報告書の内容を説明する松木委員長(中央)と安江委員長代理(右)、内藤教育長=24日、福井県池田町能楽の里文化交流会館

 福井県池田町の池田中で今年3月、当時2年生の男子生徒が自殺した問題で、報告書をまとめた調査委員会が24日、同町内で会見した。委員長の松木健一・福井大大学院教授は「教職員同士が生徒について話し合う土壌が足りず、生徒理解が深まらなかった」と学校の指導体制に問題があったことを改めて指摘した。

 松木委員長は、調査の中で担任は「もっと子どもを理解できればよかった」、副担任は「どうしてこうなったか分からない」と答えたことを明かした。担任の印象を「一生懸命」、副担任は「真面目で理路整然と話す」と説明。繰り返された叱責(しっせき)が原因と結論づけた報告書には「(2人とも)生徒のための指導と思っており、叱責と表現されていることには納得していない様子だった」と話した。

 担任、副担任から同じ課題を何枚も与えられたとの訴えが遺族からあり、実際に同じ課題の答案7、8枚を持参したとする記述にも、担任らは「(生徒が)自由に持ち帰られる仕組みだった」と釈明した、とした。1年の女子生徒が9月に登校を渋り、保護者が「副担任から大声でしかられた」とアンケートに回答したことには「事実関係が分からない」とした。

 会見には元裁判官で弁護士の安江勤・委員長代理、内藤徳博(なるひろ)教育長が同席した。松木委員長らは、報告書の目的を「自死に至ったプロセスを可能な限り浮き彫りにし、このようなことが二度と起きないよう提言をすること。個人の責任を追及するつもりはない」と強調。再発防止に向けての議論が「亡くなった生徒への弔いにもなると思う」と話した。

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