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ふくい地域ニュース

育て!コウノトリの餌 小浜・国富 水田魚道、退避溝が完成

嶺南初施設 児童ら祝う

田んぼ(右)の脇に設けた細長い退避溝。あぜ下に埋めたパイプを通じて水中の生き物が田んぼと溝の間を出入りする=いずれも小浜市栗田で

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 コウノトリの餌となるドジョウなどの生き物を育てる水田魚道と退避溝が、小浜市栗田に整備された。二十六日、餌の調査を続けてきた地元国富小学校の五年生が参加して施設の完成を祝った。工事を進めた県によると、嶺南地方では初めての施設。

 農業用水路に生息する生き物が魚道(長さ七メートル)を伝って退避溝(長さ四十三メートル、幅一・八メートル、水深三十センチ)に移動し、隣接の水田に出入りできる構造になっている。田んぼの水を抜く秋の刈り取り期でも、自噴する地下水が退避溝に残るよう設計してある。

 国富地区は、一九六四(昭和三十九)年五月にコウノトリのヒナ二羽が誕生する営巣地だった。再飛来を目指して活動に取り組む住民グループ「コウノトリの郷(さと)づくり推進会」が施設の整備を要望。農業用水路の改修に合わせて工事が進んだ。

 五年生十三人が五月から九月にかけての用水路の生き物調査で確認したドジョウ、メダカ、ツチガエルなどを描いた看板(縦九十センチ、横百八十センチ)も施設の脇に設置した。

児童が農業用水路で見つけた小魚などを紹介した看板

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 看板を除幕した児童を代表して五輪叶(かなう)君が「退避溝に水が流れてホッとした。生き物が増えてコウノトリが飛んできてほしい」と感想を述べた。

 これまでに飛来の確認はしたものの、生息地には至らない国富地区。推進会長の宮川健三さん(82)=栗田=は「施設が生き物を育み、コウノトリの里になることを願っている」とあいさつした。 (池上浩幸)

 

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