小野寺まさる北海道議(当時)による先住性否定

北海道議会 平成26年決算特別委員会第1分科会 (2014/11/11)

◆(小野寺秀委員) それでは、通告に従いまして、順次、アイヌ政策について質問をしてまいります。
私は、今まで、アイヌ政策について、いろいろ問題点を議会で指摘してきましたが、ここで一回リセットして、本当のアイヌの歴史はどうなのかということを若干質問したいと思っております。
まず、アイヌ民族の先住性についてお伺いをしますが、アイヌ民族と縄文人、蝦夷(えみし)との関係について、道はどのように考えているのか、お教えください。
○(花崎勝委員長) アイヌ政策推進室参事井之口淳治君。
◎(井之口アイヌ政策推進室参事) アイヌの人たちと縄文人等との関係についてでありますが、国の有識者懇談会の報告書によりますと、北海道に人類が住み始めたのは、今から2万数千年前と言われておりますが、どのような特徴を持った人々が住んでいたのかは明らかになっていないところです。
縄文文化は、一般的には、1万5000年前から3000年前に日本列島に展開したとされており、一方、アイヌ文化は、13世紀から14世紀ごろに、日本列島北部周辺、とりわけ北海道を中心に成立した文化と言われ、当時の人は、本州と北海道の間を交易のために盛んに往来していたと言われています。
また、蝦夷(えみし)については、古くは、アイヌの人たちを指すと考えられていたこともありましたが、現代の歴史学では、特定の民族を指す言葉ではなく、中央政府に敵対、反抗する者の意味で用いられたとするのが一般的であり、この中にアイヌの人たちが含まれていたかどうかは議論のあるところです。
なお、人類学的な研究によって、アイヌの持つ形質や遺伝的な特徴の中には、縄文時代までさかのぼるものがあることが明らかにされているところではありますが、最近の科学的知見によりますと、アイヌの人たちは、縄文の人たちの単純な子孫ではないとする学説が有力であり、大陸から北海道に移住してきた北方民族に特徴的な遺伝子なども多く受け継いでいることが判明しているところでございます。
以上です。
◆(小野寺秀委員) まず、その答弁によると、アイヌの祖先は縄文人ではないというのが一般的な最近の学説だと押さえておきますし、蝦夷(えみし)についても、かなり漠然とした概念だというお答えをいただきましたが、その中で、アイヌ民族の先住性についてお答えがいただけなかったので、もう一度お伺いします。
◎(井之口アイヌ政策推進室参事) アイヌ民族の先住性についてでありますが、アイヌの人たちの祖先がいつごろから北海道に住むようになったかは、いまだ断定されていないと認識しておりますが、後のアイヌ文化の原型が形成されたのは、鎌倉・室町時代の13世紀から14世紀ころと考えられているところです。
一方、この時期は、北海道の南部に本州から進出した、いわゆる和人の社会が形成された時期でもあったところです。
しかしながら、和人側から見てみると、7世紀ごろから、北海道に居住する人たちとの間に接触、交流があったことがうかがわれるものの、文献資料が限られていることもありまして、アイヌ文化の形成期における人々の様子は明らかになっていないことが多いところでありますが、アイヌの人々は、当時の和人との関係において、日本列島北部周辺、とりわけ、我が国固有の領土である北海道に先住していたことは否定できないとされているところです。
なお、アイヌ民族の歴史については、いまだ不明な部分もあることから、道としては、来年の春、新たに開設する北海道博物館や他の研究機関との連携により、その解明に努めていく考えです。
◆(小野寺秀委員) その答弁では、14世紀ころにアイヌ文化が形成された、そのころに和人も北海道に進出をしたかのような答弁ですけれども、1万年以上前から、和人と言われる、アイヌじゃない方たちが北海道と本州を行き来していたというのは事実であると思いますが、なぜ、そのような答弁になったのか、私は理解をしかねております。
それで、もう一度お伺いしますけれども、そもそも、北海道が日本の領土になったのはいつとお考えになっているのか、お聞かせください。
◎(井之口アイヌ政策推進室参事) 北海道の日本への帰属などについてでありますが、平成4年1月の参議院議員からの質問主意書に対する政府答弁書によりますと、「いわゆる北海道本島は、我が国の固有の領土であって、これが具体的にいつ我が国の領土となったかは明らかではないが、江戸時代末から明治時代初めにかけて、我が国とロシアとの間で国境の確定が行われた際、いわゆる北海道本島については全く問題とならず、これが我が国の領土であることは当然の前提であった。」「いわゆる北海道本島は我が国の固有の領土であり、アイヌの人々は本来日本国民である。」「いわゆる北海道本島において、アイヌの人々が古くから住んでいたということは、文献等からみて通説になっていると承知している。」と記されており、そうした歴史的経緯を踏まえ、今日に至っているものと理解をしております。
以上です。
◆(小野寺秀委員) つまり、アイヌの先住民決議というものが国会でなされましたが、その雰囲気ですとか、多くの方々が思っているのは、明治になって、北海道――蝦夷という、アイヌが統治していた場所を和人が一方的に奪い取った、それで多くの権利をとったのだというような話になっているやに私は感じておりますが、実際には、北海道はもともと日本の固有の領土だった、そこに住んでいたアイヌの人たちはもともと日本人なのだというのが前提に、国の認識としてあるということをここで確認しました。
そこで、もう一つお聞きをしたいのですけれども、アイヌの先住民決議の中では、日本が近代化をするに当たって、アイヌの方たちの権利が奪われたというような話になっておりますが、そもそも、明治の初頭の人口構成はどうなっていたのか、お聞かせください。
◎(井之口アイヌ政策推進室参事) アイヌの人数と北海道の人口についてでありますが、江戸時代以前のアイヌの人数と北海道の人口は定かではありませんが、明治5年当時のアイヌの人数につきましては、北海道が編さんした北海道旧土人保護沿革史によりますと、1万5000人強の人たちが北海道に住んでおり、一方、同時期の北海道全体の人口は、北海道統計書によりますと、11万1000人強の人が住んでいたところでございます。
◆(小野寺秀委員) 便宜上、和人というふうに言いますが、つまり、その時期で既に、アイヌの方たちよりも圧倒的に和人の人数が多かったというのはどういうことなのだろうかなと。多分、それ以前も多かったのだろうと私は推測するわけであります。
それ以前の話についても、和人対アイヌみたいな話になっておりますが、そもそも、蝦夷(えみし)というものが漠然とした概念だとしたら、それ以前の話は漠然とした話ということで話をしなければならないのですが、コシャマインの戦いというものがあります。
このコシャマインの戦いは、なぜか、アイヌの少年がだまされて、ばかにされて、親子ともども和人に殺されたような話になっておりますが、道立アイヌ総合センターでつくられている本にも同じような記述があります。
ただ、私は、この記述には間違いがあると。本当に少年がこの問題の発端だったのかということで、いろいろ問題が起こっている記述もここに書かれておりますが、それについてはどうお考えか、お教えください。
◎(井之口アイヌ政策推進室参事) 道が作成している小冊子の記載方法についてでありますが、道では、アイヌの人たちの歴史や文化などの理解の促進を図るため、平成2年に、関係団体や有識者の意見も伺いながら、啓発冊子「アイヌ民族を理解するために」を作成し、広く普及啓発に活用してきたところです。
アイヌの人たちの民族としての誇りが尊重される社会の実現を図るためには、多くの国民が、正しい知識のもとで、アイヌの人たちの歴史や文化への理解を深めていただくことが重要であると考えております。
なお、この冊子のコシャマインの戦いの部分において、殺されたのは少年と記載しておりますが、御指摘のとおり、青年であるとの解釈もあるところであり、こうした歴史等については、さまざまな解釈もあり得ることから、道の啓発冊子の作成に当たりましては、公平中立な内容となるよう、適切に対応してまいります。
◆(小野寺秀委員) きょうのポイントの一つなのですけれども、この本を全面改訂するか、全面的に書きかえるかという話です。
今の答弁では、コシャマインの戦いについては、少年と記載されているが、青年との解釈もあるというふうに答えられましたが、実際には、もともと青年だったのが、知らない間に少年という説が出てきて、結局は少年になったということでございます。
なぜ、こんなことが起こったのかということで、ちょっと聞きたいのですけれども、アイヌ総合センターを委託で実際に運営しているところはどこなのか、お教えください。
○(花崎勝委員長) アイヌ政策推進室長大川徳幸君。
◎(大川アイヌ政策推進室長) お答えいたします。
公益社団法人の北海道アイヌ協会でございます。
◆(小野寺秀委員) アイヌ協会が指定管理者として運営していると思うのですけれども、その再委託の要件の中に、正しい歴史認識を持った運営をしていくような採点基準がありますが、実際にはそれは間違えている。間違えているような本を出してしまう仕組みというのも非常に問題だと思いますし、今の答弁でも、間違えた答弁があるというのも私は大問題であると思いますので、これはしっかりと認識していただきたいということで、この本の全面改訂をしていただけるのかどうなのか、お教えください。
◎(大川アイヌ政策推進室長) 道が作成しております啓発冊子についてでございますが、啓発冊子「アイヌ民族を理解するために」は、今年度中に改訂を予定しているところでございます。
歴史等につきましては、先ほどもお答えいたしましたとおり、さまざまな解釈もあり得ますことから、この改訂に当たりましては、公平中立な内容となりますよう、適切に対応してまいります。
以上でございます。
◆(小野寺秀委員) ただ、公平中立というのは、二つの説があるから二つを書くことが公平中立ではなくて、片方のほうが論理的で整合性のある説だとしたら、そちらだけを書くのも公平中立だということを御理解いただきたいと思います。
少年という、問題のある表記もあったということでございまして、そういう小冊子を北海道が税金を使って印刷をしていたというのは、間違えた知識を道民に植えつけたということですから、十分に反省をしていただきたいと思っております。
もう一つですけれども、シャクシャインの戦いについて、ここではお伺いをしたいというふうに思います。
シャクシャインの戦いについても、なぜか、非常に弾圧をされて、いじめられたシャクシャインとアイヌの人たちが一致団結して、和人と戦って、最終的には和睦の席で毒殺をされてしまったというような、さもシャクシャインが英雄視をされたような話になっておりますが、そもそも、この戦いはどういうふうにして起こって、本当に和人とアイヌの戦いだったのか、お教えください。
◎(井之口アイヌ政策推進室参事) シャクシャインの戦いについてでありますが、シャクシャインの戦いの発端は、イオル――猟場や漁労圏のことですが、このイオルをめぐる、静内地方に住むアイヌと門別地方に住むアイヌの対立がもとであったと言われているところです。
両者の間には、さまざまないざこざが発生し、門別地方に住むアイヌが松前藩に救済を求めたが、その使者が帰り道で天然痘のため急死し、それが松前藩による毒殺だったとアイヌの人たちに広まったことから、それまでの松前藩による、干したサケと米との交換比率の変更や、自由な交易活動が制限されたことなどに対して、アイヌの人たちの不満が爆発し、シャクシャインの指導のもとに、団結した戦いへと発展していったとされているところです。
◆(小野寺秀委員) 一番最初に確認をしましたが、蝦夷(えみし)については、アイヌでもなければ和人でもないような漠然とした概念だということで、当時の蝦夷(えみし)という社会の中において、この争い、紛争はあったと考えておりまして、実際に和人対アイヌではなかった、蝦夷(えみし)の中の戦いであったと私は考えておりますが、どうお考えか、お教えください。
答えづらいでしょうから、ここでやめておきますけれども、和人とアイヌの戦いで英雄視されたシャクシャインというような物語になっていることを私は非常に危惧しているところでございます。
北海道新聞とやらにも、シャクシャインの法要祭のときには同じような記述が毎回毎回出ておりまして、本当に史実に基づいた記事だといいのですが、これは本当にどうなのかなというものも報道で多々見受けられるということも、北海道は十分に注視をして、本当の歴史をしっかりと認識させるべく努力していく必要があると思いますので、これは強く指摘をしておきます。
それで、時間がなくなったので、これ以上多くの質問はできないのですけれども、北海道として、正しいアイヌの歴史について、どのようにしてしっかりと広めていこうと考えているのか、お教えください。
◎(大川アイヌ政策推進室長) 正しい歴史認識の確保についてでございますが、道では、これまで、道立アイヌ民族文化研究センターや北海道開拓記念館におきまして、アイヌの人たちの歴史、言語、芸能、生活技術などに関する調査研究を行ってきたところでございます。
来春には、両機関を統合いたしまして、新たな北海道博物館としてオープンするところでございますが、それを契機に、アイヌの人たちの歴史や文化につきまして、アイヌ関係者やアイヌ文化研究者から御意見も伺いながら、調査研究を一層充実することとしているところでございまして、今後は、北海道博物館の研究成果等を活用しながら、道教委とも連携して、幅広く専門家の意見を伺うなど、必要な対応を検討し、道の啓発冊子を初め、市町村の副読本を活用するなど、アイヌの人たちの歴史や文化の情報発信に取り組んでまいる考えでございます。
以上でございます。
◆(小野寺秀委員) 道立アイヌ民族文化研究センターと北海道開拓記念館において、今まで調査研究を行ってきたということですけれども、この小冊子一つをとっても、意見交換で言いましたが、かなり問題のある記述がたくさんあります。
これは間違えているだろうというようなものを勝手につくっているのは、そもそも、今までの研究が何だったのだと私は思いますし、間違えた情報がどんどんどんどん流れている中で、それをただ傍観していた道のアイヌ政策も間違いだったと私は思いますが、これを契機に、研究をさらに進めていくような話になっておりますので、しっかりと研究はしていただきたい。そして、間違いは間違いだとしっかりと道として話をしていただきたいというふうに思います。
あと、和人がアイヌから一方的に財産をとった、権利をとったというふうになっておりますが、本当にどうなのか。共有財産の裁判が北海道とアイヌの方々でありましたが、その裁判の経緯と結果についてお教えください。
◎(井之口アイヌ政策推進室参事) 裁判の概要についてでありますが、この裁判は、旧土人保護法に基づき道が管理してきた共有財産――それは現金でありますが、これにつきまして、平成9年のアイヌ文化振興法の制定により、旧土人保護法が廃止になったため、共有者のアイヌの人たちに返還手続を行ったところ、共有者の大部分が受領を拒否し、その中の一部の共有者が返還手続の無効確認を求め、提訴されたものでありますが、この裁判につきましては、平成18年の最高裁で結審し、道の勝訴が確定しているところでございます。
◆(小野寺秀委員) つまり、この裁判においても北海道は勝っているということです。なので、我々は北海道に住んでいますが、我々の祖先――私は、アイヌ民族ではないというふうに自覚をしておりますが、その私たちの祖先が、そういうような無謀な、むちゃなことをアイヌの人たちにやってきてはいないのだなというふうに確認をしたいと思いますし、そういう自虐的な歴史を北海道で植えつけるのはいかがなものかと考えておりますので、そこら辺もしっかり認識をしていただきたいと思います。
最後の質問ですけれども、アイヌ政策の適正化についてでございますが、私は、今回、アイヌ政策の問題についてはあえて追及をしませんが、これまで、私は、幾多のアイヌの問題の追及をしてきました。
積み重ねると、新聞紙で2センチ以上の厚さになったぐらい、問題が発生しておりますが、今でもまだ問題はあると考えておりますが、道として、どのようにチェックをして、今後、どのようにその政策を適正化するのか、お教えください。
○(花崎勝委員長) 環境生活部長川城邦彦君。
◎(川城環境生活部長) 今後の対応についてでございますけれども、過去に、アイヌ文化財団や北海道アイヌ協会で行った事業に関しまして、これら団体において、透明性の確保やチェック体制が不十分であり、また、団体に対する道の指導も十分でなかったことから、不適切な事案が発生したところでございます。
このため、再発防止に向けまして、アイヌ文化財団では、助成団体への指導の徹底を図りますとともに、現地調査などを行い、また、アイヌ協会では、役員による各地域の協会への指導の徹底と、再発防止の仕組みづくりに取り組むなど、組織を挙げて再発防止策を講じてきたところでございます。
道といたしましては、補助金等の執行に当たり、不適切な事案が発生することがないよう、今後とも、これらの団体に対し、必要な指導に努めてまいります。
なお、特に悪質な事案につきましては、厳正に対応してまいる考えでございます。
以上でございます。
◆(小野寺秀委員) 最後に、指摘をさせていただきますけれども、国と道で運営をしているアイヌ文化振興財団については、アイヌ文化の研究ということで事業が行われております。
これが一つの成果品の本でございますけれども、アイヌ文化の研究ということで、230ページにわたる本ですけれども、そのうち、162ページがほかの本に寄稿した文である。そして、実際に書いているのは68ページで、さらに、その68ページのうちの40ページが自己紹介に費やされている。この方は、アイヌと全く関係なく、アイヌじゃないのですけれども、そういうような本が、アイヌ文化の振興だとか伝承ということで使われているのは大問題だと思いますし、こういう本を税金でどんどんどんどんつくっているのはいかがなものかと思います。
先ほども指摘をしましたが、アイヌは先住民族かどうかというのは非常に疑念がある、その中で多くの政策をやっているのは問題があると私は思いますが、特に、国連の先住民族の権利の宣言に日本は賛成票を投じてしまいましたが、先住民族に該当すると、かなりの権利をアイヌ民族の方たちに与えるというような話になりかねないということで、本当に先住民族かどうなのかは非常に重要な議論でございまして、これがグレーのまま、政策が進んでいるというのは、私は非常に危機感を持っておるところでございます。
また、最近の話でございますが、北海道アイヌ協会とアイヌ協会釧路支部との間において裁判があった。アイヌ協会の本部は、釧路支部の人と、もう一人、元支部長の2人を訴えたわけでございます。元支部長にお金を返せということで裁判を起こしたのですが、元支部長はお金を返せない、破産をしたという形で、実際には、釧路支部が、ある事業の不正のお金を返すような話になってしまっております。
しかし、北海道アイヌ協会が行った事業に不正があって、そこで多くの返還命令が道から出て、本当に釧路支部の会員がそれを払わなければいけないのかということには、私は非常に疑義を持っておりますし、何で、そういうような話が道の知らないところで進んでいるのかというのも非常に問題だと思いますので、そこら辺も、これからもしっかり追及をしていきますが、議論していきながら、アイヌ政策を注視していただきたいと思います。
以上でございます。
○(花崎勝委員長) 小野寺委員の質疑は終了いたしました。

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