スキルを上げる

女性の成功のカギはセルフエスティーム!大人の自信は自分で作るもの

「ああ、どうして私はいつもこうなんだろう?」何かうまくいかないことがある時、ふとそんなふうに思ってしまうことはありませんか? もっと素敵な自分になろう、もっと成長したい、と思うことはいいことですが、実は女性が社会で輝くためには、もっと大切なことがあります。

それは、どんな時も自分を認める「自己肯定感(セルフエスティーム)」を育むこと。今回は、一般社団法人 日本セルフエスティーム普及協会代表理事工藤紀子さんに、自己肯定感を高める秘訣を伺いました。

自己肯定力は「心の体幹」。トレーニングで確実に高めることができる

「セルフエスティーム」を和訳すると自己肯定感という意味になります。これはそのままの自分を認めて大切に思う、という人が生きていく上で大切な自己受容の感覚です。

みなさんは、自己肯定感は、そもそも高い人と低い人がいて、幼少期の親や養育者との関わりにおいて、どれくらい愛され、褒められ、認められたかで決定してしまうと思ってないでしょうか? あるいは完璧で欠点がない人だけが持てるもの、と思っていませんか。

実は、大人になってからも自分自身との関わりや心の持ちようを変えていくことで、いつからでも高めることができるのが「自己肯定力」、それは「心の体幹」のようなもの。体の軸を安定させ、体を整える体幹トレーニングのように、トレーニング次第でいくらでも高めることができるのです。

自己肯定力を高めるために大切なのは、次の5つの感覚を持つこと。

①そのままの自分を認める
②そのままの自分を受け入れる
③そのままの自分を大切に思う
④自分に価値を感じる
⑤そのままの自分を信頼する

この5つの感覚を順番に育んでいけば、誰でも自己肯定力が高まり、自信を持って行動できる「自己効力感」が生まれ、成功できるようになるのです。自己肯定力を高めるために必要な3つの基本的なトレーニングを紹介します。

【トレーニングⅠ】自分の長所を認め、短所や欠点を「許可」してあげる

ノートに自分の長所、短所や欠点を書き出す

その短所や欠点を持つ自分を「許可する」

長所だけでなく、短所や欠点を持った「そのままの自分」を認めた上で冷静に現状を見つめる

短所や欠点に対して、自分が本当はどうしたいか考える

その自分になってもいいと「許可する」

キーワードは「許可」すること。例えば「部屋が片付けられない」自分がイヤだとします。まずはそれを書き出し、次に「そういう自分でもいいんだよ」と口に出して「許可」し、自分を受容します。はじめのうちは、抵抗があるかもしれませんが、自分に言い聞かせるように、言葉にしましょう。繰り返すことでじわじわと効果が出てきます。

その次は、冷静に現状を把握。どんな環境や条件のために、部屋が片付けられないのか理由を見つけます。例えば、仕事で疲れすぎていて掃除ができないのだとしたら、まずは疲れをとって十分に自分を癒すことが先決です。その上で、本当に自分が部屋を綺麗にしたいと思っているのなら、「部屋を綺麗にできる自分になっていい」や「部屋を綺麗にしてもいい」と許可して、そうしたい自分の意欲を支えます。もしそこで、部屋が多少汚れていても構わない自分がいたら、それでもいいのです。

大切なのは外からの評価や価値基準に惑わされないこと。「たとえ○○な自分でも、私の価値は変わらない」と自分に向かって言ってみるのもオススメです。

自分はダメだ、と否定するところから始まると行動には移せません。行動するためにはまず自分を受け入れて、現状に目を背けずに向き合うことが大切です。

【トレーニングⅡ】自分を守ってきた古いルールを削除し、上書きする

自己肯定感は、全てをポジティブに捉えることではありません。うまくいかないことやネガティブな感情もあってOK。ただ、自己肯定感が低いと、感情的になったりイヤな気分になりやすいことも確かです。

ネガティブな感情は、自分を害するルールや物事の捉え方と出会ったときに起こります。自分が物事をどう捉えているのかを知り、自分なりのルールがどんなものかを理解することも自己肯定力を高める上で大切です。

・どんな時にイヤな感情を抱きますか?
・それはどんなルールや物事の捉え方によって引き起こされますか?
・その捉え方は、豊かに楽しく生きていくために必要ですか?

この3つを問いかけましょう。例えば、約束を守らない人を見ると感情的になるとします。でも約束を守るべき、というルールは絶対的に正しいのでしょうか? 違う見方をすることも時と場合によって必要だと思ったら、これまで自分を守ってくれたこのルールを緩めたり、新しいルールを上書きしたりしても構いません。
どこからその捉え方が生まれたのか、過去をさかのぼって理解して、「これからはそのルールはいらないよ」と許可しましょう。

仕事の場ではいろいろな考え方の人と関わります。自分の中の「こうあるべき」や「こうであってはいけない」というルールを緩めることで、多様性を受け入れ理解できるようになり、仕事も人間関係もスムーズになるはずです。

【トレーニングⅢ】まずは自分の体を受け入れ、大切にする

自分を大切に思う気持ちを育むのが難しいという人もいるかもしれません。そんなときは、まず自分の容姿や体を受け入れることから始めましょう。人と比べたり、理想ばかりを追うのではなく、自分の体の個性を認めて受け入れてあげます。そのためには次の3つが効果的。

・毎晩体のケアをする
毎日頑張ってくれる体を1日の終わりに撫でて優しくハグし、「ありがとう」と口に出しましょう。クリームでマッサージをするなどして体を緩めるのもいいでしょう。

・鏡を見て声をかける
毎日鏡に映る自分の姿を見て、「よくやってるね」「ありのままのあなたが大好き」など、自分が誰かにかけて欲しい言葉を、自分でかけてあげましょう。

・笑顔を脳に刷り込む
自分自身を思い浮かべる際のセルフイメージを、「笑顔の自分」に書き換えます。無表情だったり、不安そうな顔ではなく、笑顔が自分の通常モード、と思えるよう鏡の前で笑顔になり自分の脳に刷り込むのです。人は、自分の笑顔に最も癒されるものです。笑顔の自分を見ながら「今の私が大好きだ」と言い聞かせてあげましょう。

自己肯定感が基盤になってはじめて「自信」を手に入れることができる

ここで紹介したトレーニングを1日5分でいいので毎日やってみてください。地道なトレーニングですが、続けていくと、少しずつ自分に対する印象が変わってくるのを感じることができます。不思議なことに、自分を知れば知るほど、人は自分のことを好きになっていきます。

恐れや不安から、自分を変えようと、必要以上のモチベーションや熱意を保ち続けることでは人はなかなか前に進めません。それよりも、完璧でなくても自分には価値がある、と感じられる自己肯定感が生まれると、安心感から行動に移していけるようになります。さらに自己肯定感が持てると周りからの褒め言葉や評価を素直に受け止めることができます。すると、自分の中に少しずつ「自信」が生まれていきます。

そんな自信を手に入れてはじめて、まだ形にしていないものを形にできる力や、どんなことでも「自分のやることはうまくいく」と感じる力=「自己効力感」が内側から湧いてくるのです。

ここまでくれば、おのずといつも自分の価値を認め、他人の価値を認められるようになり、結果として他人からもどんどん認められるようになります。1日5分の小さなトレーニングを、ぜひ続けてみてください。


記事監修:工藤紀子
一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会代表理事、ヴィーナス・クリエイト代表。外資系企業勤務を経て、育児中に自己肯定感の大切さを知り、自ら人生を好転させる。以来「心の仕組み」の理解と「セルフエスティーム向上」についての研究を続け、自己肯定力を高める独自のメソッドを確立。2013年、一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会を設立。企業や教育現場でのセミナーや研修、講演会、講師の育成に力を入れている。
著書に『そのままの自分を受け入れて 人生を最高に幸せにしたいあなたへの33の贈り物』(三恵社刊)
一般社団法人 日本セルフエスティーム普及協会http://www.self-esteem.or.jp

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