的に色々足された印象を持っていたんですが、今回はその逆で色々引き算して作り上げた世界観だったように感じます。アジアンテイストな部分は控えめに(屋台なかったよね)、街も規則正しく並んだり、外も周りには特に目立ったものはなく、人物をただ配置するだけ。そういう風にすることで、余計この現実の先にある未来の風景という感じがしましたね。

 

そして作品としては、リドリーが描いた作品に、きちんと差別化を図りつつも、リスペクトをし、全く違う内容の続編をドゥニドゥニは作り上げたんじゃないかと思います。

 

なんか続編の期待が各所で挙がってるようですが、やるなら見ますよ。続き気になりますし。

 

 

ここからはがっつりネタバレを。

はい、あまりこういうのは書かないんですが、書き足りないので核心に触れながら感想の続きを。

 

 

  • Kはレプリカント。

 

おそらくネクサス9型の最新型ですかね。

命令に従順であるのがウリのレプリカントですが、今作は冒頭の解任捜査時に蘇った記憶をきっかけに、自分は人間かもしれない、自分はデッカードの息子かもしれない、という疑惑から湧く希望、そこからたどり着いた真実に対しての落胆、このままレプリカントとして終わりたくないという奮起、大儀があるからこそ人間として生きていける、という言葉が決心となり、Kの人間性を得るまでを描いた物語でした。

 

如何に彼が完全なレプリカントというのが、捜査後警察署に帰って来た時に行われた心理テストでわかるかと思います。

どんなに感情を揺さぶるようなワードを並べても精神的に動揺していないか、人間の感情が芽生えてないかをテストし、見事にパスしていました。

これを描くということはちゃんと後で彼がこのテストにパスできない状態になっているのも描かれてるので、非常にわかりやすい対比だったと思います。

 

Kは子供の頃木で掘られた馬のオモチャを持っていて、奪われないように工場の炉の周りを逃げ回る記憶が蘇ります。

基本レプリカントの記憶というのは、あらかじめ埋め込まれたもので、しかも実際あった記憶が埋め込まれるのは違法だそうで、当初Kもそう思っていましたが、事件の真相を辿っていくうちに、あれ?これ俺の本当の記憶なんじゃね?と思い始めるわけです。それが自分は人間なのではないか?ということ。

これは以前にジョイにも話していたことが劇中に語られています。そのたびにジョイはKにあなたは特別よ、と励ましていたわけで、それが真実味を増してきたわけです。

 

 

  • レプリカントの妊娠

そして今回序盤で、大きな真実が描かれます。それはレプリカントが妊娠し、子を授かったかもしれないこと。

サッパ―の家から発掘された白骨死体の死因が、妊娠した時に母体が耐えられなくなり死んだという解剖結果が明らかになり、このままではレプリカントと人類の間にある秩序が崩れる、人類とって非常に危険な真実だということで、Kに後処理を命令します。

 

デッカードは2022のブラックアウトの時に、この情報を探られないために、記録を書き換え孤児院に子を送るのでした。

時には誰かを愛するために他人にならなければいけない、とデッカードは語るのですが、まさにこのことだったわけです。

 

なぜ妊娠できたのか。サッパ―は奇跡といっていましたが、確かに奇跡であります。授かるはずのないレプリカントが授かったのですから。

ただこれには前作から計画されていた実験だったことが分かります。

 

これはタイレル社の時から始まっていた実験の一つだったことがウォレスから明かされます。

Kは当時の音声データを聞いたとき、レイチェルがデッカードの気を惹こうとしていたと言っていた通り、唯一ネクサス7型のレイチェルは繁殖機能を備えた実験対象だったのです。

 

 ウォレスは9つのオフワールドで労働に従事する完璧なレプリカントを生産するのに、この繁殖機能があれば、生産性が上がると考え、その事実をずっと探していたのです。その突破口を見つけ出したKの行動を監視していたんですね。

 

  •  馬

前作ではデッカードがユニコーンの夢を見たり、同僚のガフが折り紙でユニコーンを折ったりと言うのが謎であり、未だ議論し合っている人も多いかと思いますが、今回は馬がたくさん出てきます。

一番は、Kの記憶にもでてくる木で作られた馬のオモチャですね。実際にその記憶通り炉に隠してあったのですが、それを連想させる部分が、その直前、孤児院で子供の記録を探しているときに、机の上に置かれた灰皿が馬の頭が付いたものでした。

それをきっかけにこの場所が、記憶の中の場所と同じで実際に隠した場所から馬のオモチャが発見されるというものでした。

 

実際この馬が何を示すのか明確なものは描かれてませんが、やはり人間であることを示唆するアイテムなのかなぁというのがしっくりくるのかなと。

Kはその持ち主でないことから人間でなかったわけで。

 

 

最後に

 レイチェルは4年の寿命しかないにもかかわらず、2019にデッカードと共に逃げ、2021に出産に成功し、息絶えました。そして子供は全ての記憶とデータを消し、孤児院から脱出し、隔離された記憶を製作する仕事に着き、自分が馬のオモチャを奪われそうになる記憶をKに移植し、今回の物語へと繋がっていくんですね。

なんとうまい脚本か。よく繋げたものです。

 

でもですね、やっぱり2時間43分は長いです、ぶっちゃけいらないシーン多すぎです。特にデッカードとKの対決要ります?端折れるところ他にもあると思うんですけどね。

 

そんなボヤキを交えたとしても、素晴らしい作品だったことは間違いないと思います。なんというか、35年前の名作が今続編として見ることができる嬉しさですよね。

当時リアルタイムで鑑賞した人は生きててよかった!なんて感じてるんじゃないでしょうか。ほんと羨ましいです。

 

寿命が無くなった、感情が芽生えた、おまけに子供ができたら、レプリカントと人間の差なんてほぼないに等しい、おまけにKもラヴも嘘がつける。本当にこんな時代が訪れてしまうのか。ジョイちゃんはあり得るw

 

そして、やはりドゥニドゥニが一貫して描いてる信じることへの揺らぎ、そこからどう這い上がっていくのかを、Kとデッカードを通じて感じられた気がします。ちなみに公式HPのトップページでマウスを左右に動かすと画面が揺れるんですが、彼らの揺れる心を現してるのかな?

とにかくKが切なかった!!これが一番ぐっと来た部分です。

というわけで以上!あざっした!!

満足度☆☆☆☆☆☆☆★★★7/10