まぁこんなところで企業秘密をバラす必要もないのだが、このPVの最初のカット、実は下からフレアをかけてます。
これ、新海誠さんからパク・・・いや学んだんですね。
あとカメラの経験で。
実際作れるんですよ、こういう画。
凡百のアニメは、とにかく光源は上にある!と思い込んで、やたらめったら上からドバドバフレアをかけて、結果単調な画ヅラにしているのだが、新海さんの画はありとあらゆるところに光があり、フレアがある。
形も自在だ。
そして影を作り、明暗のバランス、絵としての印象のバランスを見て、完成させる。
光と影を自在に操って絵画にする。まぁすべての「画作り」の基本中の基本なんですよ。
新海さんはそれが抜群に上手い。
ただ写真まんまにリアルというだけではない。
それを今のアニメ撮影ったら、変なリアリズム思考がこびりついてて、光は上から!影は下から!とバカ正直にやっている。
そこまでリアルがいいならアニメやめてドキュメンタリーやったら?と思ってしまう。
実写だって自由にウソをつくんだよ?
勉強しなくなったね、今の撮影。
僕は20年近く前から新海さんをパクもとい学んで、画調を作ってたよ?
あと錦織博監督(『薄暮』CFご支援ありがとうございます!)。
彼の初監督作品『天使になるもんっ!』に僕は演出助手として参加したのだが、同じ撮影上がりの彼の手法は見事だった。
フレアとパラを全カット駆使していた。
僕がフレアとパラの重要性を初めて知ったのは、この時だった。
彼が凄かったのは、フレアとパラで「レイアウト」を作ってしまうことだ。
上がってきた絵のレイアウト的にダメなところ、バランスの悪いところ、あるいは作画的に厳しいところを、フレアとパラで潰してしまうのだ。まぁダメな絵なら、隠してしまえホトトギス、戦法だ。
彼の撮出しを手伝ったことがあったのだが、こうやるのかぁ、と感心して見ていた。
あと彼にはシートワークの重要性も学ばせてもらった。
今のアニメはデジタル化が進んで、いろんなことをやり始めているようだが、どうも基本というのか、求めている「絵」が見つからない。
恐らく勉強して来なかったのだろう。
今からでも遅くはない、古今の絵画や映画を見て、ちょっとその単純な脳味噌をほぐした方がいい。