超大型で強い台風21号は東海や関東甲信などを暴風域に巻き込みながら北東へ進んでいて、このあと東海地方に上陸する見込みです。これまでの大雨で近畿などの各地で土砂災害や川の氾濫が発生しているほか、東海や関東、北陸などでも大雨となるおそれがあり、気象庁は、土砂災害や川の氾濫、暴風や高波に厳重に警戒するとともに、自治体の情報に従って避難するなど安全を確保するよう呼びかけています。
気象庁の発表によりますと、超大型で強い台風21号は午前3時には静岡県牧之原市付近を1時間に60キロと速度を上げて北北東へ進んでいるとみられます。
中心の気圧は950ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は40メートル、最大瞬間風速は55メートルで、中心から半径280キロ以内では風速25メートル以上の暴風が吹いています。
この時間、東海や関東甲信越、それに近畿・北陸の広い範囲が暴風域に入っています。台風は、強い勢力を保ったままこのあと東海地方に上陸する見込みです。
大雨に厳重な警戒を
今回の台風で厳重な警戒が必要なのが、まず大雨です。
台風を取り巻く発達した雨雲が東日本と西日本の広い範囲にかかり、この時間は東海や関東甲信を中心に雨が強まっています。
午前2時半までの1時間には静岡市鍵穴で65.5ミリ、神奈川県箱根町と山梨県山中湖村で50ミリの非常に激しい雨を観測しました。
和歌山県や三重県では、この48時間に降った雨の量が多いところで800ミリを超え、平年の10月1か月分の雨量の2倍を超えるなど、記録的な大雨となっています。
これまでに降った雨で、東日本と西日本を中心に各地で土砂災害の危険性が非常に高まり自治体が避難勧告などを出す目安とされる「土砂災害警戒情報」が発表されている地域があります。
発表されているのは、福島県と山形県、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、群馬県、栃木県、山梨県、長野県、静岡県、愛知県、岐阜県、三重県、石川県、福井県、富山県、大阪府、京都府、滋賀県、奈良県、和歌山県、岡山県、鳥取県、それに徳島県です。
また、近畿などの各地で川の氾濫も発生しています。
水位が上がり、氾濫の危険性が非常に高い「氾濫危険水位」を超えている川があるのは、東京都、神奈川県、埼玉県、茨城県、群馬県、長野県、静岡県、愛知県、三重県、岐阜県、福井県、石川県、大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県、奈良県、和歌山県、広島県、それに鳥取県です。
23日も、東日本と西日本、それに東北の太平洋側を中心に1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨が降り、局地的には1時間に80ミリ以上の猛烈な雨が降るおそれがあります。
23日の夜遅くまでの24時間に降る雨の量は、いずれも多いところで東海と北陸で300ミリ、関東甲信で250ミリ、近畿で200ミリ、東北で180ミリ、中国地方と北海道で100ミリと予想され、今後、東海や関東、それに北陸などでも大雨となるおそれがあります。
暴風 高波 高潮
次に警戒が必要なのは、暴風や高波、高潮です。
台風の北上に伴って西日本と東日本の広い範囲で非常に強い風が吹いていて、伊豆諸島の神津島で午前2時すぎに46.3メートル、福井県小浜市で午前2時すぎに38.8メートル、大阪・豊中市で午前2時前に36.5メートル、津市で午前2時20分ごろに35.4メートルの最大瞬間風速を観測しました。
西日本ではこのあとしばらく、東日本では23日の昼前にかけて、北日本では朝から昼すぎにかけて、猛烈な風が吹く見込みです。
最大風速は東海で40メートル、関東甲信で35メートル、近畿と北陸、東北、北海道で30メートルなどと予想され、最大瞬間風速は45メートルから55メートルに達する見込みです。
波の高さは関東で13メートル、東海で12メートル、近畿と東北で10メートル、北陸で9メートルと猛烈なしけとなり、広い範囲で大しけになる見込みです。
さらに、今は、大潮の時期にあたるため、満潮の時間帯を中心に高潮による浸水のおそれがあります。
気象庁は、土砂災害や川の氾濫、低い土地の浸水、暴風、高波、それに高潮に厳重に警戒するよう呼びかけています。
自治体の避難の情報に従って安全な場所に避難するか、周囲の状況を確認して外に出るのが危険な場合は、建物の上の階に移動するなど、できるかぎり安全を確保してください。
屋外で作業をしたり、田畑の様子を見に行ったりするのは危険です。
不要不急な外出を控え、増水した川や用水路には絶対に近づかないでください。