まあそんな感じに先に言った通り、生存率を調査すると共に予め調べて置いた『映像化経験の有無』『長期シリーズ執筆経験の有無』『複数レーベル執筆経験の有無』を元にラノベ作家における活動実績を残し続ける為の方法を考えてみる事にしました。
とは言え、私の暴論クラスの考え方が多いに含まれる為、生き残りの方法は決してこの限りではありませんのでラノベ作家を目指す方や現在、ラノベ作家である人がもし居たのであればこの方法に囚われ過ぎないよう、あくまでも一つの参考程度に考えて戴けると助かりますので、一つどうぞ宜しく。
まずは単純に一つ一つの経験における生存割合の結果を表にしたので、まずは見て戴きたいと思います。
はいこちら、ドーンだYOー!!!!
・映像化経験の有無による生存割合
・長期シリーズ執筆経験の有無による生存割合
・複数レーベル執筆経験の有無による生存割合
まあこんな感じ。
うん、なんだか分かりづらいね! いや、ぱっと見分かりづらいだけで良くみれば分かって貰えると思いますが。そう思いたい。思わせて欲しい。
一先ずここで言いたいのは各経験それぞれを持つ作家の数は全体に比べれば少数である事が分かります。
全体の中で一番経験数が少ないのは勿論『映像化経験』の14.2%。
ライトノベルはメディアミックスをする場合において比較的行いやすい部類にある媒体だと思いますが、その中でも最も重要で最も大きな宣伝効果を齎すのはこれも知っての通り『映像化経験』なんです。
この根拠となるのが下の表。こちらは2016年におけるライトノベルオリコンランキング三十作品とその映像化済み、または予定作品を一覧とした表です。
映像化経験なくしてオリコンの舞台に上れるなかれ(戒め) まあつまりはそう言う事なんですね。まあここまで見事に映像化予定、または映像化済み作品が並んだもんだよ、ええ。
この中で未だ映像化されていないのは『転生したらスライムだった件』と『妹さえいればいい。』の二作品のみ。二作品の内、一作品は平坂読先生(アニメ化ヒット作品である『僕は友達が少ない』の作者様)作品だしね。むしろ『転生したらスライムだった件』がこの作品群に食い込んでいるのが凄い。やべぇぜ、転生。俺も転生してぇよなぁ、俺もなぁ。
あとこのランキングがシリーズ集計なのですが、単巻にて堂々の一位となっている『君の名は。』の圧倒的パワー。ちなみにスピンオフ作品である『君の名は。ANOTHER SIDE:EARTHBOUND』も十七位に付けています。
単巻にて100万パワー。恐ろしい……恐ろしい……。 まあ君の名は。をライトノベルに含めるかどうかは議論の余地がありますが、少なくともオリコンランキングにおいては含んでいたようです。多少はね。
まあそんな感じに映像化が作品を売る場合においてどれだけ重要かが分かって戴けたと思います。
数が少ないが、それだけに人気の指標としては重要です。
とは言え、他の経験者数が多いかと言えばそうでもない。『長期シリーズ経験』は全体の31.2%、『複数レーベル経験』は全体の29.1%とどれも全体より少なめです。
個人的に驚いたのは『長期シリーズの執筆経験』が全体の31.2%しかいない事です。
いやさ、何となくライトノベルって長期シリーズになるんでしょ? とか思っていた感があるんですよね。全体をチェックしていた訳じゃないですし、ライトノベルは読むには読むけどやっぱり人気作品をチェックする事が多いですしね。漠然と「
ライトノベルは続くもの」だと思い込んでいるんですよね。
しかしながら必ずしもそうではない。人気があり長期シリーズとなっていく作品がある中で残念ながら続刊が出ないケースの方がむしろ多い。一応十年前よりは単巻などで終わるケースよりも続刊が出るケースの方が多くなっているようですが、しかしそれでも三巻までで終わってしまうケースの方が多い。私も「
これ、続刊出ないの!?」と嘆き悲しんだ経験はあります。
新人って大変なんだなぁ(諸行無常) ……などと月並みなところを思ったりしたりしちゃいます。
それは兎も角として、ここでは各経験が生存率を高めている事が何となく伝われば良いなって! 各経験とも有りの場合は近年活動実績有となっている場合が多いのです。
これらを分かりやすいように示したのが下の表。

各経験共に生存割合が7割以上を超す結果に。
やはり各経験がライトノベル作家の生存割合を高める結果になるのは間違いないようです。
しかしながら今回の目的を思い出しましょう。
今回の目的は「
近年活動実績を示した作家の共通項を探す」事でした。
そう言う意味だと各経験が絶対の共通項とは言い難いです。
それを調べたのが下の図表。

これを見て分かる通り近年活動実績を示した作家の内、各経験の割合を調べるとこんな感じ。
いずれも低い値。これが生き残る為の絶対の共通項とは言えません。
ただ、これで終わる訳にはいきません。いや、「三週間の労力掛けて結局分かりませんでした」とか頭おかしなるわ。
これらはそれぞれ独立して集計した結果、この値は大きく被っている事は何となく予想出来ます。
だってアニメ化作品なんて殆ど長期シリーズ化しているでしょ、普通に。ニ十巻超してる奴とかザラだし。
つまりはその辺ややこしいのを整理する為にクロス集計とか言うなんだかよく分からない集計方法を使います。よく分かってないけどエクセルが凄い事は分かりました。ピポットテーブル最高FOOO!!!!
まあその辺ややこしいのをある程度整理した表がこちら。はい、ドンドン!!!

これを見て貰うと分かったり分からなかったりするのだが、先に予想した通り『映像化経験』を持っている作家は『長期シリーズの執筆経験』を持っている割合が非常に多いのです。『映像化経験』を持っている中で『長期シリーズの執筆経験無し』に該当した作家の数は103人中、わずか10名のみ。
詰る所、さっき出した値って実は該当項目丸被りしてんだよね……。
さっきまでののドヤ顔解説は一体何だったのか(遠い目) どうか許してあげて欲しい。作家を目指す奴なんて繊細な生き物なんです。そう言う事にしてあげて下さい。やったぜ。
まあそんな訳なんで該当の被ってない各経験の純粋な影響力を見るべく、単体回答、つまりは各経験において「それのみ」に該当した作家を対象として、その生存割合なんかを比べてみます。
その辺を集計して、整理した表がこちらです。ドンドンドーナツドーンと行こう!
傭兵作家最強説(当社比調べ) まあそんな感じで『複数レーベルでの執筆経験のみ』を持っている作家の生存割合は75.3%(89人中67人)と殆どの作家が近年において活動実績を示しています。
「人気」とか言う運の要素うんぬんではなく、やはり企画力、執筆力に優れている作家が最後には勝つってハッキリ分かんだね!
……いや、執筆力、企画力がなきゃ作品の人気なんて出る訳ねぇんだけどとか言うツッコミはさて置き。
この辺はある意味では希望の持てる結果かも知れません。詰まるところ実力があり、行動力を伴った作家はきちんと生き残る傾向にあるようですから。本人の努力次第とはよく言ったものです。
ですが、これについては単純に比べる事もまた難しい事が分かると思います。
何故なら『映像化経験のみ』を持つ作家の数はわずか7名しかおりません。
これでは単純な影響力を比べるのは難しい値になってしまっていると思います。まあ逆を言えば映像化経験作家の多くが他経験を持つ売れっ子作家である証明にもなると思いますが。
ちなみにここで『映像化経験のみ』を持つ作家の内、残念ながら近年において活動実績を持たない作家を挙げさせて貰うと、
・雨宮諒先生『シゴフミ 〜Stories of Last Letter〜』
・しなな泰之先生『魔法少女を忘れない』
・虎虎先生『中二病でも恋がしたい!』
・鳥居なごむ先生『境界の彼方』
・おおじこうじ先生『ハイ☆スピード!(Free!)』
――――の五人が該当します。
雨宮諒先生の『シゴフミ 〜Stories of Last Letter〜』の場合、通常のアニメ化と言うよりは先行企画としてアニメ『ジゴフミ』があり、その先行ノベライズとして『シゴフミ 〜Stories of Last Letter〜』が刊行されています。
なので厳密に言うと通常の映像化作品とは若干のズレがあったりします。
そしてしなな泰之先生の『魔法少女を忘れない』ですが、こちらは実写映画化されています。
ライトノベルでも未だそう多くない実写映画経験作家ですが、今回の調査においては近年活動実績無しに含んでしまっています。
そして、虎虎先生の『中二病でも恋がしたい!』、鳥居なごむ先生の『境界の彼方』、おおじこうじ先生の『ハイ☆スピード!(Free!)』ですが、いずれもKAエスマ文庫刊行作品です。いわゆる『京都アニメーション大賞』からの刊行作品ですね。
京都アニメーションでの映像化を持ち、かなりの話題を持っていた作品なだけにこれらの作者さんが近年において活動実績を残していないのはどうしても違和感が残ってしまいます。まあ各人の事情などがあるのでしょうが……、そう言う意味で京都アニメーション大賞はラノベ作家を輩出する賞というよりは映像化原案を募集する賞という視方が今のところ強いと私は見ています。
話を戻しましょう。
『各経験別生存率毎指標』を見る限りにおいて、結果として『複数レーベルでの執筆経験のみ』に該当した作家の生存割合は極めて高い事が判明した訳ですが、その一方で各経験が重なれば重なる程にその生存割合は高まるという結果が出ています。
すごーい! じゃあ『映像化経験の有無』『長期シリーズ執筆経験の有無』『複数レーベル執筆経験の有無』のどれかないし、複数の経験があればラノベ作家として生き残れるんだね! ……いや、すっげーハードル高いんだけどね。
それはそれとして、もう一つ気になる数字がある事が分かります。
各経験のクロス集計表を見てみて下さい。これに示されているのは
全部の経験を持っていないとしても近年活動実績を示した作家が90人もいらっしゃるという事実です。
いや、それはそれでめでたい話なのだろうけども。
しかし、今回は(誠に失礼な話ながら)数字を見ているので、この数字は気になります。私、気になります!
結局は
人気、企画力、執筆力、行動力を持たずともラノベ作家として生き残るは可能なのでしょうか?
これを調べる為に全部の経験を持たない作家、90人の共通項を探してみました。
すると、共通項が見つかりました。
先にその結果を言ってしまうと、その共通項とは「デビュー年」になります。
これがどういう事かと言うと、一先ずは下のグラフを見てみて頂戴! はい、ドンドン!

まあグラフタイトルに示されていますが、こちらはに『映像化経験の有無』『長期シリーズ執筆経験の有無』『複数レーベル執筆経験の有無』のどれにも該当しない作家の新人賞受賞年数別にグラフにしたものとなります。
これを見る限りにおいて
その殆どが2010年以降に固まっているんです。
ちなみに1995年、1996年デビューの作家が二人いらっしゃいますが、この二人はかなり特殊な例です。
この二人の内、一人は1995年にファンタジア大賞にて受賞を果たしている白川嘘一郎先生です。
ただし白川嘘一郎先生は受賞作を刊行していない上(昔は受賞作が刊行されない事が結構あった)、その後二十年間の活動実績を持ちません。また、現在は『れとろげ。』というマイクロマガジン・コミックスより刊行されている漫画の原作を担当されております。厳密にライトノベル作家として含めて良いかどうかは議論の余地があるかも知れません。
続いてもう一人の作家は雅彩人先生です。雅彩人先生も1996年に一度新人賞を受賞していますが、受賞作でのデビューはされておらず、その後の16年後に電撃小説大賞にて茜屋まつり名義で大賞を受賞。『アリス・リローデッド ハロー、ミスター・マグナム』にてデビューをされています。
つまりはこの二人は1995年、1996年からずっと活動実績を残し続けた作家とは残念ながら言えません。
要するに『全部経験無し』に該当した作家で現在、近年活動実績を残している作家の多くが若手に当たります。
これから言える事は一つでしょう。
残酷な事を言うようですが、『映像化経験の有無』『長期シリーズ執筆経験の有無』『複数レーベル執筆経験の有無』そのどれも持たない作家は『
今後、活動実績を残し続ける事が難しい作家候補』であると言えるのです。
つまりは(あくまで私の調べた結果ですが)ラノベ作家は
『映像化経験の有無』『長期シリーズ執筆経験の有無』『複数レーベル執筆経験の有無』の内、どれか一つでも多くの経験を持つ事がラノベ作家として活動実績を残し続ける方法となります。
取り敢えず今回の記事で分かった事を纏めたいと思います。くっそ長かったからね、正直
ここだけ見てくれれば良いよね、ホント! ……付き合って下さった方、ほんとありがとうございます(五体投地)
・応募総数からの割合で言えばレーベル全体の平均生存率は0.234%、平均デビュー率は0.509%といずれもくっそ低い。(新人賞からのデビューだけで言えば)ライトノベル作家になる事自体が狭き門。ラノベ作家凄い。
・ただ、新人賞からのデビュー人数から考えるならば平均生存率は46%まで上がる。競争の激しいイメージのあるライトノベル作家だが、数字だけで言えばその生存率はそこまで低くはない。
・レーベル毎にデビュー率と生存率を見るならば、両者共に高い数字を締めているのがHJ文庫。そのデビュー率は1.587%、生存率は58%と両方の値に置いてレーベルトップクラス。ラノベ作家をあくまでも一つの職業としてのみで見るのであればこれからラノベ作家を目指す方々には最もオススメしたいレーベルである事が分かる。
・生存率だけでみるならば業界最大手の電撃文庫が59%とトップ。しかしそのデビュー倍率は0.193%とHJ文庫の約八倍まで跳ね上がる。電撃文庫からデビューした作家はヤバい。電撃作家はぱない。
・生存率という側面において低い値を示したのは三割を切っている「このライトノベルがすごい!文庫」「KAエスマ文庫」「ガガガ文庫」「一迅社文庫」の四レーベル。「このライトノベルがすごい!文庫」「一迅社文庫」は既に新人賞を公募しておらず、今後は撤退していく構えっぽい? 「KAエスマ文庫」はラノベ作家を目指すというよりメディアミックス用の脚本を公募するレーベルと考えた方が無難か。あと「ガガガ文庫」は例年の活躍に比べると若干低い値。ちなみにデビュー確率も電撃文庫に次ぐ0.565%というブービー。
・単純集計で見るならば生存率を高めるのに最も高い値を示したのは『映像化経験』である。
・クロス集計で単体回答を見るのであれば生存率を高めるのに最も高い値を示したのは『複数レーベルでの執筆経験』
・各経験は該当経験を増やす程に生存率が高まる。
・ラノベ作家として生き残るには『映像化経験』『長期シリーズ執筆経験』『複数レーベル執筆経験』のいずれかの経験を持たなければ厳しいと考えられる。
以上! まあそんな感じ。
あと先に「デビューしてしまえば生存率は比較的高い」とかくっそテキトーな事を口走っているが、それは作家の努力あっての事だと思います。努力無しにラノベ作家として戦っていくなど間違いなく難しいでしょう。
とは言え、今回の調査にて近年活動実績がないと判断された作家が努力を怠っていたかと言えば、まあ間違いなくそんな訳はないと思います。
いや、まあ本一冊を書いて、しかもより良きする為の改稿を重ねるとかホント大変なんだろうなって。普段、私は小説とも思えない小説もどきを生産しては新人賞に送るとかいう虚しい無能働きアリみたいな事を繰り返している訳ですが、それでも好き勝手書けてる訳です。それを商業として売り出すレベルまで押し上げ、尚且つ答えが見えない中でより良いモノを作る為に試行錯誤する事がどれだけ大変かと。
私としては想像する事しか出来ませんが、そんな事を繰り返して尚且つ競争に晒され、そしてそれだけしても尚、二人に一人は消えていくしかない。そんな現実がラノベ作家の周囲を取り巻いているという訳。
あれ? なにこの無理ゲー。ヤバない? そんな感じなので、まあ今回、数字のみで見て「近年活動実績無し」とテキトーに上辺だけで判断してしまった失礼をラノベ作家の皆さまにお詫びすると共に、尊敬の念を禁じ得ません。
とは言え、今回のデータは今後、ラノベ作家を目指す、目指そうと考えている皆さんにも有用なデータだと思います。
これを見て、絶望するなり希望を持つなりしてラノベ作家という職業が一体何か、考える一助になってくれたら嬉しいです。
ちょっと真面目な事言っちまったぜ! まあ真面目だからね、しょうがないね。真面目な夢追い人とは一体……うごごご。
あと、最近ブログを更新してなくてすいません。あと更新スケジュールとか到底無理な事言ってすいません。出来心だったのです。毎日ブログ更新する皆様はホントに凄いと思い知りました。すいません。
そんな訳で今後も適当にブログを更新していこうと思いますので、こんなブログで宜しければ今後もどうぞお願い致します。
では、三週間以上の作業が役に立つものだと信じて今回の記事を更新します。くぅー疲(ry
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