衆院選はきょう投開票される。この選挙の最大の争点は5年近くにわたる安倍政治への評価だ。

 沖縄4選挙区でも安倍政権が強行する辺野古新基地建設の是非が問われている。

 米軍普天間飛行場がある2区は新基地建設に反対する「オール沖縄」勢力が推す社民候補と新基地を容認する自民候補の一騎打ち。辺野古新基地建設現場の3区、宮古・八重山を含む本島南部の4区は「オール沖縄」勢力の無所属候補と、自民候補の事実上の一騎打ちだ。いずれも対立軸がはっきりしており、有権者にわかりやすい構図である。

 県都、那覇市を抱える1区は3氏を軸にした争いだ。

 自民候補、「オール沖縄」勢力の共産候補、「米側との政治交渉へ戻す」と訴える維新候補の三者三様、違いがはっきりしている。

 前回2014年の衆院選では「オール沖縄」勢力が1~4区で全勝した。

 昨年7月の参院選でも「オール沖縄」勢力が勝利した。一方で、辺野古違法確認訴訟の最高裁判決では県敗訴が確定。埋め立てに向けた護岸工事が進む。市長選では今年に入り、宮古島、浦添、うるま市長選と連敗が止まらない。

 「オール沖縄」の勢力が維持されているか。革新層を基盤に保守層や経済界を取り込む構図に変容はないか。

 最高裁判決によって新基地問題は「決着済み」と政府と歩調を合わせる自民候補が巻き返すのか。

 選挙結果は、新基地建設問題に大きな影響を与える。

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 衆院選は安倍晋三首相の唐突な解散表明に始まり、臨時国会は所信表明演説も、それに対する代表質問もないという異例の冒頭解散となった。

 首相と昭恵夫人に近い人が関わり、行政の公平性・公正性がゆがめられたのではとの疑念が消えない森友学園、加計学園問題は十分な説明がなされたとはいえない。

 首相の選挙戦術は選挙中はアベノミクスなど経済政策を前面に押し出し、選挙後は国論を二分する政策に前のめりになる。12年の衆院選以来、繰り返されていることだ。

 憲法施行から70年の節目の年である。自民は憲法9条に自衛隊を明記するとした改憲原案を公約に盛り込んだ。

 首相は街頭演説で改憲について語ることはほとんどないが、選挙結果によっては「改憲勢力」とともにアクセルを踏む可能性が高い。

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 「子どもの貧困問題の解消」「給付型奨学金の創設」「子育てや雇用など若い世代にもっと目を」…。本紙連載「もの申す」での要望だ。

 有権者の関心はそれぞれだろう。沖縄4選挙区と各党の公約を改めてチェックしてほしい。教育無償化は各党が競うが、公約を実現するための財政的な裏付けがあるのか、見極める必要がある。

 前回衆院選の投票率は1970年の国政選挙参加以来、最低の52・36%だった。半数近くが棄権したことになり、深刻だ。投票は民主主義の根幹をなす。棄権することなく、1票を大切に行使したい。