再び、妹のこと

今年も妹のことを記事にする時期になった。ずっと読んでいただいている方には「えっ、また」と思われるだろうけれど、1年に1度は妹についてのことを書いておきたい。いや二人の小さい頃のことを思い出したいだけなのかな。気が強いくせに泣き虫で、親に叱られるのはいつも自分ばかり。食べるものだっていつも大きい方。「あなたはお兄ちゃんなのだから我慢しなさい」って。小さい頃はそんな妹がとても鬱陶しかった。

今は二人とも60歳を越えていわゆるお爺ちゃんとお婆ちゃんだ。なのに気持ちだけは小さい頃のままの兄妹だ。小さい頃は毎日のように喧嘩をしていた。馬鹿にして罵って言い争いに負けては手を出して、そして親からはさんざんにどやされる。それでも兄妹の関係は壊れることはなかったけど、妹から見たら何とも頼りのない兄貴だったことだろう。

初めて兄らしいことをしてあげたのが大学4年の時だった。妹が結婚するというのでウェディングドレスを買ってあげたのだ。結婚したら妹は遠くに行ってしまう。何もしてあげないまま頼りない兄として別れてしまえばこの後ずっと後悔する。そんなふうに考えた。大学生の自分にしてはずいぶんと奮発したものだけど、妹の喜んでいる顔を見たらようやく一人前の兄になれたような気がした。

妹が結婚した翌年に父が亡くなった。初めての出産を2ヶ月後に控えた妹にとって父の死はかなり大きなショックだったに違いない。父親が亡くなった分、それまで以上に兄妹として強い絆が生まれたような感じがした。それからちょうど40年、兄として、時には父親のような存在として妹に関わってきた。少しでも頼りにされる兄になりたい。きっと小さい頃からそう思っていたのだと思う。

今月の21日が妹の誕生日だったから63年間兄妹の関係が続いていることになる。小さい時には想像もできないくらいの長い年月だ。凄いことだと感心する。今はあまり会うこともないのだが、その分メールやラインが頻繁に送られてくる。いつも何かにつけて心配されている。きっと奥さん以上のうるささだ。小さい頃と何も変わっていない。でも最近はそれも心地良く思えてきた。傍にいるというその感覚だけで十分な幸せを感じている。

妹がいたことで自分の人生はとても豊かに過ごせたと思う。今でも母のことを託して、好き勝手なことをやらせてもらっている。妹のおかげで自分はずいぶんと楽をしてきた。いやいつも妹に寄り添ってくれている旦那さんのおかげもある。これから残された人生で少しでも彼女たちにお返しをしてあげなきゃと思うところだ。

21日に誕生日おめでとうのメッセージを送ったら「頼りにしています」という返事が帰ってきた。ようやく頼りにされる兄貴になれたか……と思った。小さい頃には鬱陶しいだけの存在だと思っていた妹が、実は自分にとってとても大きな存在だった。妹がいたから退屈することもなく一人ぼっちになることもなかった。そしてそれは今もまだ続いている。

 

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