小野寺氏の発言
まず、その答弁によると、アイヌの祖先は縄文人ではないというのが一般的な最近の学説だと押さえておきますし、蝦夷(えみし)についても、かなり漠然とした概念だというお答えをいただきましたが、その中で、アイヌ民族の先住性についてお答えがいただけなかったので、もう一度お伺いします。(2014/11/11 北海道議会)
『アイヌ民族って本当にいるの?』
また篠田氏の『縄文人はどこからきたか?』(北の縄文文化を発信する会・編2012)の講義録を紹介します。
「北海道の縄文人を調べるとずいぶん違っています。縄文人にはN9bが非常にたくさんありますが、アイヌの人々に特徴だったYが出てきません」と記しています。つまりアイヌは縄文人の祖先ではないということです。(的場、p. 62)
『縄文人はどこからきたか?』
ところが北海道の縄文人を調べるとずいぶん違っています。縄文人にはN9bが非常にたくさんありますが、アイヌの人々に特徴だったYが出てきません。50例を調べてゼロなので、あったとしても非常に少ないだろうと予想されます。
実はここ2~3年前に研究が進んだことで、その理由がわかってきました。オホーツク文化人が圧倒的な比率でYを持っていたのです。またオホーツク人にはGというタイプが非常に多い。ですからアイヌの人々の特徴とされているYやGのタイプは、かなりの部分がオホーツク文化の人々が持っていたDNAでないかと推察しています。もしくは、私たちが考えている縄文は今から3千年以上前ですから、3千年前からオホーツク文化が始まるまでの間の1千500年間ぐらいの間にも少しずつ入っていたのかもしれませんが、北からの遺伝子が相当入ってきているだろうと考えられるのです。そうした遺伝子交流のなかから近世のアイヌが成立して、現代のアイヌの人々につながっていることが見えてきます。(篠田、pp. 42-43)