習氏、明確な後継候補の登用見送り-党政治局常務委の新メンバー

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  • 党政治局常務委の新メンバーは全員60代-50代の陳敏爾氏ら選ばれず
  • 後継者指名制度は踏襲されず、個人の力が動かすモデルに逆戻りも

中国共産党の習近平総書記(国家主席)は最高指導部である党政治局常務委員の新たな顔触れを披露した。自身の明確な後継候補とみられる人材は含まれず、党が四半世紀にわたって続けてきた後継者指名の人事制度は踏襲されなかった。習氏が2022年の任期終了後も権力の座にとどまることを目指す可能性が高まりつつある。

  共産党が25日発表した常務委員の中には、習氏が2期目(5年間)を終えた後に指導者としてその後の10年間を率いることができるだけの若手は入らなかった。

  国営の新華社通信によると、常務委員に今回昇格したのは栗戦書党中央弁公庁主任(67)、汪洋副首相(62)、王滬寧党中央政策研究室主任(62)、趙楽際党中央組織部長(60)、韓正上海市党委書記(63)の5人。習氏と李克強首相は留任。

習近平総書記の右から時計回りで李克強、栗戦書、汪洋、王滬寧、趙楽際、韓正の各氏
習近平総書記の右から時計回りで李克強、栗戦書、汪洋、王滬寧、趙楽際、韓正の各氏
Photographer: Bloomberg Photo

  習総書記は北京で記者団を前に、「責務に応え、大きな目標を実現し、信頼に値するよう懸命に取り組む」と述べた。

  新たな顔触れに加え、自身の地位向上につながる党規約改正で、習氏は今後数十年にわたって中国に影響力を振るう土台を築いた。

  習氏側近で重慶市党委書記の陳敏爾(57)氏は政治局員に昇格し、広東省党委書記の胡春華(54)氏は政治局員に留任となった。

  共産党が採用してきた後継者指名制度は中国の権力移譲の下支えとなってきた。党総書記が2期目の任期終了時に権力を譲る後継候補を1期目が終わるまでに特定しておく仕組みで、1989年の天安門事件後、鄧小平氏は安定確保を図ってこの制度の下で江沢民氏を指名した。習氏はまさに、その1期目を終えたばかりだ。

  習氏がいずれかの時点で後継者候補を選ぶ可能性はなお残っているが、25日の新メンバー発表からは、党の規範から外れ、中国を個人の力が動かすモデルへと逆戻りさせる習氏の意思がうかがえる。習氏はこれによって一段と権威を高めることになる。24日閉幕した党大会では、習氏の名前を冠した政治思想を行動指針に盛り込んだ党規約の改正案が承認された。指導者名入りで党規約に入っている政治思想は、それまで毛沢東思想と鄧小平理論のみだった。

原題:Xi Promotes No Clear China Heirs, Opening Door to Keep Power (1)(抜粋)

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第一生命:円金利資産の残高を圧縮、インフラ・外株・オルタナ増加

第一生命保険は2017年度下期(17年10月-18年3月)の運用計画で、円金利資産の残高は減らす一方、景気サイクルに影響されにくいインフラ分野や、外国株、オルタナティブ(代替)、不動産などを増やす方針だ。

  重本和之運用企画部長は25日の記者説明で「超低金利のため国債の買い入れはストップしている」と述べ、上半期同様に国債の残高は減少する見通しを示した。クレジット資産については、信用サイクルが終盤に差し掛かっているとして、プロジェクトファイナンスやアセットファイナスなどリスクリターン特性が株や債券とは異なる資産を上期同様に増加させる方針を示した。

  為替リスクを回避(ヘッジ)して投資する外国債券は、「金利水準次第だが、積み増す可能性は低い」という。米国の利上げに連動する形で為替のヘッジコストが徐々に上昇しており、ヘッジ外債の収益性は低下。上期は残高を減らした。ただ、いろいろな地域・通貨に分散しながら安定性を高めていきたいと、投資対象は37カ国、23通貨に拡大している。

  為替リスクをヘッジせずオープンで投資する外国債券は、為替水準次第としているが、「極端に円安が進むとは考えていないが、足元の環境下では増加方向の可能性が高い」と話す。上期は増やした。

  日米の長期金利差と為替相場が連動しているため、外債が米金利上昇により含み益を失う状況になった場合、円安になっている可能性が高いと説明。為替差益を享受できるためオープン外債の割合を高めることで安定度は増すという。

  米連邦準備制度理事会(FRB)が来年も利上げ3回の旗を降ろさない限り、日米の長期金利差は拡大し、円安の可能性が高いとみている。利上げがストップし円安サイクルが終了した後は、「ヘッジをかけるなり、金利が低くても円債を買う状況に追い込まれるかもしれない」とみている。

  国内株式は成長株投資を継続していくが株価水準次第。株価については「だいぶ良いところまで来ている」との認識を示す。上期の残高は減少した。外国株、プライベートエクイティやヘッジファンドなどのオルタナティブ、不動産については、下期も上期同様に増加させる方針。

2017年度下期の運用計画


国内債券外国債券ヘッジ外債オープン外債国内株式外国株式
日本生命横ばい増加減少増加横ばい増加
第一生命減少金利水準次第為替水準次第株価水準次第増加
住友生命横ばい増加増加やや増加横ばい横ばい
三井生命▲数百億円台前半ぞう横ばい+千億円台後半横ばいN.A.
大同生命横ばい増加増加増加

2017年度予想


国内金利(%)米国金利(%)日経平均(円)ダウ(ドル)ドル円(円)ユーロ円(円)
日本生命▲0.20-0.20(0.00)2.00-3.00(
2.50)
18000-22000(20000)20000-24000(22000)100-120(110)110-140(125)
第一生命▲0.10-0.30(0.10)2.00-3.00(2.50)17000-23000(21000)19500-25000(23000)100-125(115)115-145(135)
住友生命▲0.10-0.20(0.10)1.80-2.80(2.50)18500-24000(21500)20000-24000(23000)100-120(115)115-140(136)
三井生命▲0.10-0.20(0.10)1.80-2.60(2.30)19700ー22000(21000)20000-24000(22200)108-118(113)127-142(135)
大同生命▲0.05-0.15(0.10)2.0-2.6(2.5)18000-23000(21000)20500-24750(23000)107-117(115)126-138(132)

※日本生命、三井生命は18年3月末のレンジ(18年3月末の中心)
※第一生命、住友生命、大同生命は下期のレンジ(18年3月末の予想)

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