こんにちは、Circulation-Cameraです。
現在、カナダ旅行の記事を順次公開中なのですが、今がちょうど、
・前半のモントリオール編
・後半のカナディアンロッキー編
の境目ですので、息抜きにカナダと関係ない記事をアップしてみました。
※カナダ記事へのリンクです↓
~前置き~
今回のテーマは、「フィルター」です!
先ほど、カナダ旅行と関係ないとは申しましたが、旅行中も、NDフィルターやPLフィルターには大変お世話になりました。
写真を載せていく中で、フィルターについてのコメントもいくつか頂きました。
※コメントを下さった皆様、ありがとうございました ^^b
そこで今回は、
・「フィルターにはどんな種類があるのか!?」
・「どんな使い方ができるのか!?」
・「実際に買う時や使う時には何に気を付けるのか!?」
そんなことを、Circulation-Cameraなりに、まとめてみました!
7000字近い長い記事になってしまいましたが、そこそこ包括的にまとめてみましたので、ご興味のある方は時間のある時にご覧くださいませ m(_ _)m
それでは宜しくお願いします。
~フィルターの形状~
撮影レンズの前方 (時に後方) に装着するアタッチメントです。
デジタル一眼レフやミラーレス一眼のユーザーでもっともポピュラーな装着方法はねじ込み式でしょう。レンズ前面の、このような溝にねじ込みます。
他にも専用アダプターや専用ホルダーを使用する多形式というものもあります。
※引用:http://www.yodobashi.com/product/100000001003416199/
多形式フィルターは 「出目金レンズ」で必要です。
「出目金レンズ」とは、下の写真のレンズのように、前玉がでっぱっているレンズの俗称です。このように出っ張っていては、ねじ込み式でフィルター装着できませんよね?
なのでレンズによっては、こういう多形式フィルターが必要なのです💡
※引用:http://www.nikon-image.com/products/lens/nikkor/af-s_fisheye_nikkor_8-15mm_f35-45e_ed/
※あと、重ねて装着してもケラレないのも利点ですが、ケラレについては後述します。
~フィルターの目的~
フィルターは以下のように使用目的が大別されます。
①プロテクターとしての使用
②特殊効果を求めての使用
③減光目的の使用
④偏光目的の使用
⑤色補正目的
⑥整色目的
⑦色温度返還目的
このうち、⑤~⑦はフィルムカメラで多用されるフィルターで、恥ずかしながら、用途は知っているのですが実際に使用したものがないので、ここでは割愛させてください。
ごめんなさい💦
何故、デジタルでは⑤⑥⑦のフィルターはそれほど利用されていないのか?
それは、フィルムカメラと違い、デジタルカメラの場合、ホワイトバランスはその都度設定できますし、レタッチ可能なので、わざわざフィルターで色温度などは変更しないことが多いからです。
例えば下のフィルターはC12というKENKOさんの出しているホワイトバランス調整用のフィルターです (⑦のフィルターに当たります)。
引用:http://www.kenko-tokina.co.jp/imaging/filter/revision/4961607158470.html
つまり、一般的なデジタル一眼レフやミラーレス一眼のユーザーは、この①~④のフィルターについて知っていれば充分だと思いますので、ご安心下さいませ m(_ _)m
次の各論では、それぞれのフィルターについて解説していきます。
〜各論〜
(1) プロテクトフィルター
多くの方が使用されていると思います。
その名の通り、レンズの前面に装着することで前玉を守ることができるフィルターです。プロテクトフィルター装着による画質劣化は、しばしば議論になりますが、私は基本的に関係ないと思っています。
※後述しますが、非常に安価なフィルターは別です。個人的には明確に画質劣化した経験があります。
ただ、標準~高級なプロテクトフィルターでも、逆光の強い環境に於いて、ゴーストは確実に出現しやすくなりますからご注意ください。
(2) UVフィルター
可視光線は通過させ、390μm以下の紫外線をカットするフィルターです。
フィルムは、この可視光線ではない紫外線にも感光します。そのため、紫外線が多い環境、例えば海辺などで撮影すると、必要以上に画像が青くなったり、遠景描写がボンヤリすることがあります。また、明るい赤が黒ずんで写ってしまうといいます。
UVフィルターはこういった紫外線の悪影響を排してくれるフィルターです。
ただ、デジタルカメラの場合、こういった紫外線の悪影響は基本的に受けません。
ですから、単にプロテクトフィルターとして使用されるパターンが多いです。
※ちなみに私もプロテクトフィルターの代わりにUVフィルターを装着しているレンズがいくつかありますが、大きな意味はありません ^^;
(3) クロスフィルター
クロスフィルターは点光源から発生する光を格子状にするフィルターです。
これによって夜景をより華麗に演出することができたりします。
※引用:http://www.kenko-tokina.co.jp/special/brand/cokin/cross_filters.html
クロスフィルターはこのように格子状になっています。
種類によって点光源周辺に発生する光条の数が異なります。
※引用:http://www.kenko-tokina.co.jp/imaging/filter/cross/4961607352212.html
(4) ソフトフィルター
花や女性ポートレート撮影でしばしば使用されるフィルターです。細かい溝が入ったフィルターでソフト効果を演出します。
ちなみに、もともとソフトに写るレンズもあります。
例えば、レンズベビーのVelvet 56が有名ではないでしょうか?
こういうレンズはソフトフォーカスレンズといいます。意図的に球面収差や軸上色収差を残したレンズです。従って、ソフトフォーカスレンズはF値を大きく絞ると収差が改善され次第に描写はキリっとしてきます。
一方で、ソフトフィルターは、当然絞っても描写はほとんど変化しません。
(5) NDフィルター
NDフィルターはNutral Density Filterの略称です。
カラーバランスや明暗のバランスを変えることなく、レンズに入ってくる光量を減弱させるフィルターです。
これを使用することで明るい場所でもスローシャッターが切れます。
その結果、空や水は表情を変え、ドラマチックな印象の写真に仕上がることが多いです。
他にも、
・長秒間露光することで歩行者を消す
・花火の白とびを防ぐ
・朝日や夕日を撮影する場合の光量カット
などなど、いろいろと活用することができるフィルターです (/・ω・)/
〜NDフィルターの性能〜
NDフィルターには番号が振ってあり、この数字が大きいほど、光をカットしてくれます。例えばND16と書かれたフィルターは、「光量を1/16カット」してくれます💡
すなわち、本来の16倍のシャッタースピードで撮影すると適正露出になります。
もうひとつ例を。シャッタースピード1/8 secで撮影すると適正露出になる条件だとしましょう。ここでND100を装着することを考えます。計算上、「光量は1/100カットされますので、100倍のシャッタースピードが必要」ということです。
従って、
100 × 1/8 = 12.5 sec
ということです。
~どんなNDフィルターを買う??~
状況状況によって必要になるNDフィルターの濃さは異なりますが、個人的にはND16とND400をよく使用しています。
~NDフィルターの注意点~
<注意点①!>
ND16くらいなギリギリで大丈夫かもしれませんが、ND400とか装着すると、ファインダーもライブビューも全く見えなくなります。
実際にフィルターをかざすとこんな感じです👇
もちろん、オートフォーカスは利かなくなります。
ですから、フィルターを装着する前にフォーカシングや露出合わせは完了し、オートフォーカスはオフにして下さい。
<注意点②!>
長秒間露光が目的ですから三脚は必須です。
<注意点③!>
NDフィルターを重ねると、相乗効果が得られます。その場合、NDフィルターの光量カット量は重ねたNDフィルターの番号の積になります。例えばND4とND8を重ねた場合、4×8でND32のように使用できます。
(5)' ハーフNDフィルター
下の写真ように半分だけNDフィルターになっているフィルターをハーフNDフィルターと言います。読んで字の如しですね ( ̄▽ ̄)
これを使用することで空の強烈な眩しさを軽減することができます。
※引用: http://www.kenko-tokina.co.jp/imaging/filter/assets_c/2016/07/5055782204141-23800.html
(6) C-PLフィルター
PLフィルター (Polarized Light Filter) は反射光の偏光をカットするフィルターです。
偏光というのは、本来ならあらゆる方向に振動する性質の光が、水面やガラスなど透明な面に反射した場合に一定の向きに振動することを指します。
分かりにくいですね ^^;
とりあえずは白い乱反射光だと思って下されば、OKです。
PLフィルターを使用すると、この白い乱反射光を打ち消すことができます。
そのため、「水面の透明化」、「建物のガラスの映り込み減弱」などが期待できます。
<PLフィルターなし>
<PLフィルターあり>
<PLフィルターなし>
<PLフィルターあり>
湖の色合いが全然違いますよね💡
余計な反射を抑えるので、木の葉をより色鮮やかに写してくれます💡
また、乱反射を打ち消すので空の青さや雲の輪郭をよりくっきりと表現できます。
現在の多くのPLフィルターはC-PLフィルターと呼ばれています。Cは「Circular」の頭文字で、前側の枠を少しずつ回転させることで、反射の取れ具合をコントロールできます。回転式ではないPLフィルターは、オートフォーカスの誤作動を招いたりしますので、デジカメを使用される方はC-PLフィルターを選んでくださいね。
※円偏光フィルターやサーキュラーPLフィルターもPOLフィルターもC-PLフィルターと同じ意味です!購入するとき混乱しないようにして下さいね💡
PLフィルターはうまく使えば非常に有効ですが、使用にコツがあるというか、癖の強いフィルターです。以下のような注意点に留意してご使用下さい。
<注意点①!>
基本的に偏光サングラスのように暗いフィルターです。
従って、かなり暗くなるのでご注意を!モノによりますが3-5段暗くなることもザラです💦 基本的にPLフィルターを使用するなら三脚が必要と考えて下さい。
※5段暗いということはシャッタースピードが未使用時の30倍近く必要ということです。
※とはいえ、C-PLフィルターは、NDフィルターほどは暗くないのでオートフォーカスやオート露出合わせは基本的に可能です。
<注意点②!>
逆光では無力だと覚えておいてください。
<注意点②'!>
超広角レンズでは、広い範囲が写り、逆光・順光が同居することがあり、いわゆる「片効き」がしばしば発生します。
この写真は焦点距離15mmのレンズPLフィルターを装着して撮影したのですが、右側の空の方が良くPLフィルターの効果が出ています。
※なお、効果が一番発揮されるのは順光でも逆行でもない、太陽の光軸から90度ずれた環境です。
<注意点③!>
鏡の反射や金属面での反射光には効果がありません。
<注意点④!>
PLフィルターは紫外線に弱く、長く当てていると劣化の可能性があります。保管は暗所にして下さい。また、熱にも弱いので60度以上の環境、例えば夏の車の中に放置したりしないようにご注意ください。
~フィルター選びのポイント~
ここまで、フィルターの種類について述べて参りました。
いかがでしょう?
興味のあるフィルターはございましたか??
では実際にフィルターを選ぶときのポイントをお話しします。
(1) メーカー
有名なメーカーは、
・KENKO
・COKIN
・MARUMI
・HAKUBA
などでしょうか?
また、NIKONやZeissなども独自の自社ブランドフィルターを販売しています。どこが特別優れているということはありませんので、それほど神経質にならなくても大丈夫ですよ♪
ただ、聞いたことのないようなメーカーの、超安価なフィルターは怪しいかと思いますので避けた方が無難です ^^;
(2) フィルター径
ねじ込み式フィルターの場合、レンズに合ったフィルター径ではないと基本的に使用できません。
下のフィルターはケースに書かれている通り、左から82mm, 77mm, 95mmのフィルターです。
一方、レンズのスペックには下のように記載されています。
このレンズはφ67mmのフィルター径に対応しているということです。
※引用:ヨドバシドットコム
※一応、ステップアップリングというアタッチメントがあり、使用することでレンズのフィルター径より大きな径のフィルターは使用可能です。ただし、フードが装着できなくなりますので、やはりレンズに合ったフィルターの方を用意した方が良い気がします ^^;
(3) フィルターの値段は種類によって異なる
同じ径であっても種類が異なれば値段の相場は変わります。
例えば、同じ会社の同じφ77mmのフィルターでもプロテクトフィルターよりもPLフィルターの方が高価なはずです。
(4) フィルター選びのバロメータ
更に言うと、同じ径の同じ種類フィルターであっても、モノによって値段が違ってどれを購入するか迷うことがあります💦
例えば、ヨドバシドットコムで「77mmのPLフィルター」で検索するだけでたくさん出てきます。
何故、同じ種類の同じ径のフィルターで値段差が生じるのか??
ブランド代という要素もありますが、あまりに安価なものは以下のような点に妥協している可能性があるのでご注意ください。
<妥協① 厚み>
フィルターの厚みが大きいと「ケラレ」が発生します。ケラレとは写真の四隅にフィルターなどの枠が写りこんでしまうことです。よく使うデジカメ用語なので初耳学の方は覚えてあげて下さいね。
ケラレの例.)
安価なフィルターでは、この厚みが妙に厚いことがあります。
<妥協② コーティングや歪みなど>
フィルターのコーティングは非常に重要です!有効なコーティングのされているフィルターは画質劣化が非常に小さく、発色性や逆光耐性にも優れます。また、撥水性にも優れ、お手入れがしやすく長持ちします。しかし、コーティング技術ばかりは各社各社がそれぞれの技術を隠し持っているので数値で比較できません💦
これが、私が「聞いたことのない妙に安価なフィルターは避けた方が良い」と主張する理由です。あまりに安価なフィルターは充分なコーティングが施されていなかったりガラスの均一性が妥協されている可能性があります。
<妥協③ その他>
また、実際に経験したことがありますが、安価なフィルターの中には、PLフィルターなのに偏光効果が弱かったり、NDフィルターなのに減光効果が弱かったりするものも混ざっているようです。
④ 実際にどうしたらいいの??
私が主張したいのは、「あまりにも安価なものを追い求めると安物買いの銭失いになりかねないのでご注意ください💦」というニュアンスです。
決して高級品を買いましょう、ということではありません _φ( ̄ー ̄ )
そもそもフィルターは決して安い買い物ではありませんので、初めてのフィルター購入で不安な場合、ここで説明したようなことを念頭に、ビックカメラやヨドバシカメラなど量販店の店員さんと相談してみて下さい。
不安を煽るような物言いをしてすいませんでしたが、そういう大手で販売している大抵のフィルターは、きちんとしているので問題なく使用できると思いますよ💡
~フィルターの重ね使用~
フィルターの上にフィルターを重ねて使用することができます。
先述したNDフィルター2枚重ねや、NDフィルターやPLフィルターの2枚重ねなどです。
ただし、想像できると思いますが、ケラレが生じやすいのでご注意ください。
プロテクトフィルターを使用中の方は、一回プロテクトフィルターを外してから別のフィルターを装着してください。
※多角形フィルターはこういう心配がなく、重ね使用ができます💡
この写真はそれを怠ったがゆえに四隅が少々ケラレています orz
~最後に~
以上でフィルターまとめは終了です!
フィルターをうまく使用すれば写真表現が広がります。
気になるフィルターがございましたら是非使用してみて下さい♪
何か御不明な点がございましたらコメント欄に記載してください。
わかる範囲でお答えいたします (`・ω・´)b
それでは、次回からカナダ記事の後半戦をはじめます!
カナディアンロッキーでもNDやPLフィルターを活用してきましたので、作例もご紹介できるだろうと思います💡
それではまた、よろしくお願いします m(_ _)m