小野寺氏の発言
例えば、「1869年に」──明治2年ですが、「1869年に日本政府は、この島を「北海道」と呼ぶように決め、アイヌの人たちにことわりなく、一方的に日本の一部にしました。」という表記があります。この記述では、明治2年当時、アイヌが北海道を支配していたと認めるような文章になっていて、これは誤解を招く表記ではないかというふうに思いますが、この点について、私は、歴史的事実と認識が食い違うというふうに考えておりますが、部の見解をお聞かせ願います。
北海道庁編『新北海道史』
アイヌは従来請負制度の下にあって、多くの束縛を受けていた。身分においては、最初は蝦夷と呼んで日本人と区別し、化外の民として、雑居を許さず、乙名・小使等の役目を設けて自治を許し、帰化することを許さなかったが、幕府の直轄以来帰俗を許し、帰化した者は村方もしくは帰俗土人として百姓同様の待遇を与えるようになったあとも、民籍は依然日本人である出稼人・永住人とは区別され、諸届類のごときも、役土人といえでおも従属的な地位におかれていた。(第三巻 通説二 p.882)
A18:
幕府の直轄以降もアイヌ民族は「化外の民」すなわち直接の支配を受けなかった(場所請負人がアイヌを使役することは容認されていたが)。北海道は対外的には日本政府が領有することが認められたといえども,実質的にその支配を及ぼすことができるのは明治以降のことになる。
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