お医者さんも驚くほどのスーパー安産でした

旦那さんの子どもを産むとは限らない」など、妊娠中もさまざまな持論を展開して反響を呼んでいた下田美咲さん。このたび、無事に第一子を出産されました! 出産した瞬間、どんなことを感じたのでしょうか? 現在の心境も含めてたっぷりと綴っていただきました。

お久しぶりです。下田美咲です。この1ヶ月ほど、連載をもって以来はじめての休載をしていました。

というのも、第一子を出産していました。

9月13日に、2530gの元気な男の子をスーパー安産でプリッと出産いたしました。

出産した瞬間に思ったこと

どのくらい安産だったかというと、陣痛開始から1時間で分娩台へあがり、いきみ始めてから15分ほどでプリッと会陰切開すらしないままに産むというスピード出産だった。

脚の間から姿を現した赤ちゃんを見たとき、「本当に人間が入っていたんだ、本当に子どもが育っていたんだ……!」と思った。それは「宇宙人って本当にいたんだ……!」というような類の驚きで、「うわぁ、人間が出てきた……!」というシンプルな感心だった。

そして「ああ、やっと終わった」と思った。

妊娠が発覚して、産むことを決意した日から8ヶ月間、出産は私にとって、恐怖のノルマだった。どのくらい痛いのだろう、どんな風に切られるのだろう(会陰切開)、切った後はどんな状態になるのだろう。そんな気持ちとまともに向き合ってしまうと、あまりの恐怖に心が壊れてしまいそうだった。だから、あえてほとんど考えないように過ごしていた。それでも常に「数カ月以内には出産……」という気の重さはつきまとっていて、予定日は恐怖の対象だった。

「子どもが欲しい」=「出産平気」ということではないから、出産をパスして我が子に会えるならそうしたかったし(父親ずるい)、妊娠アプリが刻んでいく「赤ちゃんに会える日まで、あと◯日」の表示は、恐怖へのカウントダウンだった。親の責任を果たすための準備はできても、出産をする覚悟はどう頑張っても手配のしようがなかった。

また、無限に生まれてくる「どうしよう」に押し潰されそうな8ヶ月間でもあった。臨月のどうしようの一部を挙げてみると、どうしよう、陣痛に気づけなかったら。どうしよう、間に合うように病院に行けなかったら。どうしよう、家で一人の時に破水して、そのまま本格的な陣痛に襲われて、痛くて動けなくなって、取り返しのつかないことになったら。ていうかその前に、まだ産んじゃダメな時期にフライングで産気づいちゃったりしたらどうしよう。

赤ちゃんをお腹の中で育てる係をやることは無限の不安がつきまとうことだったし、赤ちゃんを産む係をやることはとんでもない恐怖のノルマを抱えることだった。

だから、無事に出産を終えた時に思ったことは「ああ、やっと終わった」だった。ついに任務完了だ……そう思った。

「やっと我が子に会えて感動」とか「こんな素敵な体験をさせてくれた旦那さんに感謝」とかそういうドラマチックな気持ちには一切ならず、「ああ、ついに、やっと産み終わった…これでもう妊娠のプレッシャーからも出産の恐怖からも解放されたんだ……」と、すっごく肩の荷が下りた。

そして「もう二度と、妊娠も出産もしたくない……」と思った。分娩台を降りる時に一番思っていたことは、それだった。8ヶ月間もハラハラヒヤヒヤし続けて、心がゲッソリしていた。

結果的に、会陰切開すらしないスーパー安産ではあったけれど、それでもやっぱりトラウマになるほど、妊娠・出産はすごく大変なことだった。

実態を知らなかったからできたことだ、と思う。スカイダイビングもバンジージャンプも、やったことがない時は「やりたい!」と思っていたけれど、一度経験したら「こんなに恐ろしいことだったとは……!もう2度とやりたくない、ってかできない……!」となったように、妊娠・出産も、よく知らなかったらやる気になれたことだった。妊娠・出産するということがどういうことなのか熟知した今、第二子のハードルは第一子の100倍高い。

家に戻って、私が旦那さんに口を酸っぱくして言っていること

そんなトラウマな出産を終え、人生初の子育てが始まってから早くも1ヶ月が過ぎた。

育児の分担について、彼によく言っていることがある。それは「私は妊娠・出産という、とんでもなく大変なことをやったのだから、あとのことは全部あなたがやってくれて当然なんだからね」ということ。

「私は妊娠・出産をやったのだから、赤ちゃんをお風呂に入れるのも、オムツを替えるのも、ミルクをあげるのも、哺乳瓶を消毒するのも、寝かしつけるのも、泣いているのをあやすのも、全部あなたがやって当然だし、それでもまだまだバランス取れないくらいなんだからね。

もし、その程度のことでキツイと思うなら、あなたは子どもを持つことをナメすぎだし、育てるのが嫌なら親になりたがらないで。気が向いた時だけ可愛がるのは育てるって言わないから。

そもそも、私には地獄の妊娠生活と激痛の出産をやらせておいて、自分は痛くも苦しくもないことを『面倒くさい』なんて理由でやらないとしたらクソ野郎すぎて、そんな夫なら嫌いになるよ」

こんなようなことを出産前からよく言っていた。その甲斐あってか、今のところ彼は、かなりイクメンな方の父親だとは思う。

もちろん実際は全てをやらせているわけではなく、たとえば首のすわってない赤ちゃんをお風呂にいれるのは1人でやると大変だから毎日必ず2人で一緒にいれているし、哺乳瓶の消毒もやってもらうより私がやった方が早いから彼がやったのは数える程度で、それに残業をしてから帰宅した彼はクタクタすぎて、危なっかしくて赤ちゃんを託せないことの方が多い。

そんな風に実際はそうもいかないことがたくさんあるにしても、ただ、彼にはそういうつもりではいてほしい。

そもそも父親というのは母親と比べて、やれることが元から極端に少ない。妊娠も出産もできなければ、母乳も出せない。それに週5日間の仕事に行っている時間も一切の育児をできない。つまり、家にいる時間にやれることを全部やってくれたとしても、そんなのは育児全体の1割程度にしかなっていない。

だから、家にいる限られた時間内で「さっき俺がオムツ替えたから、次はそっちね」なんてのは完全にアウトで、こちらはあなたの見ていないところでその9倍やっているし、その前にとんでもない恐怖と痛みに耐えて命がけで産んでもいる。

だから、せめて数少ないやれることは全部、当たり前ようにやってほしい。オムツを替える、泣いたら抱っこする、そういうのは私より率先してやってほしい。

とはいえ、わかりやすく目の前で分担をしないことは「俺ばっかり」という誤解を生みやすい。私はそれを防ぐために、彼の見ていないところで実は9倍やっていることを伝える工夫をしている。それについては、いずれこの連載で書いていこうと思う。

私が旦那さんにイクメンであることを求める本当の理由

本音を言えば、私は育児を大変だとか面倒くさいなどと感じたことはなく、10割の全てをやるのも全く苦じゃない。

というか、そもそもなぜ子どもを産んだのかと言えば育てたかったからなので、面倒を見ることこそが目的なわけで、オムツ替えも授乳も寝かしつけも泣いているのに付き合うのも、赤ちゃんを育てる醍醐味なので、ただただ可愛くて楽しい。

育児アプリによると、この1ヶ月は平均して1日に10回のオムツ替えと20回の授乳をしていて、オムツを替えている最中におしっこをされるなどのアクシデントで着替えさせたりベッドメイキングをするのが日に2回くらい、それに伴い1日2〜3回の洗濯をしていたけれど、それらをする時に「面倒くさい」「またか…」と思ったことは一度もない。「オムちゃんベイビーオムレツちゃん、ウンチばしゅばしゅブリブリ坊〜」などと歌いながら楽しく過ごしている。

新生児のうちは授乳間隔がかなり短いため、母乳で育てている私は、産んで以来ずっと本格的な睡眠をとれるタイミングがなく、1時間半以内の仮眠のみで生きているけれど、とくにウンザリもゲンナリもしていないし、この1ヶ月を振り返ると「あ〜可愛いかったなぁ」と思う。

それなのになぜ、彼に対してイクメンであることを求めるかというと、理由はひとつだけで、彼が第二子を熱望しているから。

これは実際に赤ちゃんと暮らし始めてより強く思うようになったことなのだけど、さすがに、小さな子ども2人を私1人では満足に育てられない。とくに赤ちゃんと子どもでは生活リズムも違うから同時期に育てる難易度が高いし、育児では「今すぐ!!」な要求をされることが多いから、人数が増えると私の体が足りない状態になって、物理的に子どもたちの要求にちゃんと応えてあげられなくなると思う。

もし第二子を産むのであれば、彼がかなり協力的で、育児の戦力になってくれる父親である必要がある。そうじゃないとおそらく、私1人で2人以上の子どもを育てようと頑張ったら、寝られない・食べられない・座れない・立ちっぱなしの抱きっぱなしで腕ガクガクの足腰ガタガタみたいなことが日常となり、常に疲れている状態になってしまい、そうなるとギスギストゲトゲした女になり、彼に優しくできなくなるだろうし、少なくとも彼の「ごはん、おかわり!」に応えてあげる体力は残せないように思う。

極度に疲れていたり、極限に眠かったりすると、言動や表情は省エネモードみたいになる。それはラブラブ感の真逆で、そんな状態を慢性化させてしまうときっと夫婦の関係性は変わってしまう。

だから常に疲れっぱなしになってしまうような暮らし方は危険で、人生を狂わせるし、幸せは壊れてしまう。

だから私は、彼が第二子を望むのならば、育児の戦力になる夫に育てたいし、そうなる気のある男なのかを確かめておきたいし、第二子を作るというのがどういうことなのか、彼にはすごくしっかり理解しておいて欲しい。

そのためにはまず、新生児の育児がどれだけ大変なのか、1人の子どもを育てるのにかかる手間はどれだけのものなのか。それを正確に把握させることが重要だと思っている。

少なくとも、その上で欲しがってくれないと「なんとかなるっしょ、イケるでしょ!」くらいの軽はずみな気持ちで仕込まれても、絶対になんとかならないから、私はそれをすごく恐れている。

私たち夫婦と赤ちゃんの幸せのために

むやみやたらに子どもを増やした先には、子どものことで喧嘩をして夫婦仲に亀裂が入る未来しかないと思う。それって本末転倒すぎる。夫婦が仲良しでいられなくなるリスクを背負ってまで、2人の間に子どもを増やす意味って何だろうと思う。

親が喧嘩ばかりしているような険悪な家庭じゃ、生まれる子どもだって可哀想だし、誰得の出産なのそれ、という話だ。

旦那さんに対して私は、あなたのことが大好きだから、子どものことで喧嘩をして不仲になる可能性があるのなら、あなたとの未来を守るために子どもは増やしたくない、と思っている。ずっと仲良しでいるために、子作りは夫婦のキャパを考えてしようね。という気持ちで、私は今日も彼にオムツの汚れた赤ちゃんを渡している。

そして、息子に対する私の思いはただひとつ。

親に用意してあげられる幸せなんてたかが知れているとは思うけれど、あなたの人生が楽しいものになるように全力でサポートすることを日々のド真ん中に置いて、ここから先、私は生きていく。

生まれてきてくれて、ありがとう。幸せに暮らしていこうね。

この連載について

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下田美咲の口説き方

下田美咲

下田美咲さんという女性をご存じでしょうか。13歳からモデルをしながらも事務所には所属せず、自宅の車を宣伝カーに改造してゲリラパフォーマンスを行ったり、「飲み会コール動画」などのオリジナル動画を180本以上手がけてYouTubeにアップ...もっと読む

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コメント

nagihiro_oki この人は考え方が独特で面白い。 子どものためにも旦那とラブラブでいたいっていうのは激しく同意。 約2時間前 replyretweetfavorite

manaminoki 清々しい。 約3時間前 replyretweetfavorite

shimodamisaki 1位だ!やったー♡ 約8時間前 replyretweetfavorite

harucas https://t.co/mfYCKCBc3U 約9時間前 replyretweetfavorite