オウシュウ・ベイコク・ベース廃墟


高田延彦は何を愛し理解しているのか

Category: ウェブ線上の批評   Tags: ---
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廃墟では台風が近づいております。高田延彦vsヒクソン・グレイシーからなんと20周年ということで各所で再考が行われているけど、今から考えるとあの時代が素晴らしいなと心底思うのは各競技のボスが自分のテリトリーを守る強さであって、本当にバーリトゥードで勝負することではないことだ。空手は空手、プロレスはプロレスで出ていかないを貫いた方が偉い。弟子がバーリトゥードや立ち技に挑戦するのはOK。ボスはジャンルを守ることが仕事で弟子筋がジャンルを跨ぐを許すのほうがいいです。

これはつまんねえ考え方なんだけど、むしろ時間が経過したあとにボスが本当にバーリトゥードに出ていって残ったものはなんだったのか、というのが今になって答えが出ている感じがする。高田延彦はほんとうにバーリトゥードを東京ドームでやっちゃったけど、20年後の現在はMMAと呼称が決まったこのジャンルを愛し、理解しているとはどうにも思えない。それどころが、プロレス代表としてヒクソンと闘ったわりに今のプロレスを愛しているとも理解しているとも思えないところが本当に気になる。彼は20年前にプロレスを代表して、初期のMMAを闘うという日本のプロレスとMMAの分岐点に関わりながら、本当のところは何を愛し、理解しているのか。




前回の青木インタビューをまたひっぱるけど、ONEfcのチェアマンであるチャトリ・シットヨートンの評価に「根底にはMMA、ムエタイ、柔術に対して愛がある。愛がある成功したビジネスマンなんですよね。そして東南アジアにMMAを根付かせた」という発言とか、「この業界って異常ですよ。だって、背広組がいないんですよ。ただ、UFCにはいる。MMAを知らない人間が、UFCを回している。そこにはMMAを分っている、MMAを愛している中心人物がいたからです」みたいな発言はメジャー興行が死に体のままの現在を振り返ると本当に効いてくる。

高田延彦がRIZINで再び格闘技興行の表舞台に戻ってきたけれど、解説席での発言を聞いていると最近のMMAのことについてもしかしてあまり理解していないのではと思わされることが多い。現役引退後に作り上げたPRIDE統括本部長という芸風で興行とTV番組を成立させているのだが、根底のジャンルへの理解があるとは思えない点が多々ある。以前の桜庭vs青木戦での解説などにひっかかった記憶があり、ひょっとして今のUFCすらまともに見ていないのでは…なんて疑惑さえ持ってしまった。

そういえば高田道場の選手たちはどうしているのだろうか。ちょっと検索してみたのだが2014年あたりを境に新規の選手がパンクラスなど国内の大会に出てくることはなくなり、何人かの選手はそのまま道場のインストラクターとしての職に就いている。多くの選手が負け越したまま、名前がトピックスになることもなくそのままフェードアウトしている。

高田vsヒクソンから時間が経過した現在、最も気になるのは高田延彦が本質的にMMAもプロレスも愛しても、理解してもいないという現状そのものだったりする。旧DSEのPRIDEもハッスルもなくなって以後、業界から少し距離ができた高田が以降、現在進行形でのプロレスやMMAに絡んだというニュースを見たことがない。修斗やパンクラスをチェックしてる気がまるでしない。面白いことに新日本プロレスオーナーの木谷氏は90年代最も純プロレスから離れようとしてた前田日明とは対談したりアドバイスを貰いに行ったりしてるんだけど、高田と絡むことはない。不思議なもので前田の方が要所要所で現在の新日本プロレスに意見してたりするんだけど、高田延彦って現在のプロレスに絡んでるのを見たことがない。

愛と理解ということではU系では鈴木みのるのことなんかも思いが浮かぶ。彼も同じようにプロレス出身からMMAで完敗を喫するようになるんだけど、その後プロレスに転向してから各種インタビューで語られるプロレスへの愛と理解は印象深い。そうでなくとも彼の試合を見ればそれは伝わる。

自分にとって高田vsヒクソン20周年で最も気が滅入るのが、高田延彦の解釈がその人当たりのいいマスイメージに反して本質的にプロレスもMMAも理解も、愛も結果的に残ってはいないのではないかということである。それはRIZIN陣営が本質的にMMAに持っている愛や理解ともおそらく相似してる。そしてそれは、国内のMMAのどこかしらボトルネックになっている印象すらある。現在のプロレスは高田延彦が関わらないから発展してるともいえるかも。廃墟とは、笑顔でも出来ているものなのです…

テーマ : 格闘技    ジャンル : スポーツ

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