三菱モルガンの外国人幹部、休職扱いめぐり申し立て-東京地裁

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Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

三菱UFJモルガン・スタンレー証券のエクイティグループ機関投資家営業部のグレン・ウッド特命部長(47)が、正当な理由なく出された休職命令は無効で、賃金の支払いを受け続ける権利があるとして地位保全の仮処分を東京地方裁判所に申し立てた。

  ブルームバーグが入手した資料によると、ウッド氏は育児休業取得後に復職した16年3月頃から業務上必要なミーティング予定も教えてもらえなくなるなどハラスメントを受けるようになり、心身に変調をきたすようになった。今年1月からは、うつ病で休養加療が必要との診断を受け休職をしていたが、復職は可能との診断書を得て、本人も希望したにもかかわらず、今月18日付で同社は賃金支払いのない休職命令を出した。

  このため、休職命令は違法であるとして、判決確定までの賃金支払いと休職命令を無効とする仮処分を求めている。三菱モルガンの小西博晃広報担当はコメントを控えた。

  ウッド氏は26日の会見で、育休の取得申請が一連のハラスメントの発端となっているとの見解を示した。その上で、「日本の少子化問題は知っていたが、それが自分を直撃した」と述べ、他に同様の状況の人もいることから、「何があっても、もう黙ってはいられない」と思い声を上げたと語った。現在はシングルファザーとして、子育てをしている。

  ウッド氏は、ゴールドマン・サックス証券勤務などを経て、12年7月に同社と雇用関係を締結。東京および海外の外資系機関投資家向け日本株・日本株関連商品のセールスチームを統括していた。顧客拡大に尽力した結果、関連業務での収益は3年間で倍増しており、復職した16年3月までの業務評価も5段階中の4で問題はなかったと主張している。

DNA鑑定

  ウッド氏が育休取得を申請したのは15年8月ごろで、当初は人事部から母子手帳を持っていないことを理由に許可されなかったという。育休が正式に認められたのは出産の約2カ月後、父子関係を証明するものとしてDNA鑑定書を提出した後の15年12月だったとしている。

  申立書によると、同社は休職命令は「安全配慮義務」によるものと説明。また、育休後に業務から外す措置をとったのは、子育て中であることを配慮した結果でハラスメントとの受け止めは誤解だとウッド氏に伝えていた。

  厚生労働省の今年7月の発表によると、国内で育児休業制度を利用した人の割合は、女性の81.8%に対し、男性は3.16%にとどまっている。

  全労連の大西玲子女性局長は、男性の取得率が低いのは、「取らないのでなく、取れないから」とコメントした。安倍政権下で働き方改革を進めているが、長時間労働は抑制されておらず育休や時短を認める雰囲気はないと述べた上で、「男性はバリバリ働いて、女性が育児や家事に当たるべきとの日本の伝統的な男女差別意識」が根底にあるとの見方を示した。
  

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【NY外為】ドル上昇、ECBのQE縮小計画でユーロは大幅安

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  • QEが突然終了することはない-ドラギECB総裁
  • 税制改革への期待とFRB議長関連報道がドル押し上げ

26日のニューヨーク外国為替市場ではユーロが大幅下落し、7月下旬以来の水準となった。欧州中央銀行(ECB)が量的緩和(QE)政策の延長と債券購入規模の縮小を発表したのが手掛かり。一方で、米下院による予算決議案可決で税制改革実現の見込みが高まったとの見方から、ドル指数は7月12日以来の水準を回復した。

  ドルは主要10通貨の全てに対し値上がりした一方、ユーロは8通貨に対し値下がりした。ECBはこの日、QEプログラムを月間購入額300億ユーロで少なくとも来年9月まで延長すると発表。市場の予想とほぼ一致した。イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は次期議長指名争いから外れたとのポリティコ報道を受け、よりタカ派の候補者が選ばれる可能性に注目が集まったことも、ドルの支援材料になった。

  ニューヨーク時間午後5時現在、主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は前日比0.7%上昇。ドルは対円で0.2%上げて1ドル=113円98銭。対ユーロでは1.4%上昇し1ユーロ=1.1648ドル。

  ニューヨーク時間の午後にはユーロのドルに対する下落率が1%を超え、4月以来で初めて100日移動平均の1ユーロ=1.1674ドルも下回った。

  ドルは円に対して一時1ドル=114円08銭まで上昇。ただ、ドルに対する円の下げ幅は他の通貨ほど大きくなかった。ユーロが対円で1カ月ぶりの大幅安となり、ユーロを円に対し買い持ちにするクロス取引が巻き戻されたことで、ドルの上値が限定されたと、ニューヨーク在勤のあるトレーダーは指摘した。

欧州時間の取引

  ユーロはECBのQE縮小計画発表を受けて下落し、ドラギ総裁の記者会見終了後には10月6日以来の安値となる1ユーロ=1.1707ドルに値下がり。ただ、政策決定の発表やドラギ総裁会見が進行中の相場変動は比較的小幅にとどまった。ドラギ総裁は、QEは期限を決めないプログラムで、突然終了することはないと強調。またコンスタンシオ副総裁は、満期償還金の再投資が「相当な」額になるとの見方を示した。

原題:Dollar Gains on Tax Reform Outlook; Euro Sinks on ECB Tapering(抜粋)
EUR Down vs Most G-10 Peers; ECB Halves, Extends QE: Inside G-10(抜粋)

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