就職活動・転職活動の際、応募先企業へは履歴書や職務経歴書などの書類を提出します。
その内容をもとに書類選考を行う企業もあり、応募する側としては企業に少しでも良い印象を持って欲しいという気持ちもあり、できるだけ良い部分を多く伝えようという意思が働きます。
しかし、それが経歴詐称などの行き過ぎた行為を招いてしまうこともしばしば。
もし、履歴書に嘘の経歴を書いて提出してしまったら、そしてそのまま採用となってしまったら…。
今回は、履歴書の嘘とその嘘が引き起こす事態について、そして嘘を書かないためにできることについて解説します。
目次[表示]
- なぜ履歴書に嘘を書くのか?
- どんな嘘を書くことが多いのか?
- 入社後、履歴書の嘘は企業にバレる?
- もし嘘がバレたら解雇されることも!?
- 嘘を書いてまで経歴を素晴らしいものにする必要はない
- 転職エージェントを活用し、履歴書に嘘を書かないようにしよう!
なぜ履歴書に嘘を書くのか?
中途採用のプロセスにおいて、企業側はまず履歴書や職務経歴書を基に書類選考を行い、通過者のみ次のプロセスの筆記試験や面接を行うことが多くあります。
したがって、その最初のプロセスである書類選考を通過することから実質的な転職活動がスタートするのです。
書類選考の際、企業側は履歴書や職務経歴書からその人のスキルや実績を確認します。書面だけでの判断となるため、企業側の求めるレベルに達していない人は無条件で落とすことになります。
その判断材料となるのは、企業によって異なりますが、学歴や資格、転職回数、職歴のブランク、これまでの業務経験などが多く、募集ポジションによってはマネジメント経験や現在の給与などを参照することもあります。
このように企業側はある一定の基準を設け書類選考を行いますが、中には企業側に良い印象を与えたいと思うあまり、履歴書に虚偽の情報を書く人がいます。
つまり、これらの基準に該当する部分を「詐称」して書類選考を通過しようと考えるのです。
その企業に入りたいがために思い余ってやってしまう行為ですが、履歴書の嘘は最悪の場合解雇につながる可能性もある、行ってはならない行為のひとつに挙げられます。
どんな嘘を書くことが多いのか?
応募者が履歴書に嘘を書くのは、次のようなパターンが多いといわれています。
①学歴の嘘
学歴詐称とは、大学名を偽って有名大学卒業とすることや、実際は大学中退したのに卒業と書くことが挙げられます。また、理系技術者募集の条件に「理系学部卒業」とある場合、本当は文系学部なのに理系学部出身と偽ることもあります。
②保有資格の嘘
応募条件に資格が明記されている場合、その資格を保有していないのに保有していると嘘を書くことが考えられます。
また、外資系への応募の場合TOEICスコアを実際より上に書くことや、エンジニア募集だと未修得のプログラミング言語を習得済みと書くこともあります。
③職歴の嘘
職歴詐称は非常に多いです。実際にはアルバイトやパート、契約社員だったのに職歴欄に正社員と書くことや、短期間で退職してしまった会社を省略する、在職期間を偽ることなどがその代表的なパターンです。
また、実際は解雇されたにもかかわらず自己都合による退職とすることや、すでに退職しているのに在職中とすることなどもあります。
④役職の嘘
マネジメント経験がないのに「役職:マネージャー」と書いたり、営業職であったのに「企画職」と書いたりなど、いかにも業務経験があるように見せるパターンです。
⑤実績の嘘
自分の成果ではないのにさも自分の成果のように実績を「盛る」ことがあります。また、賞罰などの欄に「顧客満足度コンテスト社内1位」など、実在しない賞罰を記載することもあります。
⑥給与の嘘
希望給与欄に現在の給与を高めに記載し、希望給与を引き上げることがあります。
このように、応募者側はさまざまな箇所で嘘を盛り込むことがあります。どの嘘も記入した本人は「どうせバレないだろう」と思っているかもしれませんが、実はこれらの嘘はかなり高い確率でバレることが多いのです。
入社後、履歴書の嘘は企業にバレる?
さて、履歴書に嘘を書いて採用選考に臨み、結果としてその企業に入社したと仮定しましょう。どのようなことが原因で履歴書の嘘がバレるのか、いくつかの事例を挙げて解説します。
◇学歴の嘘がバレる
多くの企業は、入社後に「卒業証明書」を提出するようになっています。したがって、学歴の嘘はほぼ100%バレます。なお、卒業証明書の偽造は犯罪行為です。
また、有名大学卒と偽って入社した先に、その大学出身者が在籍していた場合も話が噛み合わないのでバレてしまいます。
◇資格の嘘がバレる
資格を応募条件にしている場合、入社後に「資格取得証明書」を提出することが求められます。TOEICスコアなどは、その時点で嘘がバレてしまいます。
プログラミング言語については、実際の業務を進めていくなかで上司からスキル不足を指摘され、発覚することが多いです。
◇職歴の嘘がバレる
社会保険加入手続きに必要な年金手帳や雇用保険被保険者証などから嘘が判明します。
社会保険加入歴には過去のデータがしっかりと残っているため、在籍期間や会社名などがすべて新しい会社の方で把握できます。過去の会社への在籍期間や雇用形態などに嘘があると100%バレてしまいます。
また、過去の標準報酬月額もこれで判明します。以前の給与を実際より高く書いていた場合、ここで嘘がバレます。
◇給与の嘘がバレる
上記以外でも、源泉徴収票を会社に提出する時に直前の給与がわかります。源泉徴収票は「なくした」と主張したとしてもすぐに再発行できるものなので、必ず提出しなければなりません。
このように、履歴書の嘘はまず間違いなく入社後にバレると考えた方が良いでしょう。
もし嘘がバレたら解雇されることも!?
履歴書の嘘が会社にバレてしまった場合どうなるのでしょうか。
過去の事例を挙げると、履歴書の嘘は内定取り消しや解雇の事由になります。特に資格については厳密です。
たとえば、法律事務所で司法試験合格者を募集していた場合や病院で薬剤師を募集しているというような、有資格者しかできないような業務内容の場合は、即時解雇となります。
それ以外の場合でも会社の信用を損ねたという理由で懲戒解雇されることだって十分あり得ます。
このあたりはその会社の裁量によってまちまちですが、解雇に至らずとも嘘をついた労働者に対しては、何かしらの懲罰が下されることは間違いないでしょう。
ただし、嘘ではなくミスだった場合は見逃されることもあります。たとえば、前職の在籍期間を5年5ヵ月と書いたのに、実際は5年4ヵ月だったというような、社会保険加入期間の少しのずれから生じることなどは特に問題にされないことが多いでしょう。
嘘を書いてまで経歴を素晴らしいものにする必要はない
履歴書に嘘を書いてまでその企業に入社したいという気持ちはわからなくもありません。
しかし、その嘘は結果的に自分の首を絞めることになります。履歴書の嘘の原因は自信のなさであり、自分を、より「優秀な人材」であると思い込ませることで何とかしようという考えが嘘を引き出しているのです。
これを防ぐには、自分に自信を持ち、企業へ上手にアピールすることが大切です。
転職エージェントを活用し、履歴書に嘘を書かないようにしよう!
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