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要支援対象は1万6000人 大飯原発広域避難計画

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 内閣府と関係府県が二十五日に取りまとめた関西電力大飯原発(おおい町)の広域避難計画では、昨年夏の高浜原発での事故を想定した訓練を踏まえ、孤立地域への対応や福祉車両の確保などが盛り込まれた。ただ、五キロ圏内と五~三十キロ圏内の住民が時間差で避難する計画通りに進むことが前提となっていたり、放射線防護施設ではない建物で待機したりと、実際に機能するか不安要素も付きまとう。

 大飯の計画では、五キロ圏内がおおい町の大島地区(七百三十六人)と小浜市の内外海(うちとみ)地区(二百六十七人)。五~三十キロ圏内はおおい、高浜、若狭、美浜の四町と小浜市で計七万二千八百六十四人が対象で、越前市や敦賀市など県内への避難を基本とし、風向きなどで難しい場合は兵庫県の伊丹市や川西市など二十二市町へ向かう。

 このうち避難に支援が必要なお年寄りや子どもたちは五キロ圏内に百八十二人、五~三十キロ圏内に一万五千八百二十四人いる。自家用車などで逃げられず福祉車両が必要な人は約二千人と見積もった。

 五~三十キロ圏内の避難は、放射性物質が放出され、毎時二〇マイクロシーベルトが計測された時から一週間以内に圏外に避難するとされている。計画策定に当たり、県が把握した県内の福祉車両は、車いす車両が七百四台、ストレッチャー車両が八十九台。一日二往復のピストン輸送で車いす車両は五十六台、ストレッチャー車両は三十九台で済むと見込んでいる。

 県のシミュレーションでは、五~三十キロ圏内の全員が一斉に避難すると三十キロ圏外まで出るだけで七時間ほどかかると見込まれる。計画は「二段階で避難してもらうのが前提」(内閣府)という。

 昨夏の高浜原発を対象にした避難訓練では、悪天候で救助ヘリが飛べず、半島先端の高浜町音海地区が孤立する恐れが顕在化した。孤立地域は外の空気が入り込まないように改修された放射線防護施設のほか、比較的放射線を防ぐコンクリート造りの施設に一時避難するとされた。一方、暴風雪などの時には自宅内にとどまり、熊本地震のように余震が続いて避難所内にいられない場合は早めに避難することにした。

 内閣府の山本哲也政策統括官は会議後、記者団に「計画はまだ紙に書いたもの。訓練をやって改善していく」と述べたが、訓練時期は示さなかった。

 (中崎裕)

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