大量の書類を作るケースはいろいろあろうが、組織的に作るケース、トップの指示でやむを得ず作るケースがある。上層部からの指示で、会議の当日ではほとんど読みこなせないほどの、厚さが数センチにもなる書類を作ることは想像しやすい。例えば、各役員がそれぞれに関わる各署についての資料がないと、思わぬところから苦情がくるケースもあるし、項目が重複していようが、とにかく出席者の顔を思い浮かべながら「どこからも文句のこない会議資料」なるものを作らざるを得ないケースは多い。(参照記事)
しかし、担当者が進んで作るケースもある。
中堅の機械部品メーカーであるD社は、市場の価格低下のあおりを受けて営業利益が確保できず、一方で製品の原価低減が進まず、新製品も枯渇していた。従業員も覇気がなかった。しかし書類作成となると、不思議にどの部署も燃えた。詳細かつ膨大な書類を作成した。特に設計部門から出る書類は、圧巻だった。
予算や経営会議はもちろん、原価低減の小テーマをチェックする場合でも、関連部門はすばらしい書類を準備した。書類はよくできるが、新製品の開発は進まず、原価低減も経費削減も進まなかった。書類作成に精も根も使い果たしてしまい、その内容を実行するまでのエネルギーは残っていないような雰囲気だった。組織内担当者の自発的所業である。
さて、以上を考慮しながら問題を少し整理してみよう。
まず膨大な書類作成がもたらす悪弊は、(1)作成のために時間を浪費する、(2)書類作成が目的化してしまい、精も根も使い果たして行動に結びつかない、(3)書類はほとんどファイルされて資源の無駄使いになる。その他に、議論が発散することなども挙げられよう。
次に、なぜ膨大な書類が作られ続けるのか。(1)トップが黙認しているから、いや場合によってはトップが望んでいるから、(2)全社的に社風として定着してしまっているから、(3)組織内で伝統的に受け継がれているから、(4)誰もが疑問に思いながら、現状打開を言い出せないで慣習に従っているから…というところだろう。
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