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「PTAなんて無くせ!」「みんなで役員やれよ!」 はどちらも等しく暴論である

保護者会の会長を退任しました

長谷川豊です。

本日(4月24日)、無事1年間の務めを終え、小学校の保護者会会長を退任しました。色々と学ばせていただいた、楽しく実りのある1年でした。

去年の3月か4月ごろに新しい役員選出の時期になり、

「子供3人世話になってるからなぁ…何かお役に立てないかなぁ…」

とのんびり考えたのが始まりでした。

聞くと、数年前の保護者会の役員人事が大揉め。

特に「会長職」の立候補が全く出ず、夜の8時までかかってみんなで押し付け合ったという歴史があることを風のうわさで聞いていました。

なんでそんなに嫌がるかなぁ…。

聞くと、みんなの前で挨拶をしたり責任を負わされるのがどうしても嫌だという話。

それを聞いて、自分なら役に立てるんじゃないかなぁ、と考えました。

なんといっても、人前に出ることに関しては一応プロです。そんな仕事を18年やってきました。責任のある仕事でもありました。普通の人が嫌がる仕事をすれば、お役に立てる気がしました。

役員人事選考の時は仕事で東京にいませんでした。嫁さんに立候補する意思を伝え、役員人事選考に出てもらい、立候補してもらいました。

拍手が鳴りやまなかったそうです。みんな、そんなに会長って嫌なのね…。

ですが、初めて見ると聞いていた話とは全然違いました。

既にさまざまなことがシステムで管理されており、ほとんどの仕事は前年度の引継ぎでOK。何をしたらいいかもすべて分かるし、そのマニュアルもありました。さすが我が小学校。大したものだと思いました。

相変わらず人前でのあいさつなどは全然苦にもならず、しかも原稿チェックはお手の物。会長職は私にとっては全くイヤな仕事ではありませんでした。

PTAが「任意団体」である以上、やる人がいなければ無くなるだけ

昨日のヤフーのトップでも取り扱われていたのですが、現在、学校のPTAに対して疑問の声が多数上がっています。

私の所属する学校は「保護者会」でしたが、あくまで「任意団体」であることは共通です。その「任意団体」である保護者会やPTAが役員の仕事を「押し付ける」ことに対して、非常に多くの不満が上がっています。

1年間会長職を務めて思うことですが、これらの不満は「当然のもの」でしかありません。保護者の方々がは不満を感じているのであれば、それは保護者会でありPTAの在り方が間違っているのであって、恐らく何らかのプロセスの部分に齟齬があるのだと推察します。

これは私の学校の保護者会でも同じだったのですが、確かに役員の決め方がかなり強引な学校は多数存在します。

「強引に決めなければ、保護者会が存続できないかもしれない」

というのが「強引に役員を決める」主だった理由で、その他にも

「仕事はみんなで公平にやるべき!」

という理論武装をする役員さんたちも少なくありません。

言うまでもないことですが、これらの言い分は100%誤りです。単純に法律をちゃんと読めていません。日本が法治国家である以上、完全に間違っている論理です。

まず、保護者会だろうがPTAだろうが「任意団体」である以上、憲法21条の「結社の自由」を保持しなければ「基本的人権の侵害行為」に該当します。

日本人はあらゆる結社(集まり)に自由に参加していいですし、同時に自由に抜けていいと規定されています。これは日本人に認められた正当な権利です。

任意団体である以上、「保護者会やPTAが存続できなくなる」という主張は全くの的外れです。

やる人がいないなら消滅するのが任意団体の基本です。だってただのボランティアなのだから。ただのボランティア集団でしかないので、保護者達から会費を徴収しても納税の義務も生じていないのです。税金納めていないでしょう?PTAって。

「みんなで公平にやるべき」も同じくおかしいですね。任意団体って「公平」もへったくれもありません。やりたい人がやるだけです。公平とか不公平って任意団体には存在しません。したがって、上記の理論は完全に破たんした勉強不足丸出しの理論です。

だからと言って「無くしてしまえ」は暴論

と同時に、ヤフーニュースになっていたように「じゃあ無くしてしまえ」というのはさすがに暴論です。結論を先に申し上げておくと、

「(PTA大好きな人が)みんなで役員やれよ!」
「(PTA大嫌いな人が)PTAなんて無くしてしまえ!」

この2つは全く同列の暴論です。両者ともに極端すぎ。少しは勉強すべきです。

先ほども申しましたように、あくまで「任意団体」である以上、無くす必要なんてものはそもそも存在しません。勝手にやればいいのです。

そして、日本には「結社の自由」があるように、自分たちのチームに対して「勧誘する」という権利が認められています。違法なことや、完全に騙して自分たちのチームに引き入れることは認められていないですよ?それは前提です。

でも「断ったらいい」のに、いい人ぶろうとして断れません~という人は、そもそも、その人の意志の弱さが問題なだけです。

繰り返しますが、任意団体ごとき、辞める自由もあればお断りする自由もあります。

その自由を行使するのは自分です。それをはっきりとNOと言えなかったからと言って、その団体自体をつぶしてしまえ、というのはいささか暴論が過ぎます。

だって、そういった活動が大好きでたまらない人も多少はいるわけだから。その人たちが「勧誘する自由」を奪うことは許されないことです。憲法の通りです。

私の学校では全役員が立候補で決まった

私の学校でも、役員選出のアンケートに多少強引な文言が見つかったので、夜に役員の皆さんに臨時で集まっていただき、その文言を消してもらいました。

できるだけ丁寧に説明するためにパワーポイント画面を10枚作り、過去の判例や憲法学者の解説を盛り込みました。

皆さんは少し意見を出すことはありましたが、すぐに同意していただき、臨時の会議は1時間もしないうちに終了。役員選出アンケートの中に

「特段の事情で立候補しません」

という項目を追加してもらいました。それまでは

「立候補します」
「立候補者がいなければやってもいいです(準立候補)」
「立候補者がいなければ抽選にゆだねます」

の3つしか選択肢を設けていなかったので、これでは「断る権利」を奪っている、と説明しました。

数日後、アンケートの集計。

各クラスごとに何人もの立候補者が集まり、結局、全クラスから2名ずつ役員を出せばいいだけだったのですが、私のクラスなどは5人の立候補者が出る状態。全クラスの全役員が立候補のみで決まる結果となりました。

「辞めていいんですよ」という選択肢を設ければ、どうしてもやりたくない人と揉めることもなくなります。でも、保護者会の活動は地域の人とも触れ合えるし、そもそも子供たちのためにという思いを持っている人だって少なくないので、結局はお任せするのが一番なんです。

ではこれで本当に各クラスから2名づつの役員が出なかった場合なのですが、その時はその時で「その状況に応じて対応」すればいいだけの話です。別に誰が死んじゃうワケでもないですし、それに対応できないような学校は日本には存在しないはずです。これは自分が会長をやってきて断言できます。

皆さんも考えてみてください。

「運動会の保護者会会長の挨拶がなかったよ~~!」

と言って泣き叫ぶ子供たち、いると思います?

「おいおいおいおい、廃品回収、なんでやってないんだYo!」

とラップ調にシャウトする小学生に会ったことありますか?

いなきゃいないで問題ないんです。そもそも、そんなに大した組織じゃないです。PTAも保護者会も。なので、気楽にやればいいんです。

文科省が「PTA原則禁止」の大号令を発してみては?

国=文部科学省は基本的に、子供たちは「保護者・地域・教職員」の3点で支えるべきとしています。

しかし地域も崩壊し、昔と違って働いているお母さん方もかなり増えてきました。現状では保護者会やPTAは時代に合わなくなってきていることは確かです。保護者会やPTA自体を無くしてしまう学校も増えてきましたが、無くした学校、何一つ問題が起きていません。そんなもんです。

時代の流れを読み、正確に対応することは当然大切なことです。なので、文科省がどこかが一括で

「もう保護者会やPTAは原則禁止!」

とか言ってしまえば分かりやすいのかもしれないですけどね。そうなれば本当にやりたい人だけがやればいいのでシンプルになります。

戦後間もなくの時代にGHQに押し付けられた「タダで保護者を使えるシステム」であるPTA。もうそろそろ過渡期なのかもしれないですね。

そんなことを思いながら、会長職を来年度の方に譲ってきました。皆さんはどんな風に考えていらっしゃいますか?

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