2018年からつみたてNISAが開始されることから、来年以降の投資方針に関してさまざまな意見が出ています。
運用方針や投資できる資金などに応じて「現行(一般)NISA」か「つみたてNISA」かを毎年選択できるようになります.
C55は,2018年は投資資金を確保できる見通しなので現行NISAを選択する予定です.
限度額や非課税期間など、欲を言えばきりがありませんが、お上が与えてれた非課税制度なので、積極的に利用したいと思っています。
2019年以降には、NISA開始時(2014年投資分)以降の5年非課税期間が順次終了していきます。
5年の非課税期間が終了した場合、次の3つの中から選択できます。
- 翌年の非課税枠に移す(ロールオーバー)
- 売却する
- 課税口座へ移す
実際にロールオーバーの選択が可能になるのは早くても 2019年からとなりますが,2018年(場合によっては残りわずかとなった2017年)の投資方針を決める上でも,ロールオーバーを見据えた戦略が重要となります.
売却と課税口座へ移すことに関しては大きな問題はないと思いますが、「ロールオーバー」に関しては情報が錯綜し、一部誤った情報も見受けられます。
今回「ロールオーバー」に関してまとめてみます.
内容に関しては金融庁のホームページと楽天証券サポートに問い合わせた結果を基に記載しています.楽天証券では現行NISAを一般NISAと呼んでいます.
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ロールオーバーとは?
5年間の非課税期間が経過した後,保有する金融商品を翌年の非課税枠に移すこと.
ロールオーバーできる金額
時価が120万円を超える場合
ロールオーバー金額に上限はない
保有する金融商品がどれだけ値上がりしていようとも,全額ロールオーバー可能です.
以前は時価で 120万円までとされていましたが,これは撤廃されました.
金融庁のホームパージでの表示も変更されています.
時価が120万円未満の場合
120万円に満たない分は追加投資可能
例)ロールオーバー時の時価が60万円(投資商品が値下がり,値上がりどちらでも可)であった場合は,60万円分の新規投資が可能
楽天証券とのメールのやりとりを示します.
質問:
ロールオーバー前に,
120万円の初期投資分の一部を売却しNISA保有資産が80万 円となったとします. ロールオーバーするときには40万円分の追加投資が可能でしょう か? 回答:
一般NISAにてお買付けの商品を、5年間の非課税期間終了後、次年度にロールオーバーする場合、「時価」
での持ち越しとなります。
時価80万円でロールオーバーされた場合、非課税枠120万円から80万円を差し引いた40万円は空き枠となりますので、当該枠を利用し、新たにお買付けいただくことができます
注意:この回答には納得できない部分がありますので再度確認します.「5年総額600万円まで」との条件との整合性がとれていないためです.
投資額が120万円未満
投資額は関係なし
現行NISAが始まった2014, 2015年の投資可能額は 100万円でした.
増えた(投資できなかった)20万円分をロールオーバー時に追加投資できるか?
これはできません.
質問:
NISA開始直後の2年は限度額が100万円でした.残り20万円分をロールオーバー時に追加投資可能でしょうか? 回答:
未使用の非課税枠は、翌年以降に繰り越すことはできません。ロールオーバー時においても、
次年度に持ち越すことができますのは、保有の商品のみとなります。
120万円との差額
例)70万円だけを投資した場合.残りの50万円分を翌年以降に振り分けることはできません.
ロールオーバー時にもこの未使用額分を新規投資することはできません.
枠の未使用分では無く,120万円から時価を引いた額は新規投資できます.
質問:
ある年NISAで80万円分投資しました.
ロールオーバー時に残りの40万円分の追加投資は可能でしょうか ? それともロールオーバー時には一切の追加投資は不可能で, 初回投資し保有する分のみをロールオーバーするだけでしょうか? 回答:
未使用の非課税枠は、翌年以降に繰り越すことはできません。ロールオーバー時においても、
次年度に持ち越すことができますのは、保有の商品のみとなります。
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ロールオーバーとつみたてNISA
現行NISA,つみたてNISA,ロールオーバーは毎年選択・変更可能
2018年は「現行NISA」か「つみたてNISA」のどちらかを選択することになりますので,それほど複雑ではありません.
しかし,2019年以降は「現行NISA」「つみたてNISA」の他に,「ロールオーバー」という3つの選択肢が発生します.
2014年に通常NISAを使っていた場合は
「つみたてNISA」
or
「2014年投資分をロールオーバー」
(or 「現行NISA」 5年分の枠を使い切っていない場合)
2014年に通常NISAを使っていない場合は
「現行NISA」
or
「つみたてNISA」
どちらかを選択することになります.
C55は,2014年以降毎年現行NISAで投資を行い,5年分の現行NISA枠を使いきっている予定なので,2019年以降は「つみたてNISA」か「ロールオーバー」かの選択になります.
まだ5年分の現行NISA枠を使っていない場合は,「現行NISA」の選択肢もあります.
いずれにせよ,それぞれのNISA使用状況に応じて
「現行NISA」
「つみたてNSIA」
「ロールオーバー」
のうち一つを選択することになります.
これは毎年,年ごとに選択できます(同一年内での変更はできません).
NISAの方針を変更するには証券会社へ書類の提出が必要ですが,書類を提出するだけなのでそれほど手間では無いと思います.
ですので,この年は「つみたてNISA」 翌年は「ロールオーバー」 また次の年は「現行NISA」など,資金や投資方針,NISAで保有する金融商品の損益などによって,年ごとに切り替えていくことは可能です.
注:現行NISAで購入した金融商品を,つみたてNISAに移管することは不可能です.現行NISAからつみたてNISAへのロールオーバーも不可能です.(もちろん一旦売却して,つみたてNISAで積み立て直すことは可能ですよ)
ロールオーバー可能期間
10年の非課税期間を享受できるのは,2018年投資分まで
ロールオーバーはいつまで選択できるのか?
これはとても重要なポイントです.
現行NISAは,2023年までの期限付きの制度です.
2024年以降は「つみたてNISA」1本となる予定です(ジュニアNISAは対象年齢が異なるので横においておきます).
ですので 「ロールオーバーとつみたてNISA」の項で示した3つの選択肢(「現行NISA」「つみたてNISA」「ロールオーバー」)は,2024年以降には「つみたてNISA」のみになります.
つまり現行NISAでロールオーバーを利用して,最長10年の非課税期間を享受しようとしたら,2023年にロールオーバーすることが必要で,逆算すると 2018年までに現行NISAに投資した分のみがロールオーバー可能となります.
一方で,2019年以降に現行NISAで投資した分は,5年の非課税期間が終了したら「売却」か「課税口座へ移す」しかできません.
質問:
一般NISAの期限が平成35年(2023年)にて終了する予定です.ということは平成36年(2024年)以降に6年目を迎える一般NISA,つまり平成31年(2019年)以降に一般NISAで購入した分は,5年経過時点で一般NISAが終了しており,ロールオーバーの選択ができず,売却か課税口座への移管のどちらかを行う必要がある.という認識は正解ですか?
回答:
ご認識のとおり、一般NISAは2023年までとなっておりますので、制度上、2019年以降に一般NISAでお買付けの商品については、ロールオーバーはできかねます。
現行NISAのメリットである10年の非課税期間を享受できるのは,2018年投資分までです.
まとめ
- 現行NISA,つみたてNISA,ロールオーバーは毎年選択・変更可能
- ロールオーバー時の金額の上限はなし
- ロールオーバー時保有する金融商品の時価が120万円に満たない分は新規投資可能
- 現行(一般)NISAで10年の非課税期間を享受できるのは2018年投資分まで
誤った情報があればご指摘ください.
最後に,カスタマーサービスセンターの対応の良さは,楽天証券を選択する上で大きなアドバンテージであると思います.