動物たちの中には、誰に教わるでもなく、あたりまえのように弱きものを支えながら生きていくものがいる。かつて、元野良猫が盲目の犬の目の代わりになったように、ごく自然に助け合って暮らしていることがあるのだ。
アメリカ・イリノイ州にあるエリンさんの自宅の裏庭には2009年頃から1匹のアライグマが食べ物を探しにやってきていた。どうやらこのアライグマ、目が見えないようであちこちでつまづいている。
心配しながらその様子を毎年見守っていたエリンさんだったが、2014年、このアライグマが2匹の子猫を伴ってやってきた。子猫たちはまるでボディーガードのようにアライグマを守るようなそぶりを見せていた。
3匹はなんとか野生で暮らしていたものの、わずか生後半年の子猫を心配した家族は2匹を保護した。本格的な冬が来る前に家に迎え入れることにしたという。
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Blind Raccoon and his bodyguards
裏庭に来ていた目が見えないアライグマ
上の動画はおよそ3年前、3匹がトリオだった時の動画だ。これを撮影したエリンさんによると、アライグマは2009年ごろから裏庭にやってきていたという。
そのアライグマは目がかなり不自由で、ものにつまずいたりしていた。見ていると風や背の高い草、鳥や雪にもおびえながら歩いていた。
北米原産のアライグマは害獣ともみなされており現在はペットにするのを禁止する州も多く、エリンさんのところではブリーダーなどの有資格者しか許可されない。そのため彼女はいくら心配でもただ見守るしかなかった。
2匹の子猫がアライグマの仲間となる
それから5年ほどたった2014年の10月頃、アライグマと共に2匹の小さな子猫が現れるようになった。2匹はメスとオスのきょうだいらしく、一緒に食べ物を探していた。
2匹は目の見えないアライグマを守るボディーガードのようにふるまっていたという。
image credit:youtube
エリンさんが見る限り、少なくともここ5年の間はアライグマは1匹で行動していた。野生のアライグマの平均寿命は2~3年だ。猫たちの付き添いができた時点でかなりの長寿である。
だが年の離れた異種3匹はなんとかうまくやっていた。生後数か月ほどに見える子猫たちは頼る親猫もいないのか、経験豊富なアライグマが見つけてくれる食事のご相伴にあずかる一方で、目の不自由な彼に気を配っていた。
image credit:youtube
エレンさんは動画を撮影したときも3匹の様子を見ていたが、食事を終えた後でさえちゃんとアライグマの足元に目を配り、せっせとエスコートする子猫たちの姿に感心したという。
image credit:youtube
子猫を家族に迎え入れたのち、アライグマは虹の橋を渡る
実はその頃エレンさんは子猫たちを家族にしようかと考えていた。気の毒なアライグマを保護することは無理だったが、小さな2匹の先行きもまた心配だった。
それはエリンさんの母親も同じで、「あの子たち家にいれてやりたいね、外で風邪を引いたりしなければいいんだけど」とよく言っていた。
しかもその後まもなく、その母親がインフルエンザをこじらせ他界、10日もしないうちに15年一緒だった愛猫までも亡くなってしまった。
大切な家族を立て続けに失った彼女は迷った末、2014年の12月半ばに2匹を家に迎えた。
何度も引っかかれて傷だらけになったが、2匹は本格的な冬が来る前に飼い猫になってくれた。当時の彼らは生後6カ月ほどで、喜んだ一家は愛情を注いで信頼関係を築いた。
それから半年ほどたったある日、アライグマは亡くなってしまった。彼はエリンさんがデッキに置いた食事を食べに来てくれていたが、寿命をはるかに上回る大往生で生涯を終えた。
image credit:Eryn @eryn_09
アライグマは子猫たちに最高のプレゼントを残していった
そして今、2匹の黒猫は屋内暮らしをエンジョイしている。他にもう1匹スクワートという猫もいるが、3匹でうまくやってるそうだ。
「彼らはこれまでの猫とはまったく違います。尻尾でかなりのコミュニケーションをとっていて、いつもじゃれて戦っています」
オスの子
image credit:Eryn @eryn_09
メスの子
image credit:Eryn @eryn_09
当時を振り返り、「私のほうが彼らを必要としていたんです」と語るエリンさん。母親と愛猫が立て続けに去っていったあの時期に迎えた2匹の黒猫たちは彼女の希望になってくれたのだ。
image credit:Eryn @eryn_09
目の見えないアライグマに付き添っていた縁で永遠の家ができた子猫たち。年老いたアライグマはこの猫たちに食べ物を分け与えていただけでなく、自分が去っていったあとも安心して暮らしていけるような家族を探してくれたのかもしれない。
via:lovemeow / youtubeなど / translated by D/ edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
こんなことってあるんだねえ。
2匹の子猫がどうやってアライグマと知り合った(?)かは
わからないけど、お互い優しい心の持ち主だったのかなあ。
2. 匿名処理班
アライグマさんも子猫と一緒におウチの中で、最期を迎えられたら良かったのになぁと思うけど、仕方なかったのね。子猫たち、おウチと家族が出来て良かった!末長く幸せにね。
3. 匿名処理班
なんだろうアライさんが子猫の里親を探してくれていたって考えると
とても素敵なお話だね。
ただ、アライさんをボディーガードしていた子猫二匹を引きはがしたかのように
記事の文面だと読めてしまうから、なんだかその辺が気になる。
アライさんが必要としているのに子猫を引きはがしてしまった可能性がぬぐえない内容だけに
その辺だけ少しもやもやが残ってしまった。
どの視点で見るか次第の感想だから何が一番かは決めれないだろうし
個人的な感情だけどね。
4. 匿名処理班
美猫さんだねぇ
5. 匿名処理班
「忘れられないおくりもの」のアナグマさんを思い出しちゃったよ
異なる種類の生き物の間にも優しさや思いやりってきっとあるよね
6. 匿名処理班
アライグマかわいそす
7. 匿名処理班
NNNはアライさんをも手中に収めていたのか
8. 匿名処理班
事実は小説より奇なり
こんなことが自然界にあるもんだ
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10. 匿名処理班
どうするのが正解かわからない
アライグマさんは子猫たちが居なくなった後
どうしたんだろう
子猫さんたちはどう思っただろう
もちろん冬が来る前に保護は正解だったんだろうけど…
人間の介入はどこまでが正解?って思ってしまうような話だよね
11. 匿名処理班
こういう名前のない絆で結ばれるエピソードに弱い
12. 匿名処理班
いい話なのかこれは???
13. 匿名処理班
アライさんから猫を奪うな
14. 匿名処理班
黒猫は優しい子が多いね。
尻尾をピンと立てて、アライさんのこと大好きだったんだろうね。
15. 匿名処理班
アライグマを見送ってから猫を保護すれば良かったのに。
アライグマの死期を早めてしまったのでは?
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