"安倍圧勝"が示す日本人の憂慮すべき「矛盾」

安倍首相は奇妙な立場に身を置くことになる

自民党が圧勝したことによって、安倍首相は「奇妙な立場」に身を置くことになる(写真:Toru Hanai/ロイター)

安倍晋三首相は、再び批評家たちの予想を退け、戦後の政治家の中で最も優秀な1人であることを証明した。

支持率を揺るがすスキャンダル、そして政権与党である自由民主党の内部からの長期にわたるリーダーシップへの批判に直面し、安倍首相は先制攻撃を選んだ。相手の攻撃態勢が本格化する前に、解散総選挙に打って出ること、そして北朝鮮をめぐる切迫した危機感を利用することで、国全体および与党内において、彼は見事に自分の権力を再構築したのである。

日本の有権者の意識には矛盾がある

そうなった今注目すべきは、この新たな権力を安倍首相がどう使おうとしているかだろう。途方もない野望にも見える、憲法改正という生涯の目標に利用するのだろうか。それとも、戦時期に端を発するもう1つの歴史的アジェンダにけりをつけ、ロシアと平和条約を締結するのだろうか。

まもなく来日する、アメリカのドナルド・トランプ大統領が引き起こすきりのない混乱に、どう対処し続けていくつもりなのだろうか。そして、実際のところ、北朝鮮で何が起こるのだろうか。何よりも重要な問いは、国民に約束した経済成長戦略を成功させられるのか、ということだ。

「政策という面では、総選挙の効果は限定的だろう」と、テネオ・インテリジェンスの日本専門アナリストである、トビアス・ハリス氏は予測する。「連立政権の勝利は安定と持続をもたらしただけだ」と、彼は開票結果直後に書いた。

そうであれば、補正予算から一般予算、そして日本銀行の独立性をめぐる重要な決定といった、対内政策にまず着手することになるのだろう。優先順位において、憲法改正は後ろに追いやられる可能性が高いと、ハリス氏は考えている。

もっとも、安倍首相は外交安全保障政策を、自分の功績の中心に据えるような首相だから、上記の問題は彼の意識の最前方にあるに違いない。しかし、これらを深く掘り下げる前に、今回の選挙で何が起こったのかを理解することが重要である。

出口調査で再び明らかになったことだが、日本の有権者の意識には矛盾がある。自公連立政権の存続は支持したが、政策はおろか安倍首相という人物さえも支持していない。憲法改正、税制、そして想像の域を出ない北朝鮮の脅威に対する対応という点では、国民の過半数が安倍首相の政策に反対、あるいは全面的には賛成していない。

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  • NO NAME136df359abf0
    今回はマスコミが敗北した選挙って感じじゃない
    あれだけ一生懸命安倍叩きしてこの結果だからな
    up94
    down52
    2017/10/24 12:18
  • NO NAMEb1d5d8e13cea
    一年中モリカケで叩いて、選挙演説を妨害までしてこの結果だからな。
    マスコミや野党からすればかなり悔しいだろう。
    いくら安倍を批判しても、国民を自分達の思い通りにはできなかったってことだ。
    これからは共産党みたいに反対しかできない野党はどんどん国民から見放されていくと思う。
    up84
    down43
    2017/10/24 12:56
  • NO NAMEa67d77e4a772
    >25年以上前に制定され自民党を下野させた選挙制度を、ものの見事に逆手に取ったといえる。

    間違いですね。その前の中選挙区制時代に、非自民連立政権で自民党が下野している時期に現在の小選挙区比例代表並立制に変える案が可決されました。

    それとスパイダーマンって。もっとましな例がなかったのかな。
    up43
    down13
    2017/10/24 12:49
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