僕は他人様の税金を計算する仕事をしているんですが、年末が近づいてくると、毎年かなりの頻度で「確定申告ってどうしたらいいの?」と聞かれる機会があります。特に最近は多いです。
そういった方々への質問の答えが、記事タイトルです。
なぜかというと、クラウド会計を導入する事で、税金に関する経理作業の大部分を自動化できるからです。
そもそもクラウド会計って?
クラウド会計とは、インターネットを経由することで、いつでもどこでも会計処理を行うことができる会計システムです。
ネット上にデータを保管するので、PCにソフトをインストールしたりする必要がありませんし、データがトぶ危険性が従来の会計ソフトより少なくなります。
つまり、突然PCが壊れても大丈夫という絶対的な強みがあります。
副業の申告に税理士は必要か。
副業をしている方の中でも、年間所得が20万円を超えた段階*1までくると、「税理士探さなきゃ…」と思う方が少なくないと思います。
ただ、僕は申告が必要になったからといって、すぐに税理士に依頼する必要はないんじゃないかなと思っています。
今はクラウド会計で楽に申告書なんて作れる時代なので、わざわざ税理士に高いお金を払って委託せず、会計帳簿や確定申告書は自分で作ってしまった方がいいと思います。
自分で帳簿を作る事で、「副業が上手くいってるかどうかの判断がしやすい」という大きなメリットもありますしね。
あとはなにより、税理士に「いやーこれは経費として認められないなー^^;;」とかいちいち言われるのってダルいじゃないですか。
クラウド会計は実用的か
クラウド会計って、少し前は正直あまり融通が利かないシステムで、簿記の知識がない方には使いやすいシステムだったんですが、僕個人としては一般的な会計ソフトの方がやっぱり使えるな!と思ってました。でも、今のクラウド会計システムって本当にすごいです。
当然一般的な会計ソフトにできることは全部できるし、ユーザビリティの面でも物凄く進化してます。
実際、クラウド会計の長所に気づいてからは、僕も自分のお客さんに少しずつfreeeを浸透させていっています。(僕の仕事も楽になるので。)
メリット
仕訳の自動作成機能
「ネットバンキングやクレジットカードの取引明細が、自動で仕訳になってデータ化される」これはもう無敵のメリットです。
極端に言うと、「買い物は全てカード、売上は全て預金通帳に入金する」というビジネスモデルの場合、自分で一切帳簿をつけなくてよくなります。
極端に言いましたよ?
普通は現金での買い物もあるでしょうし、会計システムが判断した仕訳の内、いくつかは自分で訂正する必要もあると思います。
ただ、クラウド会計が出るまでは、自分で弥生会計とかの会計ソフトを買って手打ちしていたものが、全自動になるんです。もうこれは使わない理由を探す方が難しいレベルです。
コストパフォーマンス
とにかく安いです。これまでの、自分のPCにインストールして使用する会計ソフトは、その商品自体が高いですよね。
安くても1万円、高ければ十数万円とかします。しかもこれ、税制の改正があるたびに更新プログラムか、もしくは年度別のバージョンとかを買い続けていかないといけないんですよ。税制改正は基本的に毎年ありますから。
でも、freeeとかMFクラウドみたいなクラウド会計なら、初期費用は0円です。
月額料金はかかりますが、一番安い年契約のプランなら月々900円くらいで使えますし、もちろんインターネット会計なので、税制改正の対応などもソフト上で自動でしてくれます。
毎年2万とか3万とか払ってソフトをインストールし直す手間を考えれば、月に900円払って全部自動でやってくれた方が、経済的にも時間的にもメリットがあります。
たまに古いバージョンのソフトで、「数字の集計だけをし続ける」って方がいますが、会計事務所の視点であまりおすすめしません。税金の計算を間違って、後から泣くことになる可能性が高いからです。本当に、皆さんが思うより税制って細かく毎年変わってます。もちろん改正の全てが影響ある訳ではありませんけどね。
というか数字の集計だけでいいなら古い会計ソフトなんて使わず、普通にエクセルで十分だと思います。会計ソフトを使ってちゃんとした申告書を作るなら、今はクラウド会計がコスパ最強です。
バックオフィスの強化
会計ソフト以外の機能として、どのプランでも請求書の発行ができます。個人事業主の方は、エクセルで請求書管理をされている方が多いという印象ですが、これも会計ソフト上で行えます。自分のPCでエクセルファイルを保管するより安全にデータの管理が行えますよ。少し上のプランなら、資金繰りの管理や、売掛金や買掛金の管理までできる様になります。
デメリット
ネット環境が必須
インターネット会計なので当然と言えば当然なんですが、ネット環境のないところでは使用できないところ。まあ普通は経理作業なんて自宅ですると思うので、あまりデメリットでもないかと思います。ちなみにfreeeはスマホアプリでも仕訳が作成できます。(※後述)
クラウド会計に対応できる税理士が少ない
副業くらいの規模では問題はありませんが、将来あなたの事業が拡大していった時、必ず税理士の力が必要になる時がきます。(一応、業界の宣伝です笑)
ただ税理士業界というのは本当に頭の固い業界でして、(時間があれば「税理士 平均年齢」などでぐぐってみてください)国税OBの税理士さんがやっている個人事務所などでは、まだまだクラウド会計に対応してないところも少なくありません。
極端な例では、せっかくあなたがfreeeで決算書データを作ったのに、そのデータを会計事務所が弥生会計に打ち直して申告書を作る、というギャグみたいな作業をしているところもあります。
もちろんその場合、打ち直す分の作業料も料金に含まれるケースがほとんどです。
"freee"を推す理由
クラウド会計には「freee」の他にも「MFクラウド」や「弥生会計オンライン」などもありますが、記事タイトルに入れている通り、実際に僕が質問を受けたときにはfreeeをおすすめしています。
・簿記の知識がなくても使える
・スマホアプリが使いやすい
・シェアNO.1
簿記の知識がなくても使える
freeeは、簿記に触れたことが無い方が理解しづらい「勘定科目」を選択式で選べるので、「借方」「貸方」がわからないという方でも、直感的に入力を進めることができます。もちろん普通の会計ソフトと同様にキーボード入力も可です。
スマホアプリが使いやすい
スマホアプリで仕訳までできるのは大きな強み。いつでも入力が可能なので、例えば後からレシートだけが手元にあって「この『品代』ってなんだったっけ・・・」という事態が避けられます。また、インターフェースも使いやすい感じです(僕は)。これは人の好みかもしれませんが。
シェアNO.1
シェアNo,1。結局はこれが一番のメリットです。シェアが広いということは、対応している税理士事務所も多いということです。僕はクラウド会計のデメリットは、とにかく将来使う税理士の選択肢が制限されることだと思っているので、このデメリットを避けられる可能性が高い会計ソフトが優先されると思います。
まとめ!
概ね解説は以上です。現在副業をしている方、これから副業を始められる方は、まずはクラウド会計の導入を検討してから税理士事務所を探しても、遅くないと思います。税理士事務所勤務の僕が言うのもなんですが。
無料アカウントを登録すれば、実際の管理画面や対応可能な金融機関が見れますし、別に登録したからといって、即電話営業が来たりはしないので、一度試してみてから考えてみたらいいと思います。登録自体に何もデメリットないので。
(ただ、freeeもしくはMFクラウド以外のものは正直まだかなりシステムとしての精度が低い段階なので、やめておいた方がいいです。)
後、公式サイトには実際に利用された方の口コミが載っているので、そちらも参照してみれば、自分に似た状況の方の体験談などが見つかるかもしれませんね!
また長文になってしまった。
それでは、良い納税ライフを!!
*1:所得の種類によって20万円以下でも申告が必要な場合があります。