ネットで粘着され「生活台なしに」 住所もさらされ
英国の10代女性が、インターネットで粘着質な嫌がらせに遭い、「生活が台なし」になったとBBCに話した。自分の顔写真や住所と共にわいせつなメッセージや脅迫が、ソーシャルメディアで広く拡散されたのだという。
英北部リーズに住むビクトリアさん(18)は動画配信アプリ「Live.me」(ライブミー)で、「自殺してしまえ」と言われた。自宅の住所が、「泥棒するならこの家」とツイッターで共有された。
BBCヨークシャーがイングランドとウェールズの警察を取材したところ、ソーシャルメディアで暴言を吐かれたという警察通報が1日200件以上と、前年に比べて倍増しているのが分かった。
2015年の違反件数は合計4万2910件だったが、2016年には7万9372件に増加した。
「氷山の一角」
ビクトリアさんはライブミーとツイッター、それにインスタグラムに公開アカウントを持ち、それぞれ数千人のフォロワーがいた。
しかしビクトリアさんによると、自分の顔写真とわいせつな写真を重ね合わせた画像が送りつけられ、自宅の住所が書き込まれた。たった一言、「死ね」と書かれたメッセージを送られたこともあったという。
「抗不安薬が必要になりました。完全に自信を失ってしまった。あまり外出しなくなった」とビクトリアさんは話す。
「頭のどこかで、外出すれば誰がどこで見ているか分からないと思ってしまう。結局、このせいで本当に生活を台なしにされた。社交的な人間だったのに。今はただ元の自分に戻りたいだけです」
ビクトリアさんは、悪意のあるコミュニケーション(苦痛あるいは不安を与えることを意図した手紙や電子メッセージの送信と定義される)を警察に伝えたが、誰も逮捕されなかった。
「自分のせいのような気がすることもある。でもみんなネット上で自分をさらけだしているから、標的になりやすい。私はただ、新しい友達を作るための、面白いことだとばかり思っていたのに」とビクトリアさんは言う。
「まさかこんなことになるなんて」
ウェストヨークシャー警察のマット・デイビソン警視は、ビクトリアさんの事件は捜査中で、新しい情報が得られれば追及すると話した。
「警察は被害者とその家族に定期的に連絡を取っており、捜査の進捗を伝えている」
英紙タイムズによると、最近ではネットに悪意のある投稿をした疑いで毎日9人は逮捕されている。このため、人権団体は「過剰な取り締まりだ」と批判しているという。
毎日9人がネット上に悪意のある投稿をして、逮捕されていると最近報じたことを受け、インターネットの「過剰取り締まり」に対して人権団体から批判が起こった。
しかし、エセックス警察のスティーブン・キャバナ本部長は、悪意のあるコミュニケーションの増加は「氷山の一角」だと話した。
全国的なデジタル犯罪を担当する委員会のトップも務めるキャバナ氏は、ソーシャルメディア企業が利用者保護の取り組みを強化すべきだと述べた。
キャバナ氏は、「デジタル時代に警察や社会が変わるなか、このようなことはますます増えていく」と話した。
「企業や政府、警察、利用者がもっと効率的に人を守り、犯罪者を処罰する方法を整える必要がある」
シェフィールド・ハラム大学の司法心理学講師、ミシェル・ニューベリー博士は、ソーシャルメディアの利用時間と荒らし行為の増加は相関していると指摘する。。
ニューベリー博士は、「携帯電話を持っていないことの方が非常に珍しい。最近はすぐ携帯が使える」からだと言う。
ツイッター社は嫌がらせに対処するため、わいせつ画像や憎悪のある画像に新しい制限を導入する予定だと話している。
ライブミーの広報担当は、「全ユーザーに安全で友好的な環境を作ることが、ライブミーの目標だ。だからこそ、ユーザーが嫌がらせを受けたり、いじめられたりする話を聞くといつも心が痛む」と述べた。
「コミュニティーのルール違反行為に担当者が対処できるよう、厳しい規則を設けている。自動ソフトと生身の担当者が、ネット上のいじめや不適切行為、あるいは自傷行為の危険性を24時間、365日見張っている」
ライブミーとは?
- ・急成長しているライブ動画配信アプリ
- ・利用者は約2000万人
- ・自分の動画を誰がシェアするか、ユーザー自身は制限できない
- ・「いいね」やプレゼントの数で、ユーザーのオンライン上の順位が上がる
- ・2017年8月、9歳の少女に裸の動画投稿を強要した男が有罪判決を受けた。動画は200回以上視聴されていた。
(英語記事 Teenager's life 'ruined' by Live.me and Twitter 'trolls')