ナオミントさんの「ファンタスティック映画主婦」の記事、
に倣って、ここ二、三年に観た映画の中から、エンド・クレジットが素晴らしいと思った作品をピックアップしてみました。
「22 ジャンプストリート」エンド・クレジットより
目次
- カールじいさんの空飛ぶ家(2009年)
- アメリカン・スナイパー(2014年)
- グランド・ブダペスト・ホテル(2014年)
- 22ジャンプストリート(2014年)
- インサイド・ヘッド(2015年)
- ファインディング・ドリー(2016年)
- 関連記事
カールじいさんの空飛ぶ家(2009年)
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この映画の冒頭の10分間に、亡き妻、エリーとの出会いから別れまでのカールじいさんの生涯が、ほとんどセリフなし描かれます。本筋となる冒険談の背景を描く、いわばプロローグですが、短編映画として成立するくらい感動的で素晴らしい出来です。実は、本作のエンド・クレジットは、このプロローグと対となるエピローグとなっており、プロローグで感動して、エピローグでまたジワッとくるしかけになっています。本編は冒険談中心で子供向けの色合いが強いのですが、プロローグとエピローグは、大人がしっかりと楽しめる内容になっています。
アメリカン・スナイパー(2014年)
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アメリカの伝説的スナイパー、クリス・カイルを描いたクリント・イーストウッド監督の名作です。実際のアーカイブ映像に切り替わり、エンニオ・モリコーネの「The Funeral」*5が流れるエンディングのシークエンスは、涙なしに観ることができません。やがてキャストのクレジットがオーバーラップしますが、これがスタッフ・ロールに切り替わるところで音楽が止まります。シーンと静まり返る中、スタッフ・ロールだけが無音で流れていくのですが、ここでまた、わっと涙がこみ上げます。エンド・ロールに音楽がつきものですが、あえてこれを無視し、静寂に物言わせた、類を見ない劇的な演出です。音楽をつけないことによって、エンディングの価値を大きく高めた稀なケースです。
グランド・ブダペスト・ホテル(2014年)
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ウェス・アンダーソン監督がツヴァイクの著作に触発されて作った名作です。ツヴァイクへの思いを反映した作品ですが、ストイックなまでに抑制し、観客がツヴァイクを知らなくても楽しめる作品に仕上げています。エンド・クレジットの終盤、ロシア民謡風の曲*8が流れる中、画面の隅にちょっとしたアニメが入ります。とても可愛くて、それだけでも楽しめますが、この作品の背景に主人公同様、王貴族的世界観を愛したツヴァイクと、王侯貴族の凋落、ナチスや共産主義の台頭などがあることを知った上で、この曲を聴き、このアニメを観ると感慨ひとしおという二段構えになっています。
22ジャンプストリート(2014年)
大ヒットとなった「21ジャンプストリート」(2012年)の続編で、ジョナ・ヒル、チャニング・テイタム扮する潜入捜査官が、大学生になりすましてキャンパスに潜入するものの、学生生活を満喫してしまうという情けない(?)アクション・コメディです。一作め同様、本作も面白いのですが、エンド・クレジットに「23 ジャンプストリート」以降の続編を紹介する偽の予告編やポスターが流れます。公開一ヶ月前に一日で撮影したものですが、クォリティが高く、22世紀を舞台にしたSFに至るまでの何十作と、量とバラエティに富んでいます。実際の続編の実現は難航していますが、本シリーズのファンならば、この予告編を見ながら想像するだけで十分に楽しめる傑作です。
インサイド・ヘッド(2015年)
11歳の少女の頭の中にある、喜び、怒り、嫌悪、恐れ、悲しみという5つの感情の擬人化されたキャラクターたちが、少女の幸せを守るために奮闘する冒険ファンタジー・アニメです。本編では少女の頭の中を描いていますが、エンド・クレジットで少女以外の登場人物や動物たちの頭の中を描き、外からはわからなかった本音が見え隠れしたりする傑作です。
ファインディング・ドリー(2016年)
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「ファインディング・ニモ」(2003年)の続編で、なんでもすぐに忘れてしまうドリーが、唯一忘れなかった大事な家族を捜す為に、様々なキャラクターとともに繰り広げる冒険の旅を描くアドヴェンチャー・アニメです。ドリーにフォーカスしすぎて話が教訓じみてしまわないように、本作ではミズダコのハンクが水族館内の案内や移動で大活躍、可笑しさを倍増しています。逆にハンクが主人公になってしまわないよう、ドリーとのバランスが巧みに調整されているのが玉に瑕ですが、エンド・クレジットで得意の擬態のいくつも独演するという破格の取扱で楽しませてくれます。
それほど多くアニメを観るわけではないのですが、半分がアニメ作品だったことに自分でも驚きました。アニメの場合、
- 本編は子供向けに描かざるを得ないが、エンド・クレジットは大人向けに一捻りできる貴重な時間である
- キャストやロケの日程調整の制約がないので、エンド・クレジットでも高い自由度で挑戦できる
のかもしれません。
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