アニメほど残酷な表現はないだろう。
2次元だからだ。

僕らの住んでいる世界とは文字通り「次元が違う」のだ。

どれだけ僕らが渇望しようとも、僕らはアニメにアクセスする術を持たない。
しかしそれを持っているかのように錯覚させる、そんな幻術をアニメは駆使し続ける。

アニメに感動しようが、興奮しようが、萌えようが、すべては「幻」なのだ。
それを実在するかのように振舞うから、オタクはとことん気味悪がられる。

アニメとは「幻覚」なのだ。

僕らは現実逃避のためにアニメを観ているのか?それは原理的に違う気がする。
僕らは永遠に届かない「幻」を掴もうと、中空に手を伸ばしもがいているだけだ。

それはこれ以上ない不毛な、悲しい所業だ。


アニメはもっとも「救われない」芸術だ。