Q17: 北海道はもともと日本の固有の領土だった?

小野寺氏の発言

つまり、アイヌの先住民決議というものが国会でなされましたが、その雰囲気ですとか、多くの方々が思っているのは、明治になって、北海道――蝦夷という、アイヌが統治していた場所を和人が一方的に奪い取った、それで多くの権利をとったのだというような話になっているやに私は感じておりますが、実際には、北海道はもともと日本の固有の領土だった、そこに住んでいたアイヌの人たちはもともと日本人なのだというのが前提に、国の認識としてあるということをここで確認しました。(2014/11/11)

慶長9年徳川家康黒印状(松前慶広宛)

  定

一 自諸国松前へ出入之者共 志摩守

不相断而 夷仁与直ニ商売仕候儀

可為曲事事

一 志摩守ニ無断而令渡海 売買仕候者

急度可致言上事

付 夷之儀者 何方へ往行候共 可致夷次第事

一 対夷仁非分申懸者堅停止事

右条々若於違背之輩者 可処

厳科者也 依如件

慶長九年正月廿七日 黒印

松前志摩とのへ

参議院議員竹村泰子君提出アイヌ民族と北海道の法的地位に対する政府の歴史的認識に関する質問に対する答弁書 (1992年)

一及び二について

いわゆる北海道本島は、我が国の固有の領土であって、これが具体的にいつ我が国の領土となったかは明らかではないが、江戸時代末から明治時代初めにかけて、我が国とロシアとの間で国境の確定が行われた際、いわゆる北海道本島については全く問題とならず、これが我が国の領土であることは当然の前提であった。

三について

いわゆる北海道本島は我が国の固有の領土であり、アイヌの人々は本来日本国民である。

四について

いわゆる北海道本島において、アイヌの人々が古くから住んでいたということは、文献等からみて通説になっていると承知している。

第131回国会 参議院内閣委員会 (1994年)

○萱野茂君 次の質問に移ります。
蝦夷地を日本の領土とした時期についてであります。
さて、和人が移住し、国家的な侵略と支配が及ぶまでのアイヌモシリは、アイヌによる静かで平和な時代が続いていました。教科書では、アイヌとアイヌ文化、そしてアイヌモシリの崩壊について次のように述べています。それは非常に簡単な記述でありますが、「松前藩は、幕府から蝦夷地の支配が認められると、アイヌをきびしくとりしまり、交易を独占した。そのため、アイヌの生活領域は、しだいにせばめられていったことあります。また、「十七世紀の中ごろ、シャクシャインを中心にアイヌが蜂起すると、松前藩は、シャクシャインを殺害して鎮圧した。」とあります。
要するに、日本政府はアイヌが独自の社会をつくっていたアイヌモシリ、北海道に無断で踏み込み、やがてアノヌモシリを勝手に自国の領土に編入するのでありますが、このようなことは他国に対する侵略行為であり、武力による行為は武力侵略なのでありますが、そのような歴史認識でよいのでしょうか。政府の御見解をお尋ねしておきます。
また、日本が蝦夷地を正式に自国の領土とした日はいつなのか。例えば、寛政十二年の東蝦夷の直轄なのか、安政元年の蝦夷地直轄なのか、それとも明治の時代に至って蝦夷地を北海道と改めたとき、もしくは明治十年の地券発行のときとするのか。そして、このように蝦夷地を日本の領土とするに当たって、そこに先住していたアイヌとは具体的にいかなる協議をし、いかなる約束、いかなる条約を交わしたのか、それとも日本政府は全く先住民族であるアイヌを無視したのか。
これはわずか百年ほど前の話であり、昔話ではありません。日本の近代史にとってとても重要なことでありますからお尋ねをしておきます。歴史的、法的事実についてお教えをいただきたいのであります。
○説明員(鶴岡公二君) ただいまの委員の御質問はいわゆる北海道本島がいつの時点から我が国固有の領土という地位を獲得したかということかと存じます。
これが具体的にいつ我が国の領土となったかということについては明らかではございませんけれども、江戸時代の末期から明治時代初めにかけまして、我が国と当時の帝政ロシアとの間で国境の画定が行われた際には、いわゆる北海道本島につきまして両国間で全く問題となっておりません。その当時も北海道本島が我が国の領土であるということを当然の前提として日ロ間での交渉が行われた経緯がございます。

A17:

歴史的な事実で見ると,徳川幕府は松前藩にアイヌ民族の支配権を許していない。北海道全体に日本の主権が及ぶのは,寛政12年(1800)の幕府による東蝦夷地直轄を起点とし,開拓使の設置(1869),そして,地券条例(1877)によってアイヌの土地を官有地に編入するというプロセスを経ている。一方,政府はこの答弁にあるように「固有の領土」という表現を用いてロシアとの間に領有権が争われなかったことをその根拠としている。

 

広告