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フレームが無いものなんて存在していいのか?

筆者はモノコック構造が嫌いだ。

正確に言えば「真円や球体など、ありとあらゆる衝撃を均等にどうやっても分散できる代物」以外のモノコック構造が嫌いだ。

自動車好きの筆者にとって、10代の頃から買うと決めていた車は「フレーム」というものが存在するものだった。
例えば「ラダーフレーム」とか「スケルトンフレーム」とか「スペースフレーム」とかいった類である。

これらがどれだけ優秀かというと「30年経過しても乗り味が殆ど変わらない」という点である。
モノコックなんざ30年も経過したらよほどの設計の車でない限りガタガタになってしまうが、こういった点を考慮せず、かつ「フレームを交換、修理することで以前の乗り味を復活させられる」という利点もある。

モノコック構造というのは現在における大衆車の主流であるが、これはwikipediaなどでみてもわるとわかる通り「ボディ全体が捩れたりなんだりすることで衝撃を吸収する」構造である。

つまり、「事故」といった衝撃以外でも常に負荷がボディ全体にかかっているわけだ。
レースにおいては「量産性がー」とかいう話があるが、これは厳密には正しくない。

レース界においてスペースフレームやラダーフレームといった存在が現役な理由は単純に「高すぎる負荷をモノコックによって達成する場合、本来モノコックの利点の1つであった重量軽減が有効に働かず、むしろフレーム製車両と比較して重量が重くなる」といった欠点があるためである。(歪んでしまったら直せないという話もあるが)

実際に現在流行しているカーボンモノコックにおいては車両の中心部分だけに限定的に利用するというのが一般的であり、フルカーボンモノコックなる存在はF1などのレースカーを除くとごく一部のスーパーカーのみでしか存在していない。

これらについても「重量的利点」がフレーム式のものと比較して殆どないからである。
(フルカーボンモノコックはコストが洒落にならないという理由もある)

ならどうして大衆車はモノコックだらけかというと、単純に「そんな負荷かかんないから」というだけ。
製造時にオートメーションで作る上でモノコックのほうが利点があるなんていうが、あんなの大嘘だ。
モノコックの方が作業点数は多く、時間がかかる。

単純に採用したくないのは重量と室内空間の2つ。
重量はやたら重くなるし、フレームを搭載すると消費者が求める室内空間において不利になるから。

このたった2つの理由によって今日でも主流になっている。

ではどうして筆者が嫌いかというと、「そんな負荷かかんないから」というのが舗装された道限定で考慮されており、近年の車両は耐用年数が低く見積もられていてすぐ劣化するからだ。

代表的なのが「ビビリ音」
ぶつけてもないのにボディのどこかが共振して走行中にビリビリビリビリうざったい音が出るようになる。
防音関係が手抜きな最近の乗用車はみんなそうだ。

変な振動が発生するのもボディ全体が衝撃を吸収するからだが、吸収した際に振動を受け止めきれない部分にこういう不快な音が出てくる。

ラダーフレーム製などの車両はこういった不安が極めて少ないのである。

そもそもCB400ようなオンロードマシンでですら部分舗装された林道などを突っ走る人間にとっては、同じ道を走るとボディ自体が歪む恐怖と戦うことにもなる。

知っている人は知っているが、キャンプに行く際にトランポとしてハイエースなどを採用して10年も山道を走るとボディが歪んでしまう。

いくら頑丈なハイエースなどといえども、フラットダートにこそ耐えられてもデコボコな舗装状態の山道ではどうにもならない。
そういう仕様の車を愛車にしたくないなというのが素直な気持ちだ。

ただ、耐用年数というのはフレームが存在してもそこまで見積もられていない場合がある。
バイクにおける近年の傾向である。

バイクのフレームについてなのだが、一例を出すと、「プロジェクトBIG-1」と呼ばれる中で開発されたCB750やCB1000、CB400といった存在については全盛期のホンダのためフレーム設計は「90万キロを軽くオーバー」させた信じられないぐらい頑強な設計としている。

これらは教習車などの影響で実際に90万キロ走ってるのも存在するが、サスペンションなどの消耗品を除くと先に死ぬのはエンジン(20万キロ~30万キロ)であり、次いでスイングアーム(60万キロ~70万キロ)であり、これらを交換すると普通に当時と変わらない状態に戻るというのは有名な話で、今でも25年前のCB400やCB750が教習車として生き残り続けている理由ともなっている。

ホンダのこの傾向は現代でも続いているが、最近の海外メーカーのバイクの場合はフレーム自体をアルミ合金などの接合パーツと組み合わせてパーツ単位で分解できるようにし、フレーム交換などが容易なように作っている。

この場合は「消耗した部品から順次交換」ができるため、無理して耐用年数を長くするよりも定期的なメンテナンスを促す目的でそうしているようで、商用車などにこういった傾向がある。

昔はバイクのフレームというとアルミも鋼も溶接された一体形成のものばかりであったが、時代が変わってきたようだ。

車においてどうなのかといえば、基本的にフレームを用いる車両はその運用が「過酷な環境」または「長期にわたる運用」もしくはその両方であるため、非常に頑強である。

そんな筆者は車好き故、大型二種まで取得してしまったが、大型車両は基本的にモノコック構造ではないため、古い車両もきちんと整備されていればその当時と殆ど変わらない乗り心地なのだ。
これらの大型車両の場合は「排ガス規制」などの環境問題的な部分で淘汰されただけであり、フレーム構造がが30年変わっていないなどということはザラにある。

ロシアのトラックなんかは半世紀以上フレーム構造が変わらなかったなんて代物もあったが、それぐらいラダーフレームというのは完成度が高い代物なのだ。

実はフレーム搭載車が好きになったのは日本製スポーツカーにあった。
年齢と車齢がイコールなモノコックボディのスポーツカー達に乗った際、「ああ、こりゃもう寿命きててアカンわ」と思いつつ、古いラダーフレームの車両と新しい車両とを乗り比べた際「車内が静かか煩いかぐらいの違いしかない!」と驚いたのがキッカケであった。

免許入手以降、長距離利用や仕事で大型バス含めて様々な車種を運転し、かつやや技術系な立場にいる筆者としては理想的な車はモノコック製スポーツカーでないことはすぐに気づいた。
(湾岸ミッドナイトでもそういった話題が出ていたけど、あの漫画は本当に車に対して紳士な視点を持ってるね)

で、今回の話で何を伝えたいのかというと「トヨタは目を覚ませ」ということである。

まずこの間トヨタが発表したGRとかいうわけわからないシリーズであるが、もうね、ありとあらゆる方向で間違ってると思うんだ。

なんで大衆車をちょっと弄くったモンを元の車両+80万円追加とかいう数字でぼったくって「若者の車離れ」が解消できるのか意味がわからない。

ただでさえモノコック構造の車両なのに、それも大衆車でスポーツ走行すら考えられていないものとか、10年前ぐらいに話題になったコンフォートGT-Zから何も学んでない。

あの時も「剛性が足りずすぐにヘタった」ということで大半の車両が数年で廃車だらけになったが、スポット増しやフレーム板を増設ということの意味の無さという点についてトヨタの社長は勘違いしている。

「スポット増しやフレーム板の溶接による追加というのは負荷を誘導するだけで却って車両の耐用年数は短くなる」

これはモノコック構造という車体全体で衝撃を吸収する構造上、絶対にそうなる。
1から車体を作り直さねば耐用年数は絶対に短くなるため、それをどうにかするには最終的に「ボディぶったぎってスペースフレーム化が早い」

これは車好きの中でもちょっとレースだのなんだの本気で考えている人の中では割と常識。

スバルの旧型インプレッサやランサーエボリューションのように「元よりそういう走行も視野にいれる」構造で設計しない限りはロクな結果にならない。

今の若者は金がないんだから「もっと頑丈」で「もっと運用コストが低くなる」ような車の方求めてるに決まってるだろう。

なんで軽とミニバンが若者に売れてるのかわかってないのかと。
だからむしろ、求めている方向性に応えるならこうだろう。

「三菱デリカとデリカスペースギアと同じ発想のミニバンをダイナかコースターなどを流用して作る」

これだ。
デリカD5は実質的にモノコックボディなので私は気に入っていないが、かつて三菱にはパジェロを流用して販売したデリカとデリカスペースギアという車両が存在した。

特にスペースギアはミニバンという存在に大きな影響を与えた車種である。


で、コースターとは何かと言うと、トヨタが発売するマイクロバスでかつ魔物のような心臓部を持つマイクロバス販売台数1位の車種だ。

実は私は周囲から「トヨタでライトなスポーツカーといったら?」と聞かれるとある車種を回答している。

それは「トヨタコースター超ショートボディ」である。

本来はマイクロバスであるそれは、かつて販売された車種の中にハイエースの3ナンバーより小さいサイズがあったりするのだ。

そして重要なのはこれからで、「コースターは標準でも150馬力、オプションやグレードにより最大180馬力ディーゼルターボ」とかいう魔物みたいなエンジンが搭載されている。

コースターはFRなので、「ボディとっぱらってそれなりのモン被せたらそこらのスポーツカーより速い」
というか、「ノーマルで7.75mのロング仕様でも高速道などではそこらの軽自動車なんかよりよっぽど速い」

マイクロバスの中で最も売れている車種であるが、その売れている理由は最もパワーがあるからだと筆者は思っていて、それでいてわけのわからない車よりよっぽど維持費が安い。

しかもオプションまたはグレードによっては「エアサス」という存在もあるのだが、これまた乗り心地も良いし、純正冷蔵庫なんかもオプションで存在したりする。
キャンピングカーとしては最強の1台のため、この「超ショートボディ」は新車並みの価格で取引されていたり、「ショートボディ」のボディをぶった切って「超ショートボディ」に改造したりする車両すらある。

筆者も乗ったことがあるが、エンジンの回転数を3000回転以上まわしたら一瞬で100kmオーバー余裕でした。
そりゃそうだ。
超ショートの車重は2.8t。
それを思いっきりローギヤードにした車種なのだから100kmあたりまでの加速が半端じゃないのは当然。
そこから全く伸びる余地がないだけである。(ギア比的に140kmだか150kmで頭打ちだった気がする)

日常的な乗り方で言えば、これほどまでに楽しい車も他にはない。
一時期本気で購入を検討したが、駐車場の高さ制限に引っかかって結局購入しなかった。
(フレームまでバラしてうんたらというのは宝くじが当たったら考える)

そんな私が次に検討したのが「ダイナルートバン」であったが、これは完全に商用的すぎて乗り心地を含めて大したことがない。

一方で「これは!?」と思ったのが東南アジアなどで大ヒットしている「コルトディーゼル ミニバス」である。
三菱の車両であり、フィリピンやタイなどを筆頭に大ヒットしていて、トヨタなども対抗車種を出している。

これは調べてもらえばわかりやすいが、5ナンバーサイズの三菱キャンターのトラックの4WDに、ハイエースのような7人~9人乗り(グレードがいくつもある)の後部ボディを後ろに被せたような感じのもの。

トラックではあるが、最初から人が乗ることを前提に作られており非常に静穏性に優れ、乗りやすい。
何よりもフィリピンの未舗装道路を進む前提の仕様でエアサスや4WDなど、様々な部分に手が入っている。

これを上手く調整して車中泊とか出来るようにした車こそ、若者に売り込むべき車種ではないのか?
(例えばボディの真上を全面ガラスにしてしまうとか)

ようはデリカの思想は間違っているのかもう一度確かめろってことと、「GR」とかいうのを立ち上げるなら、こういう「絶対にどこかに需要がありそうな車」を作って販売すべきだろって話。

どうして軽ワゴンとかミニバンといった類がバカみたいに売れているのに、スポーツカーに拘るのか。
なんでシエンタ、ノア、ヴォクシーなどで成功しておいて、それに泥を塗るような真似をするのか。

スポーツカーに拘るなら設計は1からやり直すか、いっそ本気でスペースフレームなどに取り組むべきだし、それが出来ないなら逆にラダーフレームなどを用いて極めて頑丈で耐用年数が長く、維持コストの低い車を作るべき。

最後にフレーム形式の車について触れるが、実はトヨタクラウンも大昔はフレーム搭載車だったりする。

ペリメーター式フルフレームというアメ車では標準的でつい最近まで販売されていた「フォードクラウンビクトリア」という車種などで採用され、かつてのアメパトやイエローキャブに採用される車種はみんな搭載しており、「アメリカン4ドアセダン」といったらコレというような形式のフレームであるのだが、究極のセダンを目指したクラウンも搭載していて、クラウンといったらコレというイメージが30年前まではあった。

次の世代のクラウンは「モノコックにする」といったとき、物凄い批判的な声が挙がったほどだ。
(それまでのクラウンは1台購入したら30年は乗れるという代物でそれを維持するのがステータスだったのだが、ここから常に最新のものに乗り換えるのがステータスみたいなふざけた路線に向かうようになる)

最後が1992年式だったと思うが、これらのフルフレーム式車両はそれ以降から2000年代あたりまでの中古車よりも中古価格が高かったりする。
それもフレーム形式ゆえに簡単にはヘタらないからというのが影響している。

ついでに言うとスバルのサンバーワゴンも、軽であの手のワゴン車としては珍しいフレームが存在していて、耐用年数は軽トラと同じレベルという「ボディより先にエンジンが死ぬ」車である。

中古価格が高い車というのは大体こういった理由によって高いわけだけど、今の時代、高齢者の送り迎えなどでハイエースなどが多用されてハイエースなどは売り上げが上昇傾向だが、これらに若者も手を出していることを考えれば、本当に求められているのは「頑丈」「維持費が安い」「減価償却の面で優れる」「何でも載せられて車中泊も余裕」みたいなモンが求められていると思うんだ。

スポーツカーを求める層に中途半端なモン出して若者も釣ろうなんてことが完全に間違ってるってことをトヨタの社長は理解してほしい。

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