【ジュネーブ=細川倫太郎】イタリアの上院は26日、選挙制度の改正法案を賛成多数で可決した。比例代表制と小選挙区の両方で選出する制度に変える。単独で過半数をとることが難しくなり、政権奪取を狙うポピュリズム政党が反対していた。マッタレッラ大統領が強く推していた制度改正が近く成立し、総選挙への準備が整った。
新しい選挙制度法案は既に下院で可決している。これまでは比例代表制を採用してきたが、今後は議席の3分の2を比例代表制で、3分の1を小選挙区で選出する。下院で40%以上の得票を得た政党に過半数の議席を与える「ボーナス制度」も撤廃。単独では過半数を得にくくなるため、連立を組まない限り、政権与党になるのは難しい。
新選挙制度の法案は中道左派の与党・民主党や、中道右派でベルルスコーニ元首相が率いる「フォルツァ・イタリア」が賛成した。一方、最近の世論調査で支持率トップとなっているポピュリズム政党「5つ星運動」は強く反発。主要政党で唯一、他の政党との連立を拒否しているためで、新しい選挙制度は同党にとって逆風となる。
最近の欧州の国政選挙では、反体制派のポピュリズム政党などの躍進が目立つ。イタリアでは来年春にも総選挙が実施される見通しで、5つ星運動の幹部は「我々が選挙に勝てないようにするための、ひきょうな制度だ」と批判している。