著者
佐藤 勝彦
内容
「相対論を楽しむ本」というタイトルは本書の内容を言い当てて妙である。相対性理論とは1人の物理学者の日常的な現象についての素朴で純粋な問題意識と単純な思考の積み上げによるものである。相対性理論は難解であり「道具」を知らない人は近づくことができないと思われているがそれは必ずしも正しくない。特殊相対性理論についての基本的な考え方は素朴かつ単純で、誰にでも近づくことを許している。
本書を通じて感じられるのは著者の相対論への愛である。まるで嬉々として自分の恋人について語るように、独創的なたとえを交えながらかんで含めるように、しかし、できうる限り妥協なしに解説している。コンパクトな本ではあるが内容は豊富で、アインシュタインの生い立ちから、特殊・一般相対性理論の解説、さらに相対論の宇宙論への応用と最新宇宙論の解説にも2章を割いている。著者の相対論への愛に満ちた本書は読んでいて楽しく、まさに「相対論を楽しむ」ことができる。(別役 匝)
感想
第1章 相対性理論を体験しよう―相対性理論超特急
相対性理論のことが何か?って聞かれたときに答えれるかというと、答えれない人がほとんどだから、それを答えれるようにするために例を使って説明しています。
この章で、難しい数式を使って説明されていたら、この後読んでいなかったと思います。
第2章 相対性理論を生んだ天才―アインシュタインの生涯
アインシュタインの生涯についてです。
はじめは役所勤めをしていたというのは驚きでした。
第3章 はじめに光ありき―特殊相対性理論その1
相対性理論の「相対」という意味から始まり、光の正体までを解き明かす内容でした。
第4章 遅れる時間の不思議―特殊相対性理論その2
遅れる時間について、難しい数式を使わないで、わかりやすく説明していて、すらすらと読めました。
第5章 時間+空間=時空―特殊相対性理論その3
4次元というのは、知らなかったのでとても勉強になりました。
第6章 物質はエネルギーの固まり―特殊相対性理論その4
特殊相対性理論についての最後の章です。
エネルギーが質量になるという物理学が苦手な私でもわかる内容でした。
第7章 ゆがんだ時空―一般相対性理論その1
一般と特殊相対性理論の違いから始まり、スラスラ読めました。
第8章 双子のパラドックス―一般相対性理論その2
時間が遅れるってことを「浦島太郎」を使って、説明しています。
ここでも数式を使わず、説明しているのはさすが。
第9章 火の玉宇宙が膨張する―現代宇宙論その1
もっと深く相対性理論を掘り下げることもできたのに、宇宙の話へ展開していくことにより、惹きつけられました。
第10章 無から生まれ急成長した宇宙―現代宇宙論その2
要約すると、無から宇宙が生まれたということを科学者が解き明かしたってこと。
それは相対性理論だけでなく、ビッグバン理論だったり、インフレーション理論だったり、宇宙ということに興味がわきました。
まとめ
特殊相対性理論・一般相対性理論が何か?って少しでも興味を持つことがあれば、まずはこの本を読むことをお勧めします。