研究者らは目下、高度な遺伝子編集技術の改良に取り組んでいる。最終目標は、患者のDNAを恒久的に変えずとも、さまざまな病気を治療できるようにすることだ。
新たな技術の要となるのは、DNAの代わりにRNAを編集する点だ。RNAは、遺伝子の情報を運搬するメッセンジャーの役割を果たす物質である。
「(DNAではなく)RNAを編集することで、可逆的な治療が可能となる。可逆性は、予期せぬ副作用が出た場合に非常に重要となる要素だ」と米ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学(MIT)が共同運営するブロード研究所のフェン・チャン氏は語る。遺伝子編集研究の先駆者であるチャン氏の研究チームは10月25日、学術雑誌『Science』でこの新しい技術について発表した。
遺伝子編集技術「CRISPR」は生命科学研究に革命をもたらしている。CRISPRはいわば生物学上のカット&ペーストツールだ。生体細胞の遺伝子異常を特定し“分子のハサミ”を使って当該箇所を切断することで、異常遺伝子を削除したり、変異を修復したり、新しく交換したりできる。
CRISPRは、農作物の品種改良やマラリア耐性を持つ蚊の開発の他、移植用臓器を動物の体内で作ったり、いずれは鎌状赤血球症や筋ジストロフィーといった遺伝病の治療に役立つことが期待されている。
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