「ものすごい栄達」 2期目就任の習・中国主席にトランプ氏
ドナルド・トランプ米大統領は25日、中国の習近平国家主席と電話会談した。トランプ氏は会談後にツイッターで、今週閉幕した中国共産党大会で習氏の権力固めが進んだことについて、「ものすごい栄達」だと述べた。
5年に1度の党大会の閉幕を受けて、中国共産党は24日に最高指導部の政治局常務委員の新体制を発表し、習氏の留任が決まった。ただし、明確な後継者は示されなかった。党大会では習氏の政治理念を「習近平思想」と位置付け、党の憲法にあたる党規約に盛り込んだ。
トランプ氏は来月中国を公式訪問し、習氏と会談する予定。両氏は、今年7月にドイツのハンブルクで開かれた主要20カ国首脳会議(G20)でも会談している。
トランプ氏は25日のツイートで、習氏と北朝鮮と貿易について協議したと明らかにした。
中国の国営メディアによると、習氏は電話会談で、「将来に向けた米中関係発展の青写真を一緒に描きたい」と語ったという。
中国の経済規模(国内総生産=GDP)は米国に次ぐ世界第2位で、米国は中国にとって最大の貿易相手。
中国と東アジアの米国の同盟各国との南シナ海や東シナ海での領有権をめぐる対立は、両国関係にも影を落としている。
習体制は2022年以降も?
党大会閉幕を受け、25日に2期目が決まった習氏は、自らの名前を冠した政治理念が党規約に盛り込まれたことで、党の創始者の毛沢東と並ぶ権威を得た。習氏は現在64歳。2期目満了の2022年以降も、権力を保持する可能性を指摘する声が出ている。
中国の最高指導機関で、7人で構成される政治局常務委員会には今回、5人の新メンバーが選出された。
習氏が今回、腹心とされる陳敏爾氏(56)と胡春華・広東省党委書記(54)を常務委員に昇格させるとの憶測があった。2人は現在50代で、習氏の後継として十分若い。
しかし、新たに選出された委員は全員60代で、5年の任期を終えた後は引退する可能性が高く、習氏の長期的な計画をめぐる憶測を呼んでいる。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は習氏に祝電を送り、習氏の再任は「政治的権威」を示すものだと称えた。さらに、中国の発展ならびに国際的地位の向上という習氏の政策への、「幅広い支持」を反映した再任だと評価した。
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は習氏の再任を祝う手紙を送り、「現実的な戦略的パートナーシップ」を築くのを楽しみにしていると伝えた。
外国メディアの締め出し
2012年のトップ就任以来、習氏にはこれまで、中国の「中核」指導者など、過去に例を見ない数の称号が授けられてきた。
習氏の1期目、中国は経済を大きく発展させ、近代化を進め、世界の舞台で主張を強めた一方、権威主義的な統治が強まり、検閲や人権侵害の事例が相次いだ。
習氏が主導した幅広い汚職撲滅運動では、100万人以上の当局者が処罰された。一部には、反汚職運動が習氏の党内ライバルの大規模な粛清に使われたとの見方もある。
25日に北京の人民大会堂で最高指導部の新体制が発表された際には、主要な西側メディアが取材を許されなかった。
BBCや英紙フィナンシャル・タイムズ、エコノミスト誌、米紙ニューヨーク・タイムズ、英紙ガーディアンが締め出された理由について公式な説明はない。しかし、記者たちへの非公式な説明によると、各社の報道内容に対する当局の不満が背景だされる。国内外の報道統制を強めようとする習氏の決意の表れだとみられる。