Q6: 先住民族には領土を割譲しなければならないのか

金子氏の発言

もし仮にアイヌが国連宣言の先住民族と認められるならば、アイヌ民族の自決権や領土の割譲のほか、アイヌ文化保護のためにアイヌ語による学校教育やアイヌ語による国営放送、アイヌ独自の司法制度など、常識では考えがたい要求を国際法に沿って我が国が受け入れることにつながりかねません。(2014/9/22 札幌市議会)

先住民族の権利に関する国際連合宣言

第3条 先住民族は、自決の権利を有する。この権利に基づき、先住民族は、その政治的地位を 自由に決定し、並びにその経済的、社会的及び文化的発展を自由に追求する。

第4条 先住民族は、その自決の権利の行使に当たり、その内部的及び地域的問題並びにその自 律的活動を賄うための資金調達方法について、自律又は自治の権利を有する。

第 14 条

1.先住民族は、その文化に沿った教育及び学習の方法に適した仕方で、その固有の言 語で教育を提供する教育制度及び施設を設立し、及び管理する権利を有する。

2.先住民である個人、特に子どもは、差別されることなく国のすべての段階及び形態 の教育を受ける権利を有する。

3.国は、先住民族と協力して、その共同体の外で生活している者を含む、先住民であ る個人、特に子どもが、可能なときには、その固有の文化及び言語で行われる教育を受け る機会を得られるようにするため、効果的な措置をとらなければならない。

第 16 条

1.先住民族は、その固有の言語による独自の報道機関を設立し、並びにあらゆる形態 の非先住民族の報道機関を差別されることなく利用する権利を有する。

2.国は、国が所有する報道機関が先住民族の文化的多様性を正しく反映することを確 保するため、効果的な措置をとらなければならない。国は、十分な表現の自由の保障を損 なわない限りで、民間が所有する報道機関が先住民族の文化的多様性を適切に反映するよ う奨励すべきである。

第 25 条 先住民族は、自己が伝統的に所有し、又はその他の方法で占有し、若しくは使用してき た土地、領域、水域、沿岸海域及びその他の資源との独自の精神的関係を維持し、及び強 化する権利並びにこの点について将来の世代に対する自己の責任を果たす権利を有する。

第 26 条

1.先住民族は、自己が伝統的に所有し、占有し、又はその他の方法で使用し、又は取 得した土地、領域及び資源に対する権利を有する。

2.先住民族は、自己の伝統的な所有、又はその他の伝統的な占有若しくは使用に基づ き保有する土地、領域及び資源並びに自己がその他の方法で取得した土地、領域及び資源 を所有し、使用し、開発し、及び管理する権利を有する。

3.国は、これらの土地、領域及び資源に対して法的な承認及び保護を与えなければな らない。この承認は、当該先住民族の慣習、伝統及び土地保有制度に対する十分な尊重を もって行わなければならない。

第 27 条 国は、関係する先住民族と協力して、伝統的に所有し、又はその他の方法で占有し、若 しくは使用してきたものを含む、先住民族の土地、領域及び資源に対する当該民族の権利 を承認し及び決定するための、公正で、独立し、公平で、公開で、かつ透明性のある手続 を、先住民族の法、伝統、慣習及び土地保有制度に十分に留意しつつ、確立し、及び実施 しなければならない。先住民族は、この手続に参加する権利を有する。

第 34 条 先住民族は、人権に関する国際基準に従って、その機関の構成及びその固有の慣習、精 神性、伝統、手続、慣行及び存在する場合には司法上の制度又は慣習を促進し、発展させ、 及び維持する権利を有する。

第 46 条

1.この宣言のいかなる記述も、国、民族、集団又は個人が、国際連合憲章に反する活 動に従事し、又はそのような行為を行う権利を有することを意味するものと解してはなら ず、また、主権独立国の領土保全や政治的統合の全部又は一部を分割し、又は害するいか なる行為も是認し、又は奨励するものと解してはならない。

2.この宣言に掲げる権利の行使に際しては、すべての人の人権と基本的自由が尊重さ れなければならない。この宣言に掲げる権利の行使は、法によって定められ、かつ、人権 に関する国際的な義務にしたがって課される制限にのみ服する。この制限は差別的であっ てはならず、他の人の権利及び自由の十分な承認及び尊重を確保する目的並びに民主的な 社会の正当で最も重要な要請にこたえるという目的のためにのみ真に必要なものでなけれ ばならない。

3.この宣言に含まれる条項は、正義、民主主義、人権尊重、平等、非差別、良い統治 及び信義誠実の諸原則に適合するように解釈しなければならない。

A6:

先住民族宣言第46条1によって、領土の割譲は認められない。ただし、第25条から27条の規定によって、国は先住民族の土地等の権利を承認しなければならない。また、その他の事項すなわち、教育、メディア、慣習法の実施については全く穏当なものであり、これを「常識では考えがたい」と称するのは不当。

広告