風光明媚!特別名勝「六義園」をディープに愉しむSTEP10
東京駒込・「六義園(りくぎえん)」は、都心の中にありながらも四季折々の風情に満ちた風光明媚な名園。築庭された江戸期からの景観を留め、日本の文化や歴史、和歌の心を伝える六義園は、全国に36カ所しかない国の特別名勝の一つです。春のしだれ桜や、秋の紅葉のライトアップ期間中はとくに賑わう、江戸・元禄時代に生まれた大名庭園を、もっと深く愉しむためのSTEP10をご案内します!
STEP1/まずは文京区駒込へ出掛けよう
この日お世話になったのは、ガイドの横山さんです。
STEP2/庭園の成り立ち・歴史を学ぼう
六義園は、元禄15(1702)年に川越藩主・柳澤吉保(よしやす)が駒込の別邸に築いた庭園で、現存する江戸の大名庭園中日本で屈指の名園。
柳澤吉保といえば、五代将軍徳川綱吉からの信任が厚かったという、学問にも秀でた名君。綱吉より下屋敷として与えられた駒込の地に、自ら設計し7年の歳月をかけて作庭したのがここ六義園なのだそうです。
吉保の没後、荒れ果てていたこの庭園は明治時代に三菱財閥創設者・岩崎彌太郎の所有に。その後、昭和13(1938)年には東京市(東京都)に寄贈されると一般公開も始まり、昭和28(1953)年に国の特別名勝となりました。
江戸から明治、そして平成の現代へつづく激動の歴史を経てなお美しい景観で私たちを迎えてくれるのです。
STEP3/「六義園」という名前の由来を知ろう
「六義園」という名は、中国の詩の分類法「六義(風・賦・比・興・雅・頌)」にならった『古今和歌集』序文にある和歌の分類の六体(そえ歌・かぞえ歌・なぞらえ歌・たとえ歌・ただごと歌・いわい歌)に由来するもの。
すなわちこの庭園はその名が表すごとく、「和歌の庭」。 吉保の文芸趣味を反映し、万葉集や古今和歌集に詠まれた「和歌」の風景を庭造りのベースとしているのです。
吉保は「六義園」と書いて「むくさのその」と呼んでいましたが、現在は漢音読みで「りくぎえん」と言っています。
なかでも多いのが、「和歌の浦」をはじめとする紀州(現在の和歌山県)の景勝地。園内を巡るうちに、実際に和歌山へ足を伸ばしたくなるかもしれません。
STEP4/回遊式築山泉水庭園の見所をチェックしよう
~いもせ山 なかにおひたる たまざさの 一よのへだて さもぞ露けき~
『新選和歌六帖/藤原信実』
が詠まれた、紀州・和歌の浦の風景を映しているのです。
STEP5/和歌のコードを探しながら八十八境を巡ろう
上の石柱に記された文字は、「志るへの岡」。 八十八境55の【指南岡(しるべのをか)】のことを指します。
~尋行く 和歌のうら路のはま千鳥 跡ある方に 道しるべせよ~
という和歌に詠まれた「千鳥橋」がこの先にあります。
~よしの山 こぞのしをりの みちかへて まだ見ぬかたの 花をたづねん~
という、桜が大好きだった西行の歌にちなんだ石柱です。
STEP6/「吹上茶屋」の抹茶&お菓子でほっこりしよう
STEP7/「つつじ茶屋」付近でもみじを愛でよう
STEP8/藤代峠で大名気分にひたろう
衣通姫(そとおりひめ)
八十八境87【蛛道(ささがにのみち)】は蜘蛛の糸のように細い道を言い、「ささがに」は蜘蛛の枕詞。衣通姫は和歌の三神の一人とされ、美しさが衣を通して輝いたといわれています。和歌の道も柳澤家も、蜘蛛の糸が細くとも切れないように、永遠にとだえぬようにとの願いをこめて造られた境です。
~ふぢしろの みさかをこえて 見わたせば かすみもやらぬ 吹上の浜~
紀州・和歌の浦を見渡して詠んだ、この和歌そのものの絶景が広がるのを実際に目にして、吉保が造った世界の壮大さに深い感動を覚えました。
STEP9/11月下旬~12月上旬の
紅葉ライトアップを観に行こう
ガイドさんによると、紅葉シーズンのおすすめ鑑賞スタイルは、「3時頃に訪れて、昼間の景観と夜の眺めを見比べること」。陽光が鮮やかに照らす昼間の雅やかさと、幻想的な明かりに浮かび上がる幽玄な趣。両方どちらも素晴らしいとのことでした。
六義園 紅葉と大名庭園のライトアップ
[期間]2017年11月18日(土)~12月6日(水)
[ライトアップ時間]日没~21:00(最終入園は20:30まで)
※駒込駅2分の染井門も開門
※16:30以降は安全確保のため立ち入り制限区域あり
※入園料別途
03-3941-2222(六義園サービスセンター)
STEP10/桜咲く春、つつじ咲く初夏と、四季折々の緑や花を愛でよう
六義園
東京都文京区本駒込6-16-3
[開園時間]9:00~17:00(入園は16:30まで。イベント期間中及びGWなどは時間延長あり)
[休園日]12月29日~翌1月1日
[料金] 一般300円、65歳以上150円、小学生以下及び都内在住・在学の中学生は無料(すべて税込)
庭園ガイド
[実施日]土・日曜・祝日
[実施時間]11:00~、14:00~
[料金]無料
※気象状況により中止する場合あり。当日の実施状況については問い合わせください。
03-3941-2222(六義園サービスセンター)
ゴトウヤスコ
ホテル、レストラン、神社、婚礼、旅、食、暦&歳時記、ものづくりなどの広告コピー、雑誌記事、インタビュー記事などを多数執筆し、言葉で人と人をつなぎ、心に響くものごとを伝える。旅は、基本一人旅好き。温泉、パワースポット、絶景、おいしいものがあるところなら、好奇心がおもむくままどこへでも。得意技は、手土産&グルメハンティング。最近は伝統.芸能、日本刀、蓄音機など和文化への興味を深堀中。読書会なども開催。(制作会社CLINK:クリンク)
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