紙の本には2つの価値がある。
 
『読み物』としての価値と、「この本、オススメだよ~」と友達に渡したり、本自体が待ち合わせ場所となったりする『コミュニケーションツール』としての価値だ。

この『読み物』と『コミュニケーションツール』という2つの価値の"比率"は、当然、時代(環境)によって日々変化しており、インターネットにより容易く情報が手に入るようになり、人が体験に流れるようになると、本は『コミュニケーションツール』としての価値の割合が大きくなる。

とくに、豊かになってしまった国は、他人との接地面積が減り、コミュニケーションが希薄になるから(全員、人見知りになるなら)、『コミュニケーションツール』は、より重宝される。

「本が売れない」とよく耳にするが、本の価値が移動し(比率が変動し)、売り方や売り場が変わっただけで、これは『出版不況』でも何でもない。
『コミュニケーションツール』を、いつまでも『読み物』の売り場で売ってしまっていることが原因だ。
それでも人がそれを『出版不況』と呼ぶのなら、そんなものは終わらせる。 
終わらせ方を提案し、行動で示し、結果で証明する。
出版に絶望するには早すぎる。
まだまだやれることがある。

文藝春秋や新潮社が書籍の売り上げ減少の原因を図書館に求めた。
彼らには彼らなりの事情があって、どこまでいっても他人の僕には計り知ることはできないが、それでも言えることが一つだけある。

図書館は出版のミカタだ。

もっと具体的な言葉で表現すると、書籍の販売促進装置だ。
書籍全体の売り上げが下がっているのなら尚のこと、他責思考を捨て、抱えている問題と解決方法を明確にして、手を取り合うべきだと僕は考える。これは綺麗事かな?


昨日、新宿歌舞伎町に50人のスタッフか集まった。

一昨日、全国の図書館(5500館)に『革命のファンファーレ ~現代のお金と広告~』を寄贈することを発表。
幻冬舎に無理を言って、2日かけて5500冊を調達し、
スタッフに無理を言って、2日かけて5500件の住所を書いた。
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問題は5500冊の本を梱包&配送作業をする場所だ。
今月の僕のスケジュールが昨日の12時~15時しか空いてなくて、しかも、『新宿ルミネtheよしもと』の漫才出番で途中で一旦抜けなければいけなかったので、梱包&配送作業する場所が「新宿界隈」に求められた。

そこで「ウチの店を作業場に使ってください」と手を挙げてくださったのが、『歌舞伎町ブックセンター』。
本屋さんだった。
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図書館に贈る本を本屋さんが後押し。
オーナーさんは「本に触れる人が増えてくれたら嬉しいので」と一言。 
泣けるじゃないか。

まもなく5500冊が『歌舞伎町ブックセンター』に運び込まれた。
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そこから一気に梱包作業。
郵便屋さんが集荷に来るまで、3時間しかない。
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途中、集荷に使う用のダンボールが足りなくなってしまい、空きダンボールを作るために、手持ちで郵便局へ。
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なんと、本屋さんまで作業を手伝ってくださった。
さらには近所のホストクラブまで協力してくださった。
「図書館に本を届けましょう」
全員総出だ。

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すべての梱包が終わったのが、集荷時間ギリギリ。
「やったー!間に合ったー!」
と、まるで文化祭の準備のようだった。
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2017年10月27日、午後3時。
『革命のファンファーレ ~現代のお金と広告~』5500冊は、ワンボックスと2㌧トラックで、無事に新宿歌舞伎町から運び出された。
全国の図書館に届くのは、今日か、明日か。

頑張ってくれたのは、この人達。
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スタッフの皆様、歌舞伎町ブックセンターの皆様、ホストクラブの皆様、本当にありがとうございました。
「あー、ぜんぜん終わんねー」と全員でグチりながらの作業、メチャクチャ楽しかったです。

紙の本には2つの価値がある。
『読み物』としての価値と、「この本、オススメだよ~」と友達に渡したり、本自体が待ち合わせ場所になったりする『コミュニケーションツール』としての価値だ。

昨日の『革命のファンファーレ』は、コミュニケーションツールであった。
この本を届ける為に人が集まり、出会い、協力し、会話を交わし、連絡先を交換し、再会を誓った。
打ち上げに流れたメンバーもいた(笑)

ここに紙の本の可能性ががある。

紙の本がなければ、昨日の出会いはなかった。
出版に絶望するには早すぎる。
出版はまだまだやれるじゃないか。
まだまだやれることが残っているし、
まだまだ求められているじゃないか。

紙の本は、もっと面白くできると思います。
一緒に頑張りましょう。