金子氏の発言
実際に、アイヌ出身の故知里真志保北大教授が、今から半世紀ほど前に平凡社の世界大百科事典にこう書いておられます。民族としてのアイヌは既に滅びたと言ってよく、厳密に言うならば、彼らはもはやアイヌではなく、せいぜいアイヌ系日本人とでも称すべき者であると。つまり、これは、決して私一人の特異な意見ではなく、学術的定説であると思います。
「平凡社大百科事典第二版」の記述(執筆は知里真志保)
今これらの人々は一口にアイヌと呼ばれているが、その大部分は日本人との混血によって本来の人種的特質を希薄にし、さらに明治以来の同化政策の効果もあって、急速に同化の一途をたどり、今はその固有の文化を失って、物心ともに一般の日本人と少しも変わることがない生活を営むまでにいたっている。したがって、民族としてのアイヌは既に滅びたといってよく、厳密にいうならば、彼らは、もはやアイヌではなく、せいぜいアイヌ系日本人とでも称すべきものである。
平凡社による訂正の告知(2007年)
このたび、小社では『世界大百科事典』の「アイヌ」の項目を全面的に改稿することといたしました。現行の同項目は、1970年代後半の編集になるもので、アイヌ民族が日本の先住民族であるとの視点にないものであり、現時点では適切なものではないばかりか、アイヌ民族に対する偏見や差別を助長しかねないとの認識にいたったためです。この改稿は本年秋に予定しております同百科事典の2007年版に反映いたしますが、2002年以降にご購入いただき、読者登録をされている皆さまには、改稿あるいは今回新規に立項します項目を小冊子「アイヌ関連項目集」にまとめ、お届けいたします。なお、小社で把握できない購読者の皆さまにつきましては、下記へお問い合わせください。読者の皆さまはじめ関連項目の当事者、利用者の皆さまにはご迷惑をおかけいたしますが、上記経緯につきご理解いただき、ご容赦くださいますようお願いいたします。
平成19年4月28日
株式会社 平凡社 営業部